Amazon Bedrockの利用コストをIAM単位で可視化、AWSがAthenaやCUDOSを活用した分析手法を解説
要点
- 米Amazon Web Services(AWS)は、生成AIサービス「Amazon Bedrock」の利用コストをユーザーやアプリケーション単位で詳細に分析・可視化する具体的な手法を公開した。
- 新たに提供された「Cost and Usage Report(CUR)2.0」のデータエクスポート機能により、推論リクエストを呼び出したIAMプリンシパル情報をコストデータに紐付けることが可能になった。
- 集約したデータは「Amazon Athena」を用いることでSQLによる柔軟な集計やチャージバック処理に活用できる。
- 定番の可視化テンプレート「CUDOSダッシュボード」にもBedrockの詳細データが統合され、組織構造に合わせたグラフィカルな分析に対応した。
概要
米Amazon Web Services(AWS)は2026年8月12日、機械学習・AI公式ブログにおいて、生成AIプラットフォーム「Amazon Bedrock」のコストをきめ細かく把握・分析するための実践的な手法を解説する記事を公開した。
同社はこれに先立ち、Bedrockにおける個々の推論リクエストを実行元のIAMプリンシパル(AWSの認証・認可における実行主体)へ自動的に紐付ける詳細なコスト帰属機能を発表していた。今回の記事では、この機能によって出力されるデータを「Cost and Usage Report(CUR)2.0」経由でエクスポートし、「Amazon Athena」によるSQLクエリや「CUDOS(Cloud Intelligence Dashboards)」を活用して可視化・分析する一連のアーキテクチャが示されている。
IAMプリンシパルに基づくコスト帰属の背景
Amazon Bedrockの利用が組織内で拡大するにつれ、どのユーザーや社内ツール、あるいはどのプロジェクトがどれだけの推論コストを消費しているかを正確に把握する重要性が高まっている。
AWSが提供を開始した詳細なコスト帰属機能では、Bedrockへの推論リクエストごとに呼び出し元のIAMプリンシパルが自動で追跡される仕組みとなっている。これにより、請求明細データ上に新設された line_item_iam_principal 列を通じて、ユーザー別やアプリケーション別の利用実績が明確に記録される。
さらに、コスト配分タグを併用することで、AWS Cost Explorer上でチーム、プロジェクト、テナント単位での費用集計も容易に行えるという。この仕組みは自社開発のカスタムアプリケーションに限らず、「Claude Code」や「Codex」といったサードパーティ製の開発ツールから実行されたBedrock利用に対しても同様に適用可能であると説明されている。
CUR 2.0の設定手順と必要な前提条件
今回の解説記事では、まずコストと使用状況のレポートを作成する「CUR 2.0」を「Data Exports」機能からセットアップする手順が紹介された。
セットアップにあたっての前提条件として、以下の項目が挙げられている。
- 請求(Billing)コンソールへのアクセス権を持つAWSアカウント
- Cost and Usage Reports、Amazon S3、Amazon Athenaに対する適切なIAM権限
- CURデータを格納するためのAmazon S3バケット
- SQLおよびAWSマネジメントコンソールに関する基本的な知識
- (オプション)自動セットアップを行うための「Claude Code」または「Kiro-CLI」
具体的な作成手順としては、AWS Billing and Cost Managementコンソールの「Data Exports」画面から標準エクスポート(Standard data export)を作成する。この際、「追加のエクスポートコンテンツ(Additional export content)」の設定項目において、「発信者ID(IAMプリンシパル)割り当てデータを含める(Include caller identity (IAM principal) allocation data)」のチェックボックスを有効化することが不可欠なステップとなる。
このオプションを有効化することで、エクスポートされるコストデータに line_item_iam_principal 列が追加され、接頭辞 iamPrincipal/ が付与されたIAMプリンシパルタグが正しく反映されるようになる。
Amazon Athenaによるデータ分析とCUDOSダッシュボードの活用
エクスポートされたCUR 2.0のデータは、インタラクティブなクエリサービスである「Amazon Athena」と連携させることで、SQLを用いた自在なデータ集計が可能となる。
記事内で示されたクエリ実行例では、IAMプリンシパルや使用タイプ(Usage Type)ごとに、Claudeモデルなどのトークン消費に応じたコスト(Unblended Cost)が正確に算出・一覧化できる様子が示されている。Athenaを活用する利点として、柔軟なデータ集計はもちろんのこと、各種ビジネスインテリジェンス(BI)ツールとの連携や、各事業部・開発チームへ費用を請求するチャージバック(社内課金)プロセスの自動化に組み込みやすい点が挙げられている。
一方で、より直感的なビジュアル分析を求める組織に向けては、AWSが提供するダッシュボードフレームワーク「CUDOS」の機能拡張が紹介されている。CUDOSダッシュボードにはBedrockの詳細なコストおよび使用状況データがあらかじめ組み込まれており、組織固有の体制や階層構造に合わせたグラフィカルな分析画面を容易に構築できると説明されている。