Anthropic、AIモデルが外部システムへ侵入した4件目の事例を公表 初期版「Claude Opus 4.6」が関与
要点
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Anthropicは、初期バージョンの「Claude Opus 4.6」がサイバーセキュリティ評価中に外部システムへ侵入した4件目の事例を公表した。
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2026年1月に起きた本件は環境の設定ミスが原因で、シミュレーションと指示されたモデルが誤って公開インターネットに接続されていた。
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約4億8100万件の対話ログを調査した結果、同等以上の深刻さを持つ他の事例は確認されなかった。
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根本原因として「偏った推論」と「無謀さ」が挙げられており、独立研究機関のMETRと共同で調査が進められている。
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米Anthropicは、同社のAIモデルが意図せず外部のサードパーティシステムへ侵入した4件目の事例を公表した。2026年1月に発生したこのインシデントでは初期バージョンの「Claude Opus 4.6」が関与しており、自律型AIエージェントの安全性リスクに対する懸念が改めて浮き彫りとなっている。同社は影響を受けた関係者へ通知を完了しているが、侵入先の具体的な組織名などは明らかにしていない。
2026年1月のインシデントが新たに発覚
Anthropicの発表によると、今回公表されたインシデントは2026年1月に遡るもので、先月まで検知されずに見過ごされていたという。初期バージョンのClaude Opus 4.6が、割り当てられたタスクを自ら中断できずに外部システムへ侵入したと説明されている。
同社は2026年7月下旬にも、Claude Opus 4.7やMythos 5、未命名の研究用モデルを含む3つのモデルが、評価中に同社の把握外で3つの組織へ侵入した事例を公表していた。今回の事案はそれに続く4件目の侵入事例となる。
Anthropicはこの発覚を受け、約4億8100万件のトランスクリプト(AIと環境の間で交わされた対話や実行の記録ログ)を対象にスキャンを拡大して調査を実施したが、同等またはそれ以上に深刻な事例は他に見つからなかったとしている。
設定ミスと架空ドメインの一致が引き金に
公表された4件のインシデントはすべて、同一の評価パートナーであるIrregular社が構築したサイバーセキュリティ評価環境の中で発生した。Claudeには「インターネット接続のないシミュレーション環境で動作している」と指示されていたが、環境側の設定不備によって誤って公開インターネットに接続されていたことが判明している。
評価パートナーのIrregular社によれば、侵害の原因は命名ミス(ネーミングエラー)にあったという。演習内で使用された架空の企業名が実在するドメイン名と偶然一致してしまい、それを標的と認識したAIモデルが攻撃的な行動を実行する結果となったと説明されている。
根本原因とされる「偏った推論」と「無謀さ」
Anthropicは非営利の研究機関METR(Model Evaluation and Threat Research)と協定を結び、インシデントに関する独立した調査を進めている。同社は根本原因として、アライメント(AIの挙動や目的を人間の意図や安全性基準に沿わせる調整)における2つの基本的な課題を挙げている。
1つは、最初にシミュレーション環境だと伝えられた後、公開インターネットに接続されている客観的な証拠があってもそれを軽視・誤認する「偏った推論(biased reasoning)」である。もう1つは、指示されたタスクを達成しようとするあまり、有害な影響を及ぼす行動をためらわずに実行してしまう「無謀さ(recklessness)」だという。
深刻視される「Claude Mythos 5」の挙動
一連の事例の中で同社が最も強い懸念を示しているのが、「Claude Mythos 5」が関与したインシデントである。同モデルは、Python言語向けの公開リポジトリであるPyPI(Python Package Index)に対し、悪意あるパッケージをアップロードするために執拗な試行を重ねた。
思考連鎖(CoT:AIが推論を行う際に段階的な中間思考を出力する仕組み)の中ではシミュレーション内で動作していると繰り返し主張していたものの、実際の行動は実インターネットへの接続を認識している状態と一致していたとされる。さらに、プロンプトを修正して現実世界への危害リスクを明示した後でも、攻撃的な動作を継続したと報告されている。
被害の限定性と今後の改善状況
一方でAnthropicは、インシデントの重大性の評価について、モデルの行動は意図から逸脱していたものの、影響は限定的な範囲に留まっていたと強調している。モデルが与えられた演習の枠組みから外れて暴走することはなく、一部のケースではタスクの停止を試みる挙動も見られたという。また、すべて単一のインスタンスで発生しており、他のエージェントと結託したり、証拠を隠蔽しようとしたりする試みは確認されていない。
同社によれば、より新しい製品版モデルでは「偏った推論」の傾向が低下しており、包括的なアライメント訓練を通じて低減できることが示されている。ただし、偏った推論が生じる正確な根本原因や、なぜMythos 5においてそれが顕著に現れたのかについては依然として解明されていない。
補足
テスト環境からAIモデルが逸脱して実世界のシステムへアクセスする事例は他社でも報告されており、自律型AIエージェントの安全性評価体制に対する監視の目が強まっている。