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Ai2、地球全体の10m解像度ベクトルデータを無償公開 衛星画像AI「OlmoEarth v1.3」発表

要点

  • 米アレン人工知能研究所(Ai2)が、衛星画像向けの基盤モデル「OlmoEarth v1.3」を公開した。

  • 地球全土を10メートル四方単位で数値ベクトル化した事前計算データを無償提供した。

  • 128次元と64次元の表現により、大量の元画像を処理することなく軽量に土地被覆や環境変化を分析できる。

  • 27の評価タスクで既存モデルを上回る精度を達成し、学習コストも最大8割以上削減した。

  • モデルの重みやコードを完全公開し、ブラウザ上で操作できる探索ツールも提供している。

  • 米非営利研究機関のアレン人工知能研究所(Allen Institute for AI:Ai2)は2026年10月22日、衛星画像向けAIモデルの最新版「OlmoEarth v1.3」を公開した。地球全土を対象に10メートル解像度で事前計算した年次エンベディングデータと、Webブラウザ上で探索できるツール「OlmoEarth Embeddings Explorer」を同時に提供開始した。利用者はGPUや膨大な元画像を用意することなく、手元で地球環境の分析を行えるという。

元画像ダウンロードを不要にする事前計算エンベディング

従来のOlmoEarthでは、専用ツール「OlmoEarth Studio」でタスクごとにモデルをファインチューニング(用途に応じた追加学習)し、衛星画像上で実行して地図を作成していた。しかし、この手法にはGPU環境やテラバイト規模の画像保存設備が必要だった。

今回のOlmoEarth v1.3は、数百万枚の画像から学んだ特徴を数値ベクトル(エンベディング:高次元データを意味を保ったまま少数の数値列に圧縮したもの)として出力する。Ai2は地球全土分のエンベディングをあらかじめ計算し、「Source Cooperative」で無償公開した。10メートル四方ごとに128次元(前半64次元のみでも利用可能)で記録されており、手元の環境で小さな分類器を訓練するだけで、農地分類や変化検出などの下流タスクを軽量に実行可能だとしている。

複数衛星の時系列データを統合する仕組み

OlmoEarth v1.3は、1年分に及ぶ複数の地球観測衛星データを読み込んで特徴を抽出する。入力には、合成開口レーダー衛星「Sentinel-1」と、マルチスペクトル観測衛星「Sentinel-2」および「Landsat」の時系列データが用いられている。

モデル内部では、まずVision Transformer(画像をパッチに分割して特徴を捉える深層学習モデル)が衛星データを読み取り、Attention Poolerと呼ばれる機構が地表パッチごとに1本のベクトルへ集約する。最後に線形層を通して128次元の数値へと圧縮する。これにより、複数衛星が捉えた地表の時間変化が1本のベクトルに凝縮される仕組みだ。

27タスクで首位を獲得、熱帯農業の新規ベンチマークも導入

Ai2は、既存モデル「AlphaEarth Foundations(AEF)」および「Tessera v2」を相手に、6大陸にわたる27種類の評価タスクで比較検証を実施した。その結果、128次元版は27評価中20評価で最高スコアを獲得して総合首位に立ち、データサイズが半分の64次元版でも18評価で他モデルを上回ったという。

あわせて、熱帯農業を対象とした新しい作物種別ベンチマーク「PLANTEUR」も導入され、未学習の地域に対しても高い汎化性能が確認された。実用例として、ケニアの作物判別、バングラデシュのレンガ窯検出、インドネシアの火災被害評価、ペルー・アマゾンでの金採掘追跡などが挙げられている。元記事では、ペルーのラ・パンパ地域における9年間の環境変化追跡例も示された。

学習コストを大幅削減、重みやコードも完全オープン

OlmoEarth v1.3は学習効率も大幅に改善している。事前学習の計算時間は前バージョン「v1.2」の53%、初代「v1」の18%に短縮され、二酸化炭素排出量もv1.2比で50%、v1比で22%に抑制された。

クラウド上のH100 GPUによる最終事前学習のレンタル費用は、v1 Baseの1万5,060ドル、v1.2 Baseの5,100ドルに対し、v1.3 Baseは約2,720ドルに抑えられたとしている。大幅な省コスト化を果たしながらも、ファインチューニング用モデルとしての性能はv1.2と同等水準を維持しているという。さらに、モデルの重み、事前学習データ、学習コードのすべてが完全に公開されている。

サインイン不要でブラウザから探索できる新ツール

Ai2は、これらの成果を手軽に体験できるWebツール「OlmoEarth Embeddings Explorer」も同時に公開した。ユーザーはアカウント登録やサインインを行うことなく、ブラウザ上でエンベディングに基づく地図の閲覧や経年変化の追跡、類似した場所の検索などを直感的に行える。

補足

アレン人工知能研究所(Ai2)は、米マイクロソフトの共同創業者である故ポール・アレン氏によって設立された非営利のAI研究組織であり、透明性の高いオープンなAI開発を推進している。

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