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AWS ML Blog

Amazon Bedrockの「AgentCore Observability」を活用したAIエージェントのパフォーマンス最適化手法が公開

要点

  • Amazon BedrockのAIエージェント監視機能「AgentCore Observability」と「Amazon CloudWatch」を組み合わせた、本番環境におけるパフォーマンス最適化手法が公開された。
  • AIエージェントを本番環境へ移行した後に直面しやすい、動作は正常であるものの応答が遅い問題や、メモリ消費が想定を超えて増大する問題への対処方法が示されている。
  • 応答遅延の要因となる処理のボトルネックを特定するため、ユースケースごとに許容応答時間の目標値を設定し、監視システムで閾値を超える低速な処理を抽出して分析する手順が紹介された。
  • 関連するエージェント評価・分析ツールとして、「AgentCore Evaluations」や「AgentCore Insights」の活用も推奨されている。
  • 米Amazon Web Services(AWS)は2026年7月31日、公式技術ブログ「AWS ML Blog」において、AIエージェントの内部動作を可視化する機能「Amazon Bedrock AgentCore Observability」と、同社のシステム監視サービス「Amazon CloudWatch」を組み合わせたパフォーマンスの最適化手法を公開した。本手法は、試作段階から本番環境(プロダクション環境)へ移行したAIエージェントが直面しやすい、応答速度の低下やメモリの異常な増大といった運用上の課題を解決するためのものである。エラーを伴わずにユーザー体験を損ねる「サイレントな性能低下」に対し、監視と分析を通じて先手を打つアプローチを解説している。

動作確認から効率化へ:本番移行で変化するAIエージェントの課題

AIエージェント(特定の目標に向けて自律的に判断しタスクを実行する人工知能プログラム)の開発では、プロトタイプ(試作品)から本番環境へ移行するにつれて、直面する課題が変化するという。開発初期の「正しく動作させること」という目的が達成されると、次のステップでは「動作の高速化と処理効率の維持」が重要になる。

以前公開されたシリーズのパート1では、無限ループやツールの呼び出しエラーといった、システムが「破損している状態」のデバッグ方法が解説された。これに対して今回は、システム自体は正しく機能しているものの、パフォーマンスが著しく低下している状態への対策を提示している。

応答時間の遅延や、セッションの長期化に伴うメモリ使用量の無制限な増加は、エラーとして検知されないことが多いため見落とされやすい。しかし、これらはユーザーの信頼を損ねるだけでなく、サーバーの運用コストを不必要に押し上げる原因となるため、本番環境における重大な運用課題であると指摘されている。

AgentCore ObservabilityとCloudWatchによる可視化の仕組み

こうした性能劣化に対処するため、AWSはAmazon Bedrock AgentCoreの機能である「AgentCore Observability」(AIエージェントの内部動作や処理の推移を詳細に測定・記録する機能)と、リソース監視サービス「Amazon CloudWatch」の併用を提案している。

これらのツールを連携させることで、エージェントが実行する処理経路全体の中から、処理速度を低下させている原因箇所である「パフォーマンスのボトルネック」を体系的に特定できるようになる。また、長時間継続するセッションにおいてメモリが不当に消費されている状態を診断することも可能だ。

さらに、システムの性能が徐々に低下していく現象(デグラデーション)をユーザーが察知する前に自動で検出する監視体制の構築方法も示されている。なお、運用の最適化を進めるための関連機能として、エージェントの動作品質を測定する「AgentCore Evaluations」や、詳細なデータ分析をサポートする「AgentCore Insights」といった機能の活用についても言及されている。

パフォーマンスボトルネックの特定と「予算」の策定

記事では具体的なトラブルシューティングの例として、「パフォーマンスのボトルネック」が発生するシナリオを取り上げている。これは、エージェントへの問い合わせに対して1秒未満(サブ秒)の素早い応答を期待しているのに対し、実際には数秒以上の遅延が発生してしまう状況である。

処理の遅さという基準は、個々のユースケース(利用場面)によって主観的であると説明されている。たとえば、まとめてデータを処理するバッチ処理用のエージェントであれば数秒から数十秒の遅延は許容されるが、顧客と対話するカスタマーサービス用のチャットボット(自動会話プログラム)では数秒の遅れでも実用に耐えなくなる。

このため、開発者はまず自身のシステムに応じた「パフォーマンス予算(許容される応答時間の目標値)」を設定し、その基準値を超える処理を実行しているコンポーネントを特定していく作業が必要になる。

サイレントな性能低下を検知するクエリ分析

パフォーマンスの低下は、新機能の追加やツールの統合、あるいはメモリの蓄積に伴って徐々に進行することが多いという。初期は快適な2秒の応答時間で動作していても、アップデートを重ねるうちに5秒、10秒と遅延が伸びていく。この際、エラー率は低い状態に留まるため、システム監視のアラート(警告)にはかからない「サイレントな遅延」となる。

この問題を発見するために、AWSはCloudWatchのログ検索機能を用いた分析手法を紹介している。具体的には、呼び出しリクエストのログデータから、指定したパフォーマンス予算(例として3000ミリ秒、すなわち3秒)を超えるレイテンシ(処理を要求してから結果が返るまでの遅延時間)を記録した呼び出しを抽出する検索クエリ(ログデータを検索・集計するための命令文)を実行する。

提示されたクエリの例では、エージェントを呼び出す「InvokeAgent」操作のログから遅延時間が3秒を超えるものを抽出し、遅延の大きい順にソート(並び替え)して上位50件を表示する記述が示されており、これによって問題のあるセッションや呼び出しを迅速に特定できるとしている。

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