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Anthropic Blog

AIを用いた巧妙なサイバー攻撃に対抗、OuttakeがClaudeで構築した自律型調査エージェント「Recon Agent」の開発プロセスを公開

要点

  • 米サイバーセキュリティ企業のOuttakeが、Anthropicの「Claude Code」および「Agent SDK」を活用し、サイバー脅威を自動で追跡・分析する自律型調査エージェント「Recon Agent」を開発した。
  • Recon Agentは、偽のログインページといったなりすまし行為を検知するだけでなく、関連するSNSアカウントなど背後にある攻撃ネットワーク全体を特定し、関係図をマップ化する能力を持つ。
  • エージェントはコードの読み書きや実行が可能で、悪意あるログイン画面と実際にやり取りを行って盗まれた情報の送信先を自律的に特定する。
  • 調査の実行セッション時間は中央値で16分だが、日常的に1時間を超え、最長で2時間におよぶ長時間の自律稼働実績を誇る。
  • Outtakeは、開発にあたって実際のサイバー調査から評価基準を定義する工程と、Claude Codeを用いたプロトタイピングによる設計制限の構築という段階的なアプローチを取った。

リード文

米国のAIセキュリティスタートアップ企業であるOuttakeは、AnthropicのAIアシスタント「Claude」を活用し、デジタル上の脅威を自律的に検出・調査・解体するサイバー調査エージェント「Recon Agent」を構築した。Anthropicが2026年7月22日に公式ブログで明らかにした。同社は開発者向けコマンドラインツールの「Claude Code(開発者がターミナルからClaudeと対話してコードの作成やデバッグを行えるツール)」および「Agent SDK(AIエージェントを構築するための開発キット)」を使用し、長時間の自律稼働が可能なシステムを実現したという。

AI悪用によるサイバー脅威の激化と従来のセキュリティ対策の限界

近年、悪意ある攻撃者がAIを悪用するケースが増加しており、従来のセキュリティ対策では追いつかない状況が生まれている。攻撃者はAIを利用することで、極めて精巧な偽のログインポータルを迅速に構築し、営業支援ツールを悪用してフィッシング(本物のサイトに似せた偽のウェブサイトなどを作り、資格情報を盗み取る詐欺手法)のメールを大量に配信するほか、画像生成AIを用いて本人確認をすり抜けるといった手法を用いている。

Outtakeの創業者兼CEOであるAlex Dhillon(アレックス・ディロン)氏は、「攻撃者の視点に立てば、現在は攻撃を実行するのに最適な時期だ」と指摘する。AIの普及により、平均的なサイバー攻撃の実行速度が向上しただけでなく、奪取されるアクセスの権限も深くなっているという。

攻撃者が組織を標的にする場合、一般的に「公開データの収集」「なりすましによる誘い出し」「内部システムへの侵入」という3段階のプロセスをたどる。しかし、従来のセキュリティツールは特定の領域に特化しており、プロセス全体を包括的に防御することは困難だった。たとえば、公開データの監視には脅威インテリジェンスツールが、なりすましの監視にはブランド保護ツールが、内部侵入の防御にはエンドポイント対策ツールがそれぞれ個別に機能するため、分断された防御にならざるを得ないという課題があった。

自律型サイバー調査エージェント「Recon Agent」の機能

Outtakeが開発したRecon Agentは、この分断された攻撃プロセス全体を一貫して調査する。単に複製された偽のログインページを発見して削除を申請するだけにとどまらず、そのイベントから証拠を収集・分類する。

さらに、収集した証拠に基づいて、顧客サポートを装ったTelegram(セキュリティ性の高さを特徴とするメッセージングアプリ)の偽アカウントといった関連するインフラを追跡し、敵対的なネットワークの関係図をグラフ形式で構築する。調査の最終段階では、プロセスの説明、脅威アクター(サイバー空間において悪意ある攻撃を行う個人や組織)の横顔、そして攻撃者の行動を再現したタイムラインを含む詳細なレポートを出力する。

Recon Agentは、これらの高度な調査作業を実行するために、コードの読み書きやプログラムの実行を自律的に行うことができる。実際に悪意あるログインページと通信を行って、送信されたログイン情報がどこへ流れているのかを突き止めることも可能だ。こうした自律的な調査は長時間に及ぶことが多く、実行セッションの中央値は16分だが、日常的に1時間を超え、これまでの最長稼働記録は2時間に達している。

専門知見の定義とClaude Codeによるプロトタイピング

Outtakeは、Recon Agentを以下の段階を経て開発したと説明している。

最初のステップは、サイバー調査の専門知見を明確にすることだった。開発にあたり、Outtakeのエンジニア自身が実際のサイバー調査を行い、顧客やパートナーから専門知識を集約した。何が「優れた調査」なのか、どのような証拠が必要で、どう整理すべきかという基準を事前に定義し、以降の開発プロセスにおける固定の参照点とした。同社のエージェントプラットフォーム担当リードエンジニアであるJack Hayford(ジャック・ヘイフォード)氏は、「長時間の稼働エージェントを構築する上で最も重要なのは、優れた成果の基準を定義し、エージェントがそれを毎回再現できるようにすることだ」と述べている。

次のステップとして、同社は従来の開発フレームワークの限界に直面した。Recon Agentには、コードを書き、プログラムを実行し、動的にツールを構築して悪意あるドメインとやり取りする高度な技術的能力が必要だったからである。

そこでエンジニアチームは、検証を迅速に進めるための初期環境として「Claude Code」を採用した。Claude Codeを用いたプロトタイピング(本格的な開発の前に、機能や動作を検証するための試作品を作成する工程)を重ねることで、彼らは設計原則を確立した。それは、オーケストレーション(システム全体の動作や複数のAIエージェントの役割を統合的に制御・管理すること)のレベルでエージェントの動きを厳密に制限し、特定の状況下では常に定められた手順を踏むように制御することだったという。

補足

Outtakeは2023年に設立された新興のサイバーセキュリティ企業で、元Palantirのプロジェクトチームに在籍していたAlex Dhillon氏によって創業された。同社は年間経常収益(ARR)を前年比で6倍に伸ばし、顧客基盤も10倍以上に拡大させている。2025年単年で2000万件以上の潜在的なサイバー攻撃をスキャンしており、その顧客には主要なAI研究機関、大手ヘッジファンド、米国政府機関などが名を連ねている。

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