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ABEJA Tech Blog

ABEJA、社内イベントでKaggleコミュニティコンペを開催 未知モンスター勝率予測とAI利用制限を導入

要点

  • ABEJAのデータサイエンス部が、社内交流イベント「DS Day」で独自のKaggleコミュニティコンペを開催した。

  • 課題はAI生成モンスターによる2対2バトルの勝率予測で、学習データにない未知カードを推論させる設計が施された。

  • 計算資源による力任せの解析を防ぐため、配布された対戦シミュレーターには本番と異なる非公開補正が加えられた。

  • 競技時間3時間のうち前半1時間半はコーディングエージェントを禁止し、対面での議論と分析を促す工夫がなされた。

  • 株式会社ABEJAのデータサイエンス部は2026年10月13日、社内オフラインイベント「DS Day」において、Kaggleコミュニティコンペを活用したデータ分析競技「DS Day Monster Battle 2026」を開催したと公式技術ブログで発表した。リモート勤務のメンバー同士の交流を目的としたイベントで、ゲームの対戦シミュレーション結果を機械学習で予測する形式をとったという。限られた競技時間の中で多様な解法を引き出すため、データ構造や開発環境、AIツールの利用規程に独自の工夫が盛り込まれた。

交流を目的とした社内イベントと競技の成り立ち

ABEJAのデータサイエンス部ではフルリモート勤務のメンバーが多く、3か月に1回程度のペースで対面イベント「DS Day」を実施している。2022年10月に開始された同イベントでは、過去にも競馬のレース予測を行うなど実践的な技術交流が行われてきた。
今回のコンペは、データ分析競技プラットフォーム「Kaggle」上で誰でも独自大会を主催できる「コミュニティコンペ」機能を利用して開催された。同部メンバーの知人であるKaggle参加者が過去に主催した大会のコードをベースに、許諾を得て社内向けに改変したと説明されている。

2対2の対戦ルールとメンバーを模したカード設定

競技課題となったのは、モンスターが2対2で戦うゲームにおける勝率の予測だ。各モンスターは3つの技を持ち、毎ターン使用技と対象がランダムに選ばれる。火・水・草の属性相性や先攻技、状態異常が勝敗を左右し、技名などの生成にはCodexが用いられた。予測対象は単発の勝敗ではなく、同一カードで2,000回対戦させた際の勝率(0〜1の数値)とされた。
登場モンスターは全23体で、部員のSlackアイコンから画像生成AIで作成された。各カードにはHP、攻撃力、防御力、素早さの能力値と技性能が設定されており、ブログでは遅攻・高火力の「芹澤さん」や高素早さの「安倍さん」、高耐久の「高野さん」といった具体例が紹介された。

未知データを推論させるデータ分割と評価指標

参加者には全モンスター情報に加え、学習データ11,628件、テストデータ14,937件などが配布された。
データセットは、23体中19体のみによる対戦を学習用、残り4体のうち1体以上を含む対戦をテスト用とする分割がなされた。テスト用の4体もスペック情報は事前に開示されており、対戦結果が未知のモンスターの強さを能力値から論理的に推論させる狙いがあったという。評価指標には予測値と実績値のズレを測るRMSE(二乗平均平方根誤差)が採用され、途中経過を示すPublic Leaderboardでテストデータの約30%、最終順位を決めるPrivate Leaderboardで残り約70%が評価された。

力任せを防ぐ近似シミュレータと非公開補正

運営側は対戦シミュレーション用のコードも提供したが、これは本番環境の「近似版」であり、本番データには全カード共通の非公開補正が加えられていた。
この設計は、単に計算資源を使ってシミュレーションを回し続けるだけで勝敗が決まるのを防ぐためのものだ。学習データの正解勝率と配布シミュレーターの結果の差異から補正ルールを逆推定するなど、多様なアプローチを促す工夫だったと説明されている。

AIツールの利用制限を取り入れた運営と結果

競技時間は約3時間で実施された。運営側は独自のルールとして、開始から最初の1時間半はコーディングエージェント(プログラムを自動作成・支援するAIツール)の使用を禁止した。これにより、前半はメンバー同士が対面で会話しつつデータ観察や戦略立案を行い、後半にAIを活用して一気に実装を進めるチームが多かったという。
最終結果では、途中順位のPublicと確定順位のPrivateの間で順位変動がなく、安定した集計結果が得られたことが報告されている。

補足

なお、コンペの元となったコードを提供した外部の制作者2名には、技術ブログでの公開について事前に了承を得ていると付記されている。

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