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AWS ML Blog

Amazon QuickSightでHighchartsを活用した複数リージョンのデータ可視化手法をAWSが公開

要点

  • AWSは、BIサービス「Amazon QuickSight」にグラフ描画ライブラリ「Highcharts」を統合し、複数リージョンの複雑なデータを一元的に可視化する手法を公開した。

  • 地域ごとに異なる競合構造やデータ密度を持つパフォーマンスデータを、単一のダッシュボードで比較可能にする。

  • QuickSight標準機能では困難だったタイルマップやレーダーチャート、ダンベルチャートなどを用いた高度な表現を、単一のJSON設定で実現する。

  • 複数リージョンに分散したデータの統合法として、データ主権などの要件に応じたアーキテクチャ設計や、連合データセット機能の活用が示されている。

  • AWSは2026年7月23日、公式のAWS ML Blogにおいて、BI(ビジネスインテリジェンス:企業の意思決定を支援するデータ分析技術)サービス「Amazon QuickSight(アマゾン クイックサイト)」に、グラフ描画ライブラリ「Highcharts(ハイチャーツ)」をカスタムビジュアルとして埋め込むことで、複数リージョンにまたがるパフォーマンスデータを統合的に可視化するソリューションを公表した。

  • このソリューションは、データの主権を維持しながら、地理的および構造的な違いを持つ複数のリージョンデータを単一のビューで比較し、関係者がより確実な意思決定を行えるようにすることを目的としている。

複数リージョン可視化における構造的課題

企業が扱うデータ、例えば配送業者のパフォーマンスデータなどが複数の地域(リージョン)にまたがる場合、地域ごとに市場の競争構造やデータの密度が大きく異なることがある。

元記事では、米国と英国の市場を例に挙げている。米国市場では3つの配送業者を49の州と数百の都市市場にわたってランク付けする一方で、英国市場では全く異なる4つの配送業者を、別の国内地域に分けて比較する必要がある。このような場合、データの規模や対象となる項目数、地域的な詳細度が地域ごとに異なるため、標準的な単一のチャートだけでは状況の全体像を正確に伝えることが難しい。

従来のAmazon QuickSightの標準的な可視化機能では、どの業者がどの地域で優勢であるかを地理的なタイルマップ上に表現することや、多数の業者を複数の評価カテゴリで同時に比較する多角的なレーダーチャートを描画することができなかった。また、目標値に対するパフォーマンスの達成度を視覚化する「ブレッドチャート」や、市場ごとのばらつき(最高値と最低値の幅)を示す「ダンベルチャート」といった特殊なグラフも標準では作成できないという課題があった。

この結果、開発者は地域ごとに個別のダッシュボードを構築したり、積み上げ棒グラフで無理に差分を表現したり、あるいはデータを平均化することで本来可視化すべき変動性(ボラティリティ)を覆い隠してしまったりするなどの妥協を強いられていた。これらはダッシュボードの管理コストを高め、重要なインサイトの発見を妨げる要因となっていた。

Highchartsの埋め込みによる解決

今回のソリューションでは、Amazon QuickSightにHighchartsをカスタムビジュアルとして組み込むことで、これらの課題を単一のJSON(データ受け渡しに用いられる標準的なテキスト形式)設定によって解決する。

Highchartsの「タイルマップ」機能と色分けルール(colorAxis.dataClasses)を使用すれば、複数の地域にまたがる業者の優位性や、複数業者が同点で並ぶ状況(タイ)を1つのビジュアル内に色分けしてエンコードできる。また、地域フィルターのトグルスイッチを凡例として追加することも可能である。

「ポーラーラインチャート(極座標折れ線グラフ)」を用いることで、多数の業者とカテゴリを網羅した多角形のレーダーチャートを構築し、総合的な競合プロファイルを提供できる。さらに、100点満点の目標に対する実績を視覚化するブレッドチャートや、特定の市場における最良と最悪のデータスプレッド(広がり)を示すダンベルチャート、期間ごとのスコアの増減要因を分解して表示するウォーターフォールチャート(滝グラフ)など、分析プロセスで求められる高度な表現が利用可能になる。

データ統合のためのアーキテクチャ設計

複数リージョンのデータを統合するにあたっては、データの保管場所に関する規制(データ主権)や、アクセスの遅延時間(レイテンシー)、コンプライアンス上の義務を考慮したアーキテクチャが必要となる。AWSは本ソリューションにおいて、2つのアプローチを提案している。

その1つが「単一のAWSリージョン(Single AWS Region)」にデータを集約する構成パターンである。この方法では、米国と英国など異なる地域のすべてのデータを特定の1つのAWSリージョン(「us-east-1」や「eu-west-1」など)に保存する。データには国を識別する列を追加し、QuickSightのメモリ内高速演算エンジンである「SPICE(スパイス)」の単一のデータセットとして論理的に管理する。

この構成は、管理すべきデータセットが1つだけであり、SPICEのデータ更新処理も1回で済むため、運用管理が非常にシンプルになるという利点がある。しかし、他国のデータが物理的に異なるAWSリージョンへと移行することになるため、データの所在地(データレジデンシー)要件に抵触する可能性があるという懸念点も併せて持っている。

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