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The Hacker News

1,700以上のリポジトリで使われる仮ドメイン「third-party.com」が悪意あるサイトに転用、マルウェア拡散が判明

要点

  • ドキュメントなどで仮置き用として広く使われていた「third-party[.]com」が第三者に取得され、悪意あるコンテンツを配信していることが判明した。

  • GitHub上の1,700件を超える公開リポジトリで同ドメインが参照されており、AIエージェントの機能定義やドキュメントにも含まれている。

  • Windows環境からのアクセスに対して偽の認証画面を表示し、クリップボード経由でPowerShellスクリプトを実行させる「ClickFix」攻撃を仕掛けている。

  • ほかにも13件の未予約プレースホルダー用ドメインが確認されており、macOS向けに偽のセキュリティ警告を表示する手口も確認された。

  • 開発ドキュメントやテストコードの仮ドメインとして長年使われてきた「third-party[.]com」が第三者に取得され、アクセスしたユーザーに対して悪意あるコンテンツを配信していることが明らかになった。セキュリティ企業のManifold Securityが2026年9月に調査結果を公開したもので、GitHub上の1,700以上の公開リポジトリで同ドメインが記載されているという。インターネット資源を管理する国際組織IANA(Internet Assigned Numbers Authority)によって保護されていない汎用ドメインを、ドキュメントなどのプレースホルダー(仮置き用の文字列)として利用することの危険性が浮き彫りになっている。

長年使われた仮ドメインが悪意あるインフラへ転換

Manifold Securityのリサーチ責任者であるAx Sharma氏によると、「third-party[.]com」は長年にわたり、「example[.]com」と同様にドキュメント上の一般的な仮置きドメインとして扱われてきたという。しかし、「example[.]com」がIANAによって正式に予約されて保護されているのに対し、「third-party[.]com」は誰でも登録可能な通常のドメインであったため、第三者によって取得されて攻撃用のインフラに転用された。

GitHub上の検索結果では、AIエージェントのスキル定義や、AIと外部ツールを接続する規格であるMCP(Model Context Protocol)サーバーのドキュメントなど、1,700件以上の公開リポジトリでサンプル用の通信先(エンドポイント)として同ドメインが記載されていることが確認されている。Sharma氏は、それらのリポジトリにおける記述はいずれも正当な仮置きとしての利用であったものの、現在はその記述自体が攻撃者のサーバーを直接指し示す状態になってしまっていると指摘している。なお、現在このドメインはセキュリティ検査サービスのVirusTotalや、Googleの「Safe Browsing」において、悪意のある安全でないサイトとして登録されている。

OSを判別して実行される「ClickFix」攻撃の手口

調査によると、同ドメインでは少なくとも2026年6月以降、ユーザーを騙して不正なコマンドを実行させる「ClickFix」と呼ばれるソーシャルエンジニアリング攻撃(人間の心理的な隙や誤認を利用して不正な行動を誘導する攻撃手法)が展開されている。

Windows端末のブラウザから該当ページにアクセスすると、Cloudflareのセキュリティ確認画面を模したページが表示される。この画面は訪問者のクリップボードを不正に書き換える仕組み(ペーストジャッキング)を備えており、問題解決を装って「ファイル名を指定して実行」ダイアログにコマンドを貼り付けて実行するよう促す。指示通りに貼り付けて実行すると、遠隔のサーバーからPowerShellペイロードを取得して実行するスクリプトが動作する設計となっている。

一方で、macOSのブラウザからアクセスした場合には、「macOSはサポートされていません。このWebサイトへのアクセスにはWindows PCが必要です。Windowsデバイスから再度お試しください」というエラーメッセージが表示され、攻撃の対象がWindows環境に絞り込まれていることが確認されている。

静的スキャンの死角とAIエージェントへのリスク

Manifold Securityは、信頼されているドメインが悪用されることで、AIエージェントにおけるプロンプトインジェクション(悪意ある指示をAIに読み込ませて不正操作を行う手法)や予期しない挙動を引き起こす経路になり得ると警告している。

さらに同社は、コードやドキュメントを事前にスキャンする静的解析の難しさについても言及している。手元の解析環境でファイルを読み込み、ドメインの名前解決を行って安全だと判断したとしても、実際のユーザー環境やAIエージェントがアクセスした際にWebサーバー側がどのような応答を返すかまでは把握できないためだ。リクエストを送る環境やタイミングによって返されるコンテンツが変化するため、コードの静的スキャンだけでは脅威を完全に見抜くことができないと説明されている。

未予約の類似ドメイン13件でも詐欺被害を確認

Manifold Securityは今回の調査に関連して、IANA予約されていないプレースホルダー用ドメインがさらに13件存在することを特定している。そのうち「yoursite[.]com」と「your-domain[.]com」の2件では、macOSユーザーを標的とした詐欺やスケアウェア(偽のセキュリティ警告で不安を煽り、不要なソフトウェアの購入などを迫る手口)の配信が確認された。

セキュリティ研究者のCody Nash氏によると、macOS環境から「your-domain[.]com」にアクセスした場合、「MacOS Security Center」と題した偽の警告画面が表示され、4件のウイルスが検出されたと偽って55%割引でのウイルス対策ソフトの偽更新を販売しようとする手口が確認された。これらのドメインもアクセス元の環境を識別しており、macOS以外の環境からアクセスした場合は通常の広告パーキングページが表示される仕組みになっていた。

こうした事態を受け、Manifold Securityはドキュメントの監査を行うとともに、「yourcompany[.]com」や「mycompany[.]com」、「your-api[.]com」といった未予約のドメインは第三者に取得されて悪用されるリスクがあるものとして扱うよう促している。ドキュメントやテストコードの作成にあたっては、自社で管理していないそれらしいドメイン名を避け、「example[.]com」「example[.]org」「example[.]net」といったIANAによって公式に予約されているプレースホルダーのみを使用することが推奨されている。

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