Amazon Quick、AI構築アプリで統制データセットをリアルタイム取得する「Live Data in Apps」を発表
要点
- 米Amazon Web Services(AWS)が、Amazon Quickの新機能「Live Data in Apps」を発表した。
- 自然言語でアプリを生成する「Quick Apps」において、統制されたAmazon Quick Sightデータセットへのリアルタイムクエリが可能になった。
- クエリはアプリ閲覧者本人の権限で実行され、行レベルセキュリティ(RLS)や列レベルセキュリティ(CLS)が自動適用される。
- 業務担当者はSQLの記述やAPI連携を行わずに、常に最新の指標を反映した業務アプリを構築・共有できる。
リード文
米Amazon Web Services(AWS)は2026年10月1日、AIを活用した統合インテリジェンスサービス「Amazon Quick」において、AIで作成したアプリケーションから社内の統制されたデータセットをリアルタイムに参照できる新機能「Live Data in Apps」を発表した。自然言語の指示でWebアプリケーションを自動生成する「Quick Apps」の機能を拡張したもので、従来はアプリ構築時のスナップショットに固定されていたビジネス指標データを、利用者がアプリを開くたびに最新の状態で取得・表示できるようにする。データセットにあらかじめ設定されているセキュリティ制御がそのまま引き継がれるため、ガバナンスを損なうことなく迅速な業務アプリ展開が可能になるという。
静的スナップショットからリアルタイム連携への移行
Amazon Quickは、企業内の統制されたデータやコンテンツを一元的に接続し、データの探索や分析、アクションの実行を一箇所で行えるAI搭載の統合サービスである。同サービスに含まれる「Quick Apps」機能では、ユーザーが作成したいアプリケーションの要件を自然言語で入力するだけで、AIエージェントがプログラミングやインフラ設定(DevOps)の作業を伴わずにWebアプリケーションを構築・デプロイできる。
Quick Appsはこれまでも、外部サービスと連携するアクションコネクタ(Jira、Slack、Google Driveなど)や社内ドキュメント共有機能のSpaces、Web検索、AI推論といった機能を通じて、アプリの閲覧時に最新情報を取得することが可能だった。しかし、企業の基幹的な指標を保持するAmazon Quick Sightのデータセット(高速インメモリエンジンのSPICEやデータベースへ直接問い合わせるDirect Queryのテーブル)に関しては、リアルタイムでの照会に対応していなかった。
従来はアプリを構築した時点のデータがスナップショットとして固定されていたため、静的なレポートとしては機能していたものの、日々更新される最新のビジネス数値を追跡したり、閲覧者の権限に応じて表示行を制御したりする用途には適していなかったという。
自然言語による自動生成と閲覧者権限でのクエリ実行
今回提供が開始された「Live Data in Apps」により、公開されたQuickアプリはユーザーがアクセスするたびに、統制されたQuick Sightデータセットに対してリアルタイムでクエリを実行する仕組みへと刷新された。
例えば、サポートチームが「先週クローズした問い合わせ件数を地域別に確認したい」といった疑問を頻繁に抱える場合、従来であれば担当者が都度データ分析画面を開き、SQLクエリを作成してグラフを出力し、チャットツールへ共有するといった定常的な作業が発生していた。
新機能を利用すると、ユーザーが欲しいアプリの概要を自然言語で指示するだけで、AIエージェントが適切なデータセットを自律的に特定する。さらに、質問に回答するために必要なSQLを構築プロセス中に自動生成する。アプリの公開後は、利用者がそのアプリを開くたびに同一のSQLが再実行されるため、画面上には常に最新の数値が反映される。
加えて、クエリはアプリケーションを開いた閲覧者自身の権限で実行される設計となっている。これにより、閲覧者ごとに表示が許可されているデータのみが画面に描画され、セキュリティ要件を厳格に満たした運用が可能になる。
組織内の各役割における導入効果
Live Data in Appsの導入は、組織内の異なる立場に対してそれぞれ以下のメリットをもたらすと説明されている。
まず、業務運用の担当者(ビジネスオペレーション担当)は、自然言語を用いることでライブデータと連動するアプリを容易に作成できる。手動によるデータ再読み込み作業やスナップショットの管理、独自のAPI連携処理を開発する必要がなくなる。
次に、現場のナレッジワーカー(一般利用者)は、アプリを開くだけで現時点で最新の数値をすぐに確認できる。自身に閲覧権限が与えられている範囲でデータが自動的に絞り込まれるため、複雑な検索条件の指定やSQLの知識を必要としない。
そして、データおよびアプリケーション管理者は、既存の行レベルセキュリティ(RLS:行単位のアクセス制御)や列レベルセキュリティ(CLS:列単位のアクセス制御)のルールをそのまま自動適用できる。新しいアクセス権限モデルを設計・学習する必要がなく、すべてのクエリに対してサーバー側でアクセス同意と制御が確実に適用される。
利用に必要な前提条件
Live Data in Appsを利用する前提条件として、RLSやCLSの設定有無にかかわらず、あらかじめ作成済みのデータセットへのアクセス権を保持していること、ならびにサポートされているデータセットモードを利用していることが挙げられている。