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Anthropic Blog

Anthropic、CI/CD障害の一次対応にClaudeを活用 中央値14分で原因分析を行う運用体制とキットを公開

要点

  • Anthropicは自社のCI/CD障害対応において、AIツール「Claude Tag」を一次対応者(ファーストレスポンダー)として実運用している実績を公表した。

  • 障害発生から中央値14分で根拠を伴う初期分析レポートを投稿し、最速の事例では4分以内に根本原因を特定している。

  • Slackや監視ツールと連携し、GitHubでバージョン管理されるMarkdown形式の指示書に基づいて自動で調査や状況確認を行う。

  • チーム独自の障害履歴から対応手順書を生成し、同様の体制を構築できるツールキット「oncall-kit」をGitHubで公開した。

  • 米Anthropicは2026年8月18日、同社の継続的インテグレーション(CI)チームにおいて、AIツール「Claude Tag」をCI/CD障害の一次対応者として運用している実績を公式ブログで公表した。CI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー:コード変更のテストやビルド、本番反映を自動化する仕組み)でトラブルが発生した際、AIが初動調査を担うことで調査にかかる負荷や時間を大幅に削減しているという。あわせて、同社が構築した運用環境を他の開発チームでも再現できるセットアップキット「oncall-kit」をGitHub上で公開した。

障害発生から15分以内に初期分析を完了、最速4分で原因を特定

AnthropicのCIチームでは数か月にわたり、オンコール(システムの障害や緊急事態に備えてエンジニアが交代で待機・対応する体制)の一次対応役としてClaude Tagを実稼働させている。同社によると、最近発生したすべてのCIインシデントにおいてClaudeが初回の状況レポートを作成しており、通常はインシデント発生から15分以内に最初の分析を公開しているという。

収集されたデータでは、インシデント発生から根拠に基づいた初期分析が投稿されるまでの時間は中央値で14分を記録した。最も迅速に対応できたケースでは、最初のレポート内で4分以内に根本原因を特定した実績もあると説明している。

ブログ記事では具体的な実例として、夜間10時に約44件のテストが実行されなくなったトラブルが紹介された。待機中のエンジニアがSlack上でClaudeに状況の確認を求めたところ、当日の朝に有効化されたフィーチャーフラグ(コードを変更せずに機能の有効・無効を動的に切り替える仕組み)が原因であること、および安全にロールバック(差し戻し)が可能であることを即座に特定した。フラグの差し戻し作業を行った3分後には、テストのスキップ設定が解除され、エラー率が正常な水準に戻ったことをClaudeが自動で検証して報告したという。

Slack・監視ツール・GitHubを連携させたエージェント構成

Anthropicが構築したオンコールエージェントの中核を担うのは、Slackチャンネル上で動作するClaude Tagである。この仕組みは、過去の対応履歴を保持する「メモリ」、定期タスクを実行する「スケジュール」、各種外部サービスを調査・操作する「連携機能」、そして行動指針を定めた「指示書」で構成されている。

スケジュール機能では、「毎週月曜日の午前9時(米国東部時間)にCIの引き継ぎを実行する」といった自然言語の指示によって定期タスクが管理されている。また、Claude Tagには専用のサービスアカウントが付与されており、DatadogやGrafanaといったエンジニアが日常的に利用する監視・分析ツールへのアクセス権限が一括で設定されている。障害対応チャンネルだけでなく、サービスアラートや設定変更、プルリクエストの更新情報が流れる関連チャンネルも監視させることで、調査に必要な周辺コンテキストをリアルタイムに収集している。

エージェントへの定常的な指示はMarkdownファイルとして記述され、GitHubリポジトリ上で管理されている。ルーティング指示や運用ポリシー、改善ログなどがコードと同じようにバージョン管理されており、チーム全体で指示内容を改善できる仕組みが整えられている。この環境のセットアップ自体は数日ではなく数時間で完了したとしている。

アラート疲れを防ぐ検知と多層的なトリアージ機能

Claudeの導入は、障害発生後の調査だけでなく検知プロセスの改善にも寄与しているという。新規サービスの立ち上げ初期にはトラフィックパターンのデータが不足し、人間が適切なアラート閾値を設定するのが困難になりやすい。これに対し、Claudeは稼働初期の数日間にわたってアラートとデータを分析し、過不足のあるルールの微調整や追加ルールの提案を行う。

また、大量のアラート通知によって担当者の判断力が鈍る「アラート疲れ」を防ぐため、Claudeが全通知を常時監視する仕組みを導入している。リポジトリ内の設定ファイル(ONCALL.md)に記述されたルール(例:「エラー率が5分以上2%を超え、既知のデプロイ時間外であればオンコールを呼び出し、それ以外は記録ファイルへ書き出す」など)に沿って、夜間の即時呼び出しが必要か、翌朝の確認で十分かを自動でトリアージ(優先度判定)する。

オンコールの発動経路としては、この自動アラート監視による検知のほか、CIチームメンバーによるSlackチャンネルへの直接報告、全社向けの障害起票システム経由で専用チャンネルが作成されるパターンの3通りが用意されている。

手順書を自動生成する「oncall-kit」を無償公開

Anthropicは、自社で構築したこの仕組みを外部の開発者も導入できるようにするため、GitHub上に「oncall-kit」リポジトリを公開した。

このキットは、各開発チームが持つ過去のインシデント履歴を取り込み、AIが参照するトリアージ用のプレイブック(対応手順書)を自動生成する機能を持つ。導入後は、インシデントチャンネル内で診断やエスカレーション、運用の学習を行う読み取り専用のClaudeエージェントを稼働させることができる。リポジトリには架空のインシデント履歴を用いたテスト環境も含まれており、約10分で一連の動作フローを確認できるとしている。

利用にはClaude TeamプランまたはClaude Enterpriseプランが必要となるほか、対象SlackチャンネルへのClaude Tagの追加、GitHubリポジトリや各種監視ツールの接続、リモート制御機能「Claude Code Remote」の設定が前提条件として案内されている。

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