AIによる侵入自動化や偽M&A詐欺、悪質拡張機能など最新のサイバー脅威事例が判明
要点
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暗号資産ウォレットのデータや認証トークンを窃取する4種類のブラウザ拡張機能が特定された。
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複数の生成AIモデルを連携させ、政府機関や重要インフラへのサイバー侵入工程を自動化する攻撃フレームワークが確認された。
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英国NCSCが無許可のAI利用(シャドーAI)に伴う情報漏洩や、AIエージェント自体の脆弱性がもたらすリスクに警告を発した。
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経営幹部や著名アドバイザーを装い、偽の企業買収書類を用いて国際送金を促す詐欺手口が報告された。
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サイバーセキュリティ専門メディアのThe Hacker Newsは2026年9月10日、直近で確認されたサイバー攻撃や脆弱性の動向をまとめたニュースレター「ThreatsDay」を公開した。複数のセキュリティ機関や調査企業が発表した内容によると、ブラウザ拡張機能を通じた資産情報の窃取、生成AIを駆使した侵入活動の自動化、社内での無許可AI利用に伴う情報漏洩、さらには偽装されたM&A(企業の合併・買収)取引を利用した詐欺など、多岐にわたる脅威が明らかになっている。
暗号資産取引サービスを標的とする不正拡張機能の発見
セキュリティ企業Socketの調査により、Google ChromeおよびMozilla Firefox向けに配布されていた計4つの悪質なブラウザ拡張機能が特定された。これらは暗号資産取引プラットフォームである「Axiom Trade」および「Padre」の利用者を標的として設計されていた。
対象となった拡張機能は、Chrome向けの「J7Tracker」、ChromeとFirefox双方に対応した「VREO」、そしてFirefox向けの「Orbit Tracker」の4点である。これらの拡張機能は、ログイン中のユーザー情報やウォレット関連のバンドルデータ、クラウド認証基盤であるFirebaseのアクセストークン、アプリケーション内部の状態を自動的に収集し、攻撃者が管理するVercel上のサーバーへと送信する仕組みを持っていた。
Socketによると、調査対象となった拡張機能のうち3つにはバイト単位で完全に一致する同一の収集モジュールが組み込まれており、残る1つも一部の痕跡を残しつつ同様のデータを狙っていたという。また、同一のChromeパブリッシャーが過去にも「MockApe」と呼ばれる取引アドオンに偽装した「GhostApe」および「GhostApe Color」を公開していた履歴が確認されている。
複数の生成AIモデルを統合したサイバー侵入フレームワーク
セキュリティ企業Hunt.ioの報告によると、中国語話者の攻撃者がAnthropicの「Claude Code」、Alibabaの「Qwen」、および「DeepSeek」などのAIモデルを組み合わせ、アジアや米国の政府機関および金融システムへの侵入を自動化していたことが判明した。
被害の対象には、台湾の国民党党史館、インドネシア外務省、中国本土の教育・政府システム、ベトナム・ダナンの産業用ホストのほか、アフガニスタン、タイ、米国のシステムが含まれている。
攻撃者は「SecFlow」と呼ばれるAIオーケストレーションフレームワークを使用していた。このツールは全体の作戦目標を個別のタスクへと変換し、専門化されたAIエージェントに対して必要なツールや標的情報、共有ストレージ、通信経路を供給することで、事前偵察、脆弱性の悪用、データ収集、報告といった各工程を分担して実行させていた。
悪用された脆弱性には、ShellshockやLog4Shell、Spring4Shell、Ghostcatのほか、Shiroのデシリアライゼーション(不正なデータ復元処理による攻撃)、GrafanaやNexusのパストラバーサル(不正なファイル参照)、Nacosの認証バイパスなどが含まれていた。侵入後には「GLUTTON」と呼ばれる機能でWebシェル(遠隔操作用の不正プログラム)を生成・配置し、権限昇格や認証情報の窃取を進めた上で、Go言語ベースのリモートアクセスフレームワーク「SecBox」などのバックドアを展開していた。この一連のキャンペーンは、2026年7月に初期の活動が観測されていた。
英国NCSCによる「シャドーAI」とAIエージェント脆弱性への警告
英国の国家サイバーセキュリティセンター(NCSC)は、企業の許可を得ずに従業員が業務でAIツールを利用する「シャドーAI」が深刻なセキュリティ上の脅威をもたらしているとして警告を公表した。
NCSCは、従業員が機密情報や顧客データ、独自の業務データを一般的なコンシューマー向けAIサービスに送信することで、組織側がデータの所在や利用状況を把握・制御できなくなると指摘している。これにより、データ侵害や知的財産の流出、各種コンプライアンス要件への違反リスクが高まるとしている。
また、自律的に動作するAIエージェントソフトウェアそのものに重大な脆弱性が存在するリスクにも言及した。もし攻撃者がAIエージェントの脆弱性を突いて侵入に成功した場合、そのエージェントが正当に付与されているデータアクセス権や各種サービスの操作権限、システム権限がそのまま攻撃者に悪用される恐れがあると説明している。
架空のM&A取引文書を悪用した電信送金詐欺
セキュリティ企業Gen Digitalは、企業の役員になりすまして法務部門や金融関係者を標的とし、架空の買収取引を持ちかけて不正な国際送金を行わせる「Phantom Deal」と呼ばれる詐欺手口を公表した。
攻撃者は、著名なアドバイザーが主導する厳格な買収案件が存在し、限られた関係者のみで進行していると主張。公表予定日が間近に迫っているとして緊急性を煽り、連絡手段を通常の業務チャネルからWhatsAppや個人のメールアドレスへと誘導していた。
標的となったのは、プライベートエクイティ、産業金融、エネルギー、鉱業、営業など多岐にわたる業界の幹部層であった。提示された書類は標的企業に合わせてブランド表記が変更されていたものの、条文の構成や法的な言い回し、秘密保持の義務付け、秘密保持契約(NDA)締結日から公表予定日までの短い期間設定など、多くの部分で同一のテンプレートが使い回されていたことが明らかになっている。