Amazon Bedrockに「Kimi K3」が登場、2.8兆パラメータのオープン重みモデルが利用可能に
要点
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米AWSは、Moonshot AIが開発したオープン重みモデル「Kimi K3」をAmazon Bedrockで提供開始した。
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オープンモデルとして初めて2.8兆パラメータに達し、100万トークンのコンテキストウィンドウと画像認識機能を備える。
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Amazon Bedrock上のオープン重みモデルとして初めて「明示的プロンプトキャッシング」に対応し、コストとレイテンシを削減できる。
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グローバルなリージョン間推論プロファイルを選択することで、米国内限定プロファイルに比べ約10%安価に利用できる。
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米Amazon Web Services(AWS)は2026年9月18日、同社のクラウド型AIサービス「Amazon Bedrock」において、中国Moonshot AIの大規模言語モデル「Kimi K3」の提供を開始したと発表した。Kimi K3は、パラメータ数やコンテキスト長において大幅な性能拡張を果たしたオープン重みモデル(AIの内部パラメータデータが公開されているモデル)である。エンタープライズ水準のセキュリティと推論最適化機能を備えた環境で、コーディングや長文処理などの用途に向けて即日利用可能となった。
2.8兆パラメータと100万トークンを誇る処理能力
発表によると、Kimi K3はMoonshot AIが手がけたモデルの中で最も高い能力を持ち、オープンモデルとして初めて2.8兆パラメータに達したという。テキスト処理に加えてネイティブの画像認識(ビジョン)機能を統合しており、一度に処理可能な情報量を表すコンテキストウィンドウは100万トークンに及ぶ。
また、前世代モデルにあたる「Kimi K2」と比較して、計算規模に対する性能の伸び率を示すスケーリング効率が約2.5倍向上したと説明している。こうした特徴により、大規模なソースコードのリポジトリ、膨大な文書群、複数枚の画像などを一度に読み込み、長期にわたって一貫した文脈を維持する必要がある高度なコーディングやナレッジワークフローに適しているとしている。
オープン重みモデル初の「明示的プロンプトキャッシング」
今回の提供開始に合わせ、Kimi K3はAmazon Bedrock上のオープン重みモデルとして初めて「明示的プロンプトキャッシング(explicit prompt caching)」に対応した。これは、システムプロンプトや参照用ドキュメントなど、毎回繰り返し送信される固定の入力文を一時保存して再利用する技術である。
開発者は、1,024トークン以上の共通プレフィックス(入力文の冒頭部分)の末尾にブレークポイント(prompt_cache_breakpoint)を設定することで、キャッシュを明示的に作成できる。キャッシュ書き込み時のトークン料金は通常より高めに設定されているものの、最低30分間にわたって保持される仕組みだ。キャッシュにヒットした以降のリクエストでは、入力トークンが割引料金で計算されるほか、1分あたりの入力トークン利用枠(クォータ)を消費しない利点がある。これにより、長時間のワークフローにおける応答遅延(レイテンシ)と入力コストの大幅な削減が可能になるという。
企業のデータ境界を守るセキュリティ機構
AWSは、Bedrock上の他のオープン重みモデルと同様に、Kimi K3も既存のセキュリティポリシーを変更することなく導入できると強調している。入力データはAWSの管理するデータ境界内でのみ処理され、モデル提供元であるMoonshot AIに送信されたり、基盤モデルの追加学習に用いられたりすることはない。
さらに、推論リクエスト時のデータ保持を無効化する「ゼロデータ保持」が常時適用されるほか、AWSの運用担当者であってもユーザーのプロンプトや生成結果を閲覧できない「ゼロオペレーターアクセス」によって保護される。これら多層の保護機能により、機密データを扱う企業でも安心してオープン重みモデルを採用できる環境を整えている。
柔軟なAPI連携と10%安価なグローバル推論
Kimi K3は、マネジメントコンソールの「Playground」で手軽にテストできるほか、各種APIを通じたプログラム呼び出しに対応している。APIには、Amazon Bedrock標準の「Invoke API」「Converse API」に加え、OpenAI互換の「Responses API」「Chat Completions API」が用意されている。
推論の実行にあたっては、複数のリージョンをまたいで負荷分散を行う「クロスリージョン推論プロファイル」が提供される。世界中のサポート対象リージョンへ自動ルーティングするグローバルプロファイル(global.moonshotai.kimi-k3)を選択した場合、処理地域を米国内に限定する米国地理プロファイル(us.moonshotai.kimi-k3)に比べて約10%低い価格で利用可能だ。なお、API呼び出しにはPython 3.10以上の環境と、bedrock:InvokeModelなどの所定のIAM(ID・アクセス管理)権限が必要となる。
拡充を続けるBedrockのオープンモデル基盤
AWSは2025年以降、DeepSeek、Google、MiniMax、Mistral AI、Moonshot AI、NVIDIA、OpenAI、Qwenなど多様なプロバイダーから数十種類におよぶオープン重みモデルをBedrockに追加してきた。2026年には推論基盤の強化を進め、外部ツール連携(ツールコーリング)、構造化出力、多段階推論、応答ストリーミングなどの機能をプラットフォーム全体へ拡充している。
これらの機能はモデルごとの個別実装ではなくBedrock共通の基盤機能として提供されているため、Kimi K3でも最初から利用可能となっている。さらに、API直接連携だけでなく、オープンソースのコーディング支援ツール「OpenCode」をはじめとする各種エージェントフレームワークからも即座に呼び出して活用できる体制が整っている。