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The Hacker News

暗号資産取引所Bitgetから3億5160万ドルが不正流出、北朝鮮ハッカーによるバックエンド侵害の疑い

要点

  • 暗号資産取引所Bitgetのホットウォレットなどから、総額3億5,160万ドルの暗号資産が不正流出した。

  • 攻撃者はウォレットインフラのバックエンドシステムを侵害し、取引データを偽装して承認プロセスを不正に作動させたとされる。

  • IPアドレスの挙動やブロックチェーンの分析結果から、北朝鮮のハッカー集団による手口と極めて高い一致が確認されている。

  • コールドウォレットや顧客残高、独立した「Bitget Wallet」は安全だが、詳細な調査のため出金は一時停止されている。

  • Google傘下のMandiantやSlowMistが調査に参加し、一部のブロックチェーン財団により犯人のアドレスが凍結された。

  • 暗号資産取引所を運営するBitgetは、ホットウォレットおよびウォームウォレットから3億5,160万ドル相当の資産が盗難被害に遭ったことを発表した。協定世界時(UTC)の2026年9月24日18時31分に同社のセキュリティシステムが不正な送金を検知したもので、北朝鮮に関連する脅威アクターによる犯行の疑いが持たれている。現在、安全確認のため出金機能が一時的に停止されており、外部専門機関と連携した包括的な調査が進められている。

被害の規模と顧客資産の保護状況

今回のインシデントで標的となったのは、取引所の日常的な出金処理などに用いられる「ホットウォレット(常時インターネットに接続されたウォレット)」および「ウォームウォレット」の一部である。

被害を受けた暗号資産は、イーサリアム(ETH)、リップル(XRP)、バイナンスコイン(BNB)、アバランチ(AVAX)に加え、米ドル連動型ステーブルコインのテザー(USDT)やUSDコイン(USDC)など多岐にわたる。対象となったブロックチェーンも、Ethereum、XRP Ledger、Arbitrum、Avalanche、Optimism、BSC、Baseの計7つに及ぶ。

一方でBitgetは、プラットフォーム上の大多数の資産を保管する「コールドウォレット(インターネットから隔離されたオフラインの保管庫)」は完全に保護されており、影響を受けていないことを強調した。顧客のアカウント残高に異常はなく、入金やプラットフォーム上での取引(トレーディング)も通常どおり継続している。ただし、徹底したセキュリティレビューを完了させるための予防措置として、資産の出金処理は一時的に見合わせている。

なお、同社ブランドの自己管理型(セルフカストディ型:ユーザー自らが秘密鍵を管理する方式)ウォレットである「Bitget Wallet」は、取引所とは完全に独立した別インフラで稼働しており、今回の被害には含まれていない。

バックエンド侵害と承認プロセスの悪用手口

BitgetのCEOを務めるGracy Chen氏の説明によると、攻撃者はウォレット基盤を支える重要なバックエンドシステムへの侵入を果たしていた。

侵入した攻撃者は、システム内で取引データ(トランザクションデータ)を偽装(スプーフィング)し、正規の送金承認プロセスを欺いて作動させたという。この偽装された承認によって、ウォレットから外部への不正送金が実行された。

同社はすでにさらなる不正送金を阻止する措置を講じており、追加の流出は発生しない状態にあると説明している。ただし、攻撃者が最初にどのような経路でバックエンドシステムへ侵入したのかについては、現在も調査中である。

第三者調査機関の参画とアドレスの凍結対応

事件の全容解明と安全確保に向け、Bitgetは外部の専門組織に調査を依頼した。具体的には、Google傘下のセキュリティ企業Mandiantと、ブロックチェーンセキュリティを手掛けるSlowMistの2社が第三者調査を実施している。

Chen氏によると、通信ログのIP行動パターンや、取引履歴を追跡するオンチェーン分析の結果から、今回の手口は北朝鮮のサイバー攻撃組織が用いる既知のパターンと極めて高い一致を示しているという。

また、各ブロックチェーンの運営財団(ファンデーション)に対する協力要請も行われており、すでに一部の財団では攻撃者が使用したウォレットアドレスの凍結が確認されている。

背景:活発化する北朝鮮系ハッカーの脅威

今回の事案が明らかになる約1週間前には、セキュリティ企業のSentinelOneが、北朝鮮に関連するサイバー犯罪グループ「TraderTraitor」によるインドのITサービス企業への攻撃を報告していた。

TraderTraitorは暗号資産分野での大規模な不正送金事件で知られ、過去には取引所Bybitから15億ドル、KelpDAOのLayerZeroブリッジから2億9,200万ドルを盗み出したとされる。今回のBitgetに対するバックエンド侵害も、国家主導のサイバー攻撃集団による高度な手口が警戒される中での発生となった。

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