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Anthropic Blog

AIによる大規模コード移行の時代へ──Anthropic、100万行のRust移植など「Claude Code」による活用事例を公開

要点

  • Anthropicは、AI開発ツール「Claude Code」を用いた大規模なコード移行の成果とプロセスを公開した。

  • Bun共同創設者のJarred Sumner氏が、約100万行のZigコードを2週間未満でRustへ移行することに成功した。

  • Anthropic Labs共同責任者のMike Krieger氏が、週末だけでPythonコードベースを16万5000行のTypeScriptに移行した。

  • 大規模コード移行において、AIエージェントは並行作業やテストによる自動検証が可能であるため極めて有効に機能する。

  • 米AIスタートアップのAnthropicは2026年7月16日、同社のAI開発支援ツール「Claude Code」や最新モデルを活用し、プロダクション環境のコードベースを別のプログラミング言語へ大規模に移行した事例とプロセスをブログで公開した。社内の個別開発者が主導し、数万〜数十万行におよぶ10個のコードパッケージの移行を実現したという。かつては数年を要した言語移行プロジェクトが、短期間かつ現実的なコストで実施可能になった背景を説明している。

100万行のZigコードを2週間未満でRustへ移行

具体的な移行事例の一つが、JavaScript実行環境「Bun」のZigからRustへの移行だ。Bunの共同創設者で同社テクニカルスタッフのJarred Sumner氏は、Claude Codeを使い2週間未満で100万行のRustコードを生成した。マージ前には既存のテストスイートがCI(継続的インテグレーション:自動でビルドやテストを行う仕組み)で100%パスする状態に達した。マージ後に19件のデグレード(修正による新たな不具合)が発生したもののすべて修正され、このRust移植版は2026年6月にClaude Code内に組み込まれて出荷された。

Sumner氏がBunの開発初期にZigを採用したのは、C言語レベルの性能とシンプルさが1人での開発に理想的だったためだが、プロジェクトの成長に伴いトレードオフが制限となっていた。月間1000万ダウンロードを超える現在、以前なら開発を凍結して数四半期を費やすのは不可能だったが、AIの活用で「最悪でもブランチを削除してやり直せばよい」という環境に変わりハードルが下がった。人件費と数年の歳月を要していた100万行規模の移行が、今回はキャッシュなし入力59億トークン、出力6億9000万トークンの消費(API:ソフトウェア同士が連携する窓口の料金換算で約16万5000ドル)で実現した。

週末だけで16万5000行を移植、ビルド時間を30分から2秒へ

もう一つの事例は、Anthropic Labs共同責任者のMike Krieger氏によるPythonからTypeScriptへの移行だ。Krieger氏は、週末だけで16万5000行のTypeScriptコードへの移植を完了した。このプロセスには数百の並行エージェント、8段階の検証ゲート、3回のアドバーサリアル(敵対的)レビューラウンドが導入され、最終的に全コマンドの出力を比較する parity チェックが行われた。

この移行は、従来のPythonツールチェーンによるビルド時間の長さが動機となっていた。移植前は、配布用バイナリのビルドにプラットフォームあたり約8分、全体で30分の待ち時間が発生していたが、移行後はコンパイルが約2秒に短縮され、バイナリ起動が6倍高速化したことで、デプロイパイプラインを1つ廃止できた。

なぜAIは大規模コード移行で高い効果を発揮するのか

Anthropicは、最新モデルの「Claude Fable 5」や「Claude Opus 4.8」が、並行ワークストリームの指揮や自動検証において大規模な移行に適していると説明する。移行作業はファイル単位などで並行処理がしやすく、古いコードが明確な仕様として機能するためだ。さらにテストスイートによる客観的な検証が可能なため、AIが人間を介さずエラー結果を把握して修正を繰り返すことができる。コンパイルやテストの失敗といったエラーログそのものが、AIエージェントにとってのタスクキューとして機能する。

また、トークン消費の効率化のため、複数のモデルを組み合わせる「アドバイザリーパターン」が採用され、重要なステップでFable 5が使われた。一貫性を保つため、レビュアーエージェントが指摘の根拠となるルールを明示し、違反をタスクとして修正する。新たなエッジケース(特殊な例外状況)が発生した際には、それを修正したコードを新たなルールとし、後続のエージェントに適用することで、全体の品質を均一に保つ仕組みが取られている。

今回の成果は、AIエージェントが単なるコード補完を超え、実用的な大規模システムの再構築という高度なソフトウェアエンジニアリングを担う存在になりつつあることを示している。

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