OWN NEWS GATHER
← 戻る
AWS ML Blog

Amazon BedrockナレッジベースとLangChainが「エージェンティック検索」に対応、複雑な質問の分割検索が可能に

要点

  • AWSは、Amazon Bedrock Managed Knowledge BasesとLangChainを組み合わせたエージェンティック検索(Agentic retrieval)の手法を解説した。

  • 単一のベクトル検索ではカバーしきれなかった複合的な質問に対し、モデルが自律的に複数のサブクエリへ分解して段階的に検索と検証を行う。

  • langchain-aws パッケージを通じて、単一検索用の Retrieve API と多段階の計画ループを実行する AgenticRetrieveStream API の双方が利用可能となっている。

  • 検索の実行過程やモデルの計画はトレースイベントとしてリアルタイムにストリーミング配信される。

  • 質問の性質やコスト要件に応じた、標準検索とエージェンティック検索の使い分けの基準が示された。

  • 米Amazon Web Services(AWS)は2026年10月5日、公式ブログ「AWS ML Blog」において、フルマネージド型RAG(検索拡張生成:外部ドキュメントを検索してLLMの回答精度を高める技術)サービス「Amazon Bedrock Managed Knowledge Bases」と、LLMアプリケーション開発フレームワーク「LangChain」を連携させた「エージェンティック検索(Agentic retrieval)」の実装手法を公開した。

  • 同記事では、複数の比較軸を含む複雑な問い合わせに対してモデル自身が検索計画を立てて情報を収集するアプローチを紹介し、従来の単一検索との動作の違いやコストを踏まえた使い分けについて説明している。

従来の単一検索が抱えていた「複合クエリ」への課題

記事ではまず、従来のRAGアプリケーションにおける検索の限界が指摘されている。例えば、サポートアシスタントに対して「2つの製品を3つの観点から比較してほしい」と質問した場合、実質的には6つの独立した質問を同時に投げかけている状態になる。

従来の類似度検索(ベクトル検索)では、これらすべての意図を単一のクエリベクトルに圧縮して検索を行うため、結果として各意図の「平均値」に近い近似的なチャンク(文書断片)しか取得できない。この場合、システムはエラーを起こさず、関連度スコアも一見すると正常に見えるものの、取得されたドキュメントはユーザーが求めた質問全体のごく一部しかカバーできていないという問題が生じていたという。

自律的に計画・検証を行うエージェンティック検索の仕組み

Amazon Bedrock Managed Knowledge Basesで利用可能となったエージェンティック検索は、1回限りの検索で終わらせるのではなく、モデル自身が検索の進行計画(プランニング)を構築する。

ユーザーから複雑な質問を受け取ると、モデルはそれを小さな「サブクエリ(個別検索用のクエリ)」に分解して実行する。さらに、取得できた検索結果から十分な根拠が集まったかをモデルが判定し、情報が不足していると判断された場合は自律的に追加の再検索を実行するループ処理を行う。これにより、複数の論点を含む質問に対しても網羅的な情報収集が可能になるとしている。

LangChainで利用可能な2つのAPIとアーキテクチャ

Amazon Bedrock Managed Knowledge Basesは、Amazon Simple Storage Service(Amazon S3)などのデータソースを設定するだけで、ドキュメントの分割、ベクトル埋め込み、ストレージ管理、検索処理までをマネージドで担う。これにより、開発者が自前でベクトルデータベースや再ランキング(Re-ranking)モデルを管理・運用する必要をなくしている。

公式パッケージである langchain-aws では、用途に応じて以下の2種類のAPIを呼び出すことができる。

  1. Retrieve API:

    • 1回のハイブリッド検索(キーワード検索とベクトル検索の組み合わせ)を実行し、スコア付きのドキュメントチャンクを返すシングルショット方式。
    • LangChainの標準的なリトリーバー(Retriever)コンポーネントとして、既存の処理チェーンへそのまま組み込むことができる。
  2. AgenticRetrieveStream API:

    • 多段階の計画ループを実行する方式。
    • モデルが生成した計画や各検索ステップの進行状況は「トレースイベント(trace events)」として呼び出し元へストリーミング送信される。
    • LangChainアプリケーションからは、ナレッジベースから直接情報を引き出す関数(Function retrieval)として機能する。

コストと用途に応じた使い分けの必要性

記事内では、同一の複数条件を含む質問を標準検索とエージェンティック検索の双方に入力し、モデルが立てた計画トレースや検索精度を比較検証している。

エージェンティック検索は高い網羅性を実現する一方で、複数回の検索処理やモデルによる判断を挟むため、単一検索と比較して処理コストが変動する。そのため記事では、すべての問い合わせにエージェンティック検索を適用するのではなく、シンプルな問い合わせには安価な Retrieve API を選択するなど、要件に応じた適切な経路選択の重要性についても解説している。

補足

Amazon Bedrock Managed Knowledge Basesは企業の社内ドキュメントを活用した生成AI構築を支援する基盤であり、今回のLangChain向け機能提供によって、開発者は既存のLangChainエコシステムを保ちながら高精度な自律検索機能を組み込めるようになっている。

元URL