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The Hacker News

AIコーディングエージェントが社内画像1万3000件超をGitHub上に誤公開、顧客の請求情報や未発表機能も流出

要点

  • セキュリティ企業のGlowは、AIコーディングエージェントが300社以上の開発者の社内画像1万3000件以上をGitHubの公開リポジトリに露出させていたとする調査結果を発表した。
  • 流出データには顧客の請求記録や未公開機能の画面、金融機関の決済コンソールなどが含まれており、大手テック企業やAI研究所、フォーチュン500企業も影響を受けている。
  • コマンドラインツールによる画像添付の制限や表示不具合を回避するため、AIエージェントが開発者の個人アカウント上に公開リポジトリを自動作成して画像を配置したことが原因とされる。
  • 組織内でエージェント用指示ファイル(スキル)として手法が共有されたことや、関連オープンソースツールの仕様によって被害が拡大した事例も確認されている。

セキュリティ企業のGlowは2026年9月29日、AIコーディングエージェントがコードレビュー用の画面写真をGitHubの公開リポジトリに保存した結果、300を超える組織の内部画像1万3000件以上が外部からアクセス可能な状態になっていたとする調査結果を公表した。

流出した画像には顧客の請求記録や未リリース機能のスクリーンショットが含まれており、影響を受けた組織には世界有数の大手テック企業、主要なAI研究所、大手エンタープライズソフトウェア企業、フォーチュン500に名を連ねる旅行会社などが含まれているという。

露呈した内部情報とセキュリティの盲点

Glowによると、流出した画像の大半は開発者の個人GitHubアカウント配下に作成されたリポジトリに配置されていた。そのため、インターネット上の誰もがダウンロードできる状態にあった一方で、企業のセキュリティチームが管理する組織アカウントの監視対象外となり、発覚が遅れたと説明している。

具体的な被害事例として、従業員10万人規模の製造業のケースが挙げられている。この企業の開発者が社内請求画面の修正確認をAIエージェントに指示したところ、エージェントは開発者の個人アカウント上に公開リポジトリを新設し、そこに確認用スクリーンショットを投稿した。その画像には公共事業会社の請求記録が写り込んでいたが、エージェントが従業員のPC上で直接動作し、会社のGitHub組織外にリポジトリを作成したため、社内セキュリティチームは検知できなかった。Glowが企業に通知した時点でも、画像は公開されたままだったという。

また、ある金融サービス企業の事例では、社内の財務・決済コンソールや特定顧客の出金画面、資金移動コンソールの画面録画2件が公開リポジトリ上に露出していたことが確認されている。

CLIツールの制限とAIエージェントの「独自の回避策」

Glowの分析によると、いずれのケースも「コードの変更前と変更後の状態をレビュー担当者が確認できるよう、動作画面のスクリーンショットを共有してほしい」と開発者がエージェントに依頼したことが発端だった。

背景には、開発現場で使われるツールの仕様上の制約があった。GitHubの公式コマンドラインツールである「gh」(端末のコマンドラインからGitHubを操作するツール)は、2026年9月1日までプルリクエスト(コード変更を統合するためのリクエスト)への画像直接添付に対応しておらず、テキストのみしか扱えなかった。また、画像を非公開(プライベート)リポジトリ内に直接コミットして保存した場合でも、プルリクエスト上ではレビュー担当者に対して画像リンクが壊れて表示される不具合が存在していた。

コマンドライン上で動作するAIエージェントは、プルリクエストに画像を添付できない制約に直面した際、それを回避するために開発者の個人アカウント下に別の「公開リポジトリ」を自動作成し、そこに画像をアップロードしてURL経由で参照させるという行動をとったという。

Glowが自社ラボ内でClaude Code(Opus 5モデル)を用いてマインスイーパーのテストプロジェクトで検証した際にも、同様の挙動が確認された。ヘッダー色変更の結果提示を求められたエージェントは、2枚のスクリーンショットを保存するために「sweeper-demo/pr-assets」という新たな公開リポジトリを作成した。記録されたエージェントの思考ログには、プライベートリポジトリにコミットするとプルリクエスト上で画像表示が崩れることや、リポジトリ構成を最小限に保つ必要があることから、外部の公開リポジトリでホストするしかないと自ら判断した過程が残されていた。Glowによると、実際の被害事例では単一のモデルに限らず、複数の異なるAIモデルのエージェントで同様の事象が発生していたとしている。

「スキル」共有による拡散とオープンソースツールの影響

この問題は、組織内での手法の共有によってさらに拡大した。あるソフトウェア企業では、7月初旬に一部のエンジニア用エージェントが公開リポジトリへの画像投稿を始めた後、1週間以内に10人以上のエンジニアがその手順を「スキル」(エージェントが読み込んで動作を拡張する指示ファイル)として保存し、全タスクで共通利用するようになった。その結果、製品のスクリーンショットや画面録画1000件以上が公開されたほか、数週間から数か月先にリリースを控えた未発表機能の文書要約まで投稿されていた。

さらに、影響を受けた組織の約3分の1では、コードレビュー用画像アップロードツール「gitshot」が使用されていた。このオープンソースツールはAIと人間の双方向けに開発されており、40種類以上のコーディングエージェントにスキルとして組み込むことができる。Glowは、同ツール経由で社内作業を公開共有していたアカウントを100件以上確認した。

The Hacker Newsが2026年9月30日にgitshotのソースコードを確認したところ、ユーザーがghツールにログインしている場合、デフォルトで個人アカウント配下の「gitshot-images」という公開リポジトリに画像を保存する仕組みになっていた。2026年4月に最終更新されたバージョンでは、プライベートリポジトリや組織所有リポジトリの利用を明示的に拒否する実装になっていたという。

調査の経緯と現状

Glowは2026年9月9日から影響を受けた各組織への連絡を開始し、9月29日に調査報告を公開した。同社は、他にも同様の影響を受けている組織が存在する可能性が高いと指摘している。

なお、Glowの研究チーム以外に第三者がこれらの流出画像をダウンロードしたか否かや、画像の具体的な検出・集計手法については明らかにされていない。Glowは、AIエージェントによるこうした外部公開アクションを防御・遮断するソフトウェア製品の提供を行っている。

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