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AWS ML Blog

Amazon BedrockとAWS Lambdaを活用、自然言語から社内アプリを自動生成する「PDI Brew」の構築事例

要点

  • 米PDI Technologiesが、自然言語の指示から数秒でセキュアな社内向けWebアプリケーションを自動デプロイできるプラットフォーム「PDI Brew」を構築した。
  • システムの根幹には、Amazon BedrockとAWS Lambdaを組み合わせた「自律的プロビジョニングパターン」が採用されている。
  • 非技術部門の従業員であっても、Gitやターミナルの操作、インフラ管理の知識なしにシングルサインオンで保護されたアプリを配信できる。
  • 自動生成されたアプリは、APIキーの設定なしに、ガバナンスが確保された状態でAmazon BedrockのAI機能を利用可能である。

リード文

米AWSは2026年8月6日、同社の機械学習ブログ「AWS ML Blog」にて、小売・卸売向けデータ運用支援を手がける米PDI Technologiesの事例を公開した。同社は、対話型AIサービス「Amazon Bedrock」とサーバーレス実行環境「AWS Lambda」を組み合わせ、非技術部門の従業員が英語のテキストで要件を伝えるだけでWebアプリケーションを自動生成・デプロイできるシステム「PDI Brew」を構築したという。

開発の背景と社内ツールの課題

多くの企業では、簡易的な配送料計算ツールや入力フォーム、スプレッドシートを可視化する簡易ダッシュボードなど、現場の業務に直結する小規模なツールのニーズが常に存在している。しかし、シンプルなツールであっても、実際に開発・導入するには開発者の確保や開発案件の優先順位付け、ソースコードを管理するリポジトリ作成、ビルドやテストを行うデプロイパイプラインの構築、通信の暗号化設定といった、通常のソフトウェア開発と同様の多くのプロセスが発生する。

このため、収益に直結する主要機能の開発が優先され、現場が必要とするツールの開発は後回しになりがちである。結果として、放置されたまま活用されない多くの社内ツールの需要が累積し、業務の生産性向上を阻む原因となっていた。

世界200以上の国と地域で20万以上の拠点をサポートし、約4000人の従業員を擁するPDI Technologiesも同様の課題を抱えていた。従来のデプロイパイプラインが非技術部門のボトルネックになっていたことを認識した同社は、このギャップを埋めるために自動デプロイプラットフォーム「PDI Brew」を構築した。

自然言語による対話型アプリデプロイの実現

PDI Brewを使用すると、プログラミングやインフラの専門知識を持たない従業員でも、英語のプレーンテキストで作成したいツールの要件を入力するだけで、数秒のうちにプロビジョニング(リソースの割り当てや設定を自動で行うこと)されたWebアプリケーションを受け取ることができる。

生成されたアプリケーションは、複数の異なるユーザーグループでシステムを共有しつつ個々のデータを分離して利用するマルチテナント型で構築され、シングルサインオン(1度の認証手続きで複数の異なるサービスにログインできる仕組み)によって保護された状態でAWS上に配置される。ユーザーは、Gitによるコード管理やターミナルでのコマンド入力、DevOps(開発と運用の担当者が連携して迅速にシステムを構築・改善する手法)の知識を必要とせず、ツールの必要性を感じた本人が直接デプロイを完了できる。

さらに、このプラットフォーム上で生成されたすべてのアプリケーションは共通の基盤を利用するため、作成者が個別にモデルのエンドポイントやAPIキーを設定することなく、あらかじめ管理されたAmazon Bedrock(複数の生成AIモデルをAPI経由で利用できるAWSのフルマネージドサービス)のAI機能であるチャット、要約、分類などを選択してアプリに組み込むことが可能となっている。

システムを支える「自律的プロビジョニング」の仕組み

PDI Brewは、自律的プロビジョニングパターンと呼ばれる設計思想に基づいて構築されている。

具体的には、ユーザーの意図を把握する「企画エージェント(Planning Agent)」と、実際のリソース構築を担当する「プロビジョニングエージェント(Provisioning Agent)」の2つが連携して動作する。企画エージェントは、AIアシスタント内の機能や、AWSのセキュリティ境界内におけるAmazon Bedrockのモデル呼び出しを利用して、ユーザーの要件を構造化されたマニフェスト(設定や構成を記述した定義ファイル)に変換する。

次に、AWS Lambda(サーバーの管理なしにプログラムを実行できるサーバーレスコンピューティングサービス)上で稼働するプロビジョニングエージェントが、マニフェストを分解してワークロード(システム上で実行される処理のまとまり)を分類し、必要なツールを選定する。そして、下流にあるすべてのAWSリソースの作成工程のオーケストレーション(複数の処理やリソースの作成を自動で統合制御すること)を、1回のリクエストで実行する。

また、生成されたアプリが利用するAI機能は、最小権限(ユーザーやシステムに必要最低限の権限のみを割り当てるセキュリティ原則)が設定されたゲートウェイを経由してAmazon Bedrockにアクセスするため、セキュリティや利用予算のガバナンスも強固に保たれる。

公開記事の詳細について

ブログ記事では、PDI Brew of アーキテクチャの解説にとどまらず、認証のためのセキュリティモデルの設計や、AWS Lambdaの実行時間制限の中で時間のかかるプロビジョニング処理を実行する方法、AIの不適切な挙動を防ぐガードレール機能、および予算の管理設計、そしてこのシステムを大規模に運用する際のコストプロファイルについても詳しく紹介されている。

なお、同アーキテクチャを理解する上では、AWS LambdaやAmazon API Gateway、Amazon DynamoDB、Amazon S3、Amazon CloudFront、Amazon BedrockなどのAWSサービスの知識に加え、Microsoft Entra IDやMSAL.jsを用いた認証技術についての知見が役立つと説明している。

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