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AWS ML Blog

Amazon EKS上でSageMaker AIの対話型IDEが利用可能に クラスタ統合でGPU利用率を最大30%向上

要点

  • 米Amazon Web Services(AWS)は、Amazon EKSクラスタ上でJupyterLabやCode Editorなどの対話型開発環境を直接実行できる「SageMaker AI Spacesアドオン」の導入構成を解説した。

  • 従来は構築に3〜5日かかっていたGPUアクセスや認証を含む環境構築が、データサイエンティスト自身の手で約5分で起動可能になる。

  • 対話型作業と学習ワークロードを同一のEKSクラスタに集約することで、専用環境に比べてGPU利用率を最大30%向上させ、常時稼働に伴う余分なコストを抑制できる。

  • ブラウザからの署名付きURLアクセスに加え、AWS Systems Manager経由のSSHトンネルによるローカルVS Codeからの接続、Amazon CognitoによるOIDC認証に対応する。

  • 米Amazon Web Services(AWS)は2026年8月10日、コンテナ管理サービス「Amazon Elastic Kubernetes Service(Amazon EKS)」上で、機械学習プラットフォーム「Amazon SageMaker AI」のSpacesアドオンを実行するソリューションを公式ブログで公開した。

  • これにより、機械学習パイプラインを運用している既存のEKSクラスタ内にJupyterLabやCode Editor(VS Code互換環境)といった対話型IDE(統合開発環境)を直接デプロイできるようになる。これまで別々の環境に分散していた開発作業と大規模処理を1つのクラスタに統合し、リソース効率と運用の迅速化を両立させる狙いがある。


開発環境の分離に伴う課題を解消

機械学習モデルの開発やデータ分析を行うデータサイエンティストにとって、JupyterLabなどの対話型ノートブック環境は不可欠なツールである。しかし、本番の学習パイプラインがEKSクラスタ上で稼働している場合でも、開発用のIDEはクラスタ外部の独立したJupyterHub環境やローカルマシン上で個別に運用されるケースが多かった。

こうした環境の分断は、パイプラインが依存しているGPUノードや共有ストレージ、AWS Identity and Access Management(IAM:AWSリソースへのアクセス権限を管理する機能)ロールをそのまま利用できないという問題を引き起こしていた。さらに、GPUアクセス権やストレージ、認証基盤を備えたJupyterHub環境をプラットフォームチームがゼロから立ち上げるには、通常3〜5日程度の期間を要していたという。

今回示された「SageMaker AI Spacesアドオン」をEKSクラスタに導入するアプローチでは、すでに運用中のクラスタリソースをそのまま活用できる。データサイエンティストは設定済みの開発スペース(Space)を約5分で起動できるようになり、環境準備にかかるリードタイムが大幅に短縮されるとしている。


GPU稼働率の引き上げとコスト最適化

この構成の大きな特徴は、対話的な分析・コード記述と、クラスタ上での学習ジョブを同一のコンピュートリソース上で混在運用できる点にある。

専用のノートブック用インスタンス群を常時起動しておく従来の手法では、開発者が作業していないアイドル時間にも費用が発生し、そのコストは月額数千ドル規模に達することがある。これに対し、EKSクラスタに対話型ワークロードとバッチ学習ワークロードを統合することで、ジョブの合間に生じるGPUの空き時間を対話型作業に充てることが可能になる。これにより、独立したノートブックフリートを維持する場合と比較して、GPU利用率を最大で30%引き上げることができると説明している。


3つのレイヤーで構成されるアーキテクチャ

本ソリューションは、単一のEKSクラスタ上で以下の3層構造によって実現されている。

1. ネットワークとアクセス

外部からの接続には、ドメイン管理サービスの「Amazon Route 53」がワイルドカードドメインをインターネット接続用のApplication Load Balancer(ALB)へ名前解決する構成をとる。通信の暗号化には「AWS Certificate Manager(ACM)」から発行されたTLS証明書が使用される。また、ローカルのVS Codeから接続する場合は、管理ツールの「AWS Systems Manager」を利用してSpaceが稼働するポッドへ直接SSHトンネル(SSH-over-SSM)を確立する仕組みが用意されている。

2. クラスタ内部のルーティングと認証

ALBのプロビジョニングは「AWS Load Balancer Controller」が担い、クラスタ内部ではリバースプロキシの「Traefik」がホスト名に基づいて各Spaceポッドへトラフィックを振り分ける。認証ミドルウェアは「AWS Key Management Service(AWS KMS)」で暗号化されたJSON Web Token(JWT)を検証し、安全なアクセス制御を行う。

3. コンピュートとストレージ

Spaceポッド自体は、外部から隔離されたプライベートサブネット内のワーカーノード上で稼働する。ストレージ面では、「Amazon Elastic Block Store(Amazon EBS)」のCSIドライバが個々のポッドに永続ボリュームを提供するほか、チーム共有や高スループットが求められるデータ用途には「Amazon Elastic File System(Amazon EFS)」や「Amazon FSx」が組み合わされる。各ポッドに必要なIAM権限の割り当てには「EKS Pod Identity」が用いられ、セキュアにリソースへアクセスできる設計となっている。


利用形態と認証の拡張性

環境構築後のアクセス方法としては、ブラウザから署名付きURL(事前署名済みURL)を用いてJupyterLab等のUIを開く方法と、手元のVS CodeからSSH-over-SSM経由で接続する方法の2通りが紹介されている。

さらにチーム全体の運用を見据え、ユーザー認証を「Amazon Cognito」と連携させたOpenID Connect(OIDC)ベースのサインイン構成へ移行する手順も示されている。なお、本ソリューションの導入にあたっては、AWS CLI(バージョン2.x以降)、Kubernetes操作ツールのkubectl(バージョン1.30以降)、およびパッケージマネージャーのHelm(v3)が必要な前提条件として挙げられている。

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