Anthropic、AI悪用のサイバー攻撃を阻止——ロシア系ハッカーがClaudeでマルウェアを自動改変
要点
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Anthropicは、ロシア政府支援の脅威グループ「GTG-20006」によるAIモデル「Claude」を悪用したサイバー攻撃キャンペーンを阻止したと発表した。
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攻撃者はセキュリティ製品による検知をAIで監視し、検知されたマルウェアのコードを自動で修正・再ビルドして検知を回避する仕組みを構築していた。
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マルウェアの改変だけでなく、ドメイン登録やフィッシング環境の立ち上げ、C2通信の監視など、攻撃インフラの広範な運用にAIが利用されていた。
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ホテルWi-FiのDNSハイジャックによる端末別マルウェア配布、WhatsAppの会話ログ窃取、監視カメラの不正閲覧など、多岐にわたる侵入手口が確認されている。
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米AI開発企業のAnthropic(アンソロピック)は、ロシア政府支援のサイバー諜報グループが同社のAIモデル「Claude」を悪用した一連の攻撃活動を展開していたとして、これを遮断したことを明らかにした。このグループは、セキュリティ製品に検知された自作マルウェアをAIによって自動で改変・再ビルドするワークフローを構築し、防御側の検知をすり抜けていたという。標的はウクライナや欧州の政府機関、外交・防衛組織など20以上の組織に及んでいる。
AIエージェントによるマルウェア改変と運用の自動化
Anthropicの脅威インテリジェンスレポートによると、今回の攻撃を主導したグループは「GTG-20006(Generative Threat Group)」と命名されている。このクラスタは、一般に「Midnight Blizzard」(別名:APT29、Cozy Bear)として知られるロシア系脅威アクターに関連付けられている。
GTG-20006は、セキュリティ防御を回避するためにAIエージェントを用いた自動化プロセスを開発していた。監視役のAIエージェントが、自らのマルウェアがセキュリティ製品によって検知されたかどうかを常時監視し、検知を感知すると別のエージェントがコードの修正と再ビルドを自律的に実行する。これにより、ファイルの特徴から既知の脅威を検出する静的検知を無力化し、常に防御側の一歩先を行く状態を作り出していた。
検知を回避した成果物は使い捨てのホスティングサーバー上に配置され、フィッシングやDNSハイジャックなどを通じて標的に配信された。さらに攻撃者は、ドメインの登録、フィッシングメール送信用サーバーの構築、メール配信、侵入後の端末に遠隔指示を送るC2(コマンド&コントロール)チャンネルの監視に至るまで、攻撃ライフサイクルの広範な工程にAIワークフローを組み込んでいた。
標的となった組織と開発された攻撃ツール群
攻撃活動の中で、ウクライナおよび欧州の政府機関、防衛・情報組織、大使館、シンクタンク、防衛産業企業など、20以上の組織が標的として特定された。活動範囲は中東やアジアの海洋関連政府機関、米国の外交政策関係者にも広がっていた。
また、北アフリカの政府系技術機関に対する侵入も確認されている。攻撃者はVPN機器の認証情報を利用して中央アカウントサーバーを掌握し、30万人分以上の国民身元情報と50万社以上の企業登記データを含む資格情報データベースを外部へ流出させた。
攻撃グループは複数のツールを組み合わせて運用していた。開発・使用が確認された主なツールは以下の通りである。
- Windows向けインプラント: 侵入先の端末に潜伏して遠隔操作を可能にする2種類のプログラム
- モバイル向けエクスプロイトキット: スマートフォンの脆弱性を突いて感染させるツール群
- 認証情報窃取ツール: ウェブブラウザに保存されたパスワードを標的とするプログラム
- フィッシング基盤: 政府機関などの優先ターゲットを精巧に偽装する配信プラットフォーム
- 管理コンソール: 侵害したアカウントを一元管理する管理画面
- クラウドメール諜報基盤: 「Embassy Kit」と呼ばれるデバイスコード認証を悪用したフィッシングの仕組み
ホテルWi-Fiの改ざんと多角的な侵入・傍受手口
今回の活動は、2026年7月から8月にかけてMicrosoft、Google、ReliaQuest、Lumen Black Lotus Labsが報告した攻撃キャンペーン「CaptiveCrunch」とも重複が確認されている。
攻撃者はホテルの宿泊客向けWi-Fiを運用する事業者少なくとも3社を侵害し、管理者の認証情報を使ってDNSレコードを改ざん(DNSハイジャック)した。これにより、該当ホテルのWi-Fiに接続した宿泊客の通信データ、端末識別子、IPアドレスが攻撃者のサーバーに転送される状態となっていた。
その後、正規の画面を装ってユーザーに操作を促す「ClickFix」型の手法を用い、利用端末に応じたマルウェアが配布された。Windows向けには「PowerChrome」「WUEngine」「Shadow C2」「MiniPlasma」「CloudSyncSvc」、Android向けには遠隔操作用トロイの木馬「GiftDrop」(GiftsExpressの改称版)、iOS向けには「DarkSword」がそれぞれ展開されていた。
盗まれたホテル管理システムの情報や宿泊客の端末データは、ウクライナ政府高官やドローン製造業者など、さらなる攻撃対象の特定に利用されていた。加えて、画面表示を行わずにプログラムからブラウザを操作する「ヘッドレスブラウザ」を用いて被害者のWhatsAppアカウントを別端末として勝手に紐付け、既読を付けない状態でロシア語やウクライナ語のメッセージ履歴を一括取得する工作も行われていた。また、監視カメラのストリーミングサービスにおけるAPIの認証欠陥を突き、トークンを不正取得してライブ映像を閲覧していた手口も明らかになっている。