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AWS ML Blog

Amazon Bedrock AgentCoreの記憶を最適化する「メモリライフサイクルポリシー」の設計手法をAWSが公開

要点

  • 米AWSは、生成AIエージェントの記憶を体系的に管理・整理する「メモリライフサイクルポリシー」の設計手法とアーキテクチャを公開した。

  • 長期運用に伴い古い情報が蓄積して誤回答やコンプライアンス上の問題が生じるのを防ぐため、記憶のスコアリングや統合、削除を夜間に自動実行する。

  • エージェントの記憶を「エピソード記憶」「意味記憶」「手続き記憶」の3つに分類し、それぞれの特性に応じた保持期間や更新ルールを定義している。

  • AWS Step FunctionsやAmazon Bedrockを組み合わせた実装用のAWS CDKスタックおよびサンプルコードがGitHub上で提供されている。

  • 米Amazon Web Services(AWS)は現地時間の2026年9月4日、AIエージェント開発機能「Amazon Bedrock AgentCore」において、エージェントが蓄積する記憶を適切に管理・消去するための「メモリライフサイクルポリシー」の設計手法を公式ブログ(AWS ML Blog)で発表した。長期間稼働する自律型AIエージェントが、過去の不要な会話コンテキストを保持し続けることによる応答品質の劣化を防ぐ仕組みを提案している。あわせて、本手法を導入するためのAWS Cloud Development Kit(AWS CDK:クラウドインフラをコードで定義するフレームワーク)スタックを含むサンプルコードをGitHub上で公開した。

長期稼働による「古いコンテキストの蓄積」と課題

AWSの解説によると、AIエージェントは会話を行うたびに新たな記憶を生成するが、これを能動的に管理しない場合、過去の古い情報が蓄積し続ける問題が生じるという。本番環境で数か月にわたって運用を続けた結果、回答精度の低下やコンプライアンス上のリスクといった弊害が実際に確認されている。

具体的な事例として、あるカスタマーサポート向けエージェントでは、4か月前にすでに解決していた請求トラブルを現在も継続中の案件として扱ってしまったケースが報告されている。また別のエージェントでは、古い運用手順書の内容が記憶に残っていたため、すでに更新された古いデプロイ手順を繰り返し案内してしまう事象が発生したという。

こうした課題を解消するためAWSは、時間の経過に応じてエージェントの記憶を体系的にスコアリング(評価)し、統合し、不要なものをプルーニング(枝刈り・削除)する「メモリライフサイクル管理」の実践を提唱している。

保持期間と更新方針を分ける3つの記憶分類

本手法では、ライフサイクルポリシーを策定するための共通基盤として、エージェントの記憶を役割や性質に応じて以下の3種類に分類している。

1. エピソード記憶(Episodic memory)

過去の会話内容そのものを記録した情報であり、タイムスタンプが付与され、個別のセッションに紐づくデータ量の多い記憶である。AgentCore memoryでは「Summary(要約)」と「Episodic(個別エピソード)」の2つの戦略で保存される。短期的な文脈の継続性を提供するものの、時間の経過とともに個々のエントリの関連性は低下するため、ライフサイクルポリシーにおいては最も優先して期限切れ・消去の対象とすることが推奨されている。

2. 意味記憶(Semantic memory)

過去の対話から抽出・蒸留された確定的な事実やユーザーの好みなどの情報である。特定の単一セッションから切り離された、コンパクトで価値の高いデータとなる。具体例として「ユーザーはデプロイ先としてバージニア北部リージョン(us-east-1)を好む」といった設定情報が挙げられている。意味記憶はエピソード記憶よりも長期間保持され、複数の会話から得られた観察結果を1つの正確な事実へと統合(Consolidation)する主要な対象となる。

3. 手続き記憶(Procedural memory)

学習された業務ワークフローやツールの利用パターンを記録した情報である。具体例として「ユーザーからコストに関する質問を受けた際は、まずAWS Cost Explorer APIに問い合わせてから内容を要約する」といった、エージェントの運用ノウハウや専門知識が該当する。データ量は少ないものの業務上の価値が極めて高いため、最も長期間保持され、削除の基準も最も厳格に設定される。AgentCore memory上では、エピソード記憶に紐づくリフレクション(振り返り)として保存される仕組みとなっている。

Step FunctionsとBedrockによる夜間ワークフローの構成

AWSが提案するアーキテクチャでは、AgentCore memoryに加えて、処理の自動化を担う「AWS Step Functions」(サーバーレスなワークフロー管理サービス)と基底モデルサービス「Amazon Bedrock」を組み合わせ、夜間バッチとしてライフサイクル管理ワークフローを実行する構成をとる。

このソリューションは、カスタマーサポートや営業アドバイザー、ITヘルプデスク向けボットなど、数週間から数か月にわたり大量の対話データを蓄積するエージェントを主な対象としている。一方、対話量の少ないパーソナルアシスタントのような用途では、TTL(Time-To-Live:データの有効期間設定)による自動失効やGDPR(EU一般データ保護規則)への準拠対応から始める構成も可能だとしている。また、記憶の評価や削除に関わる各種の閾値は、エージェントの要件に応じて柔軟に調整できる設計となっている。

GitHubにてAWS CDKスタックを提供

AWSはこのライフサイクル管理フレームワークをマネージドなリソースとして扱えるよう、AWS CDKのテンプレートを用意している。完全なコード一式はGitHubリポジトリ(aws-samples/sample-memory-lifecycle-policies-for-bedrock-agentcore)にて公開されており、開発者は自身の環境へ迅速にデプロイして検証できるようになっている。

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