Asana、ブラウザ操作AIエージェントのコストを76分の1に削減 「GPT-6.1 Sol」とキャッシュ最適化で実行時間も大幅短縮
要点
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米Asanaがブラウザ操作AIエージェントの最適化を行い、モデル実行コストを従来の本番構成比で約76分の1となる平均0.47ドルまで削減した。
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実行時間も従来の22.5分以上から約4分へと約5倍高速化し、検証タスクにおける正答率100%を達成した。
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開発環境「Codex」上のAI「GPT-6 Astra」を活用することで、通常1〜2か月を要する調査と改修・検証を約1週間で完了させた。
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閲覧履歴のキャッシュ保持やスクリーンショット削除のバッチ処理化により、入力データの89%を通常価格の5%で利用できるキャッシュで処理した。
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米Asana(アサナ)が自社のブラウザ操作AIエージェントの実行ワークフローを刷新し、運用コストを従来の76分の1に削減するとともに処理速度を5倍に向上させたことが、2026年10月9日付の米OpenAI公式ブログで明らかになった。検証にはOpenAIのフロンティアモデル「GPT-6.1 Sol」が用いられ、1回のタスク実行にかかる推定モデルコストは平均0.47ドルに抑えられたという。開発プロセスにおいても、AIを活用して調査からコード改修、テストまでの期間を大幅に短縮した事例として報告されている。
ブラウザ操作エージェントの課題とキャッシュの非効率
Asanaは買収したプラットフォーム「StackAI」を通じて、ユーザーがコードを書くことなくWebサイトの巡回やフォーム入力、情報収集を行うワークフローを自動化する機能を提供している。こうしたブラウザエージェント(Webブラウザ上で人間に代わりWebページの閲覧や操作を自律的に行うAIプログラム)は企業規模での利用が進むにつれ、ワークフロー内のわずかな非効率性が運用コストの肥大化につながる課題を抱えていた。
StackAIの最高技術責任者(CTO)を務めるフランク・イダルゴ(Frank Hidalgo)博士が調査に着手したところ、エージェントの履歴処理に大きな非効率が存在することが判明した。エージェントは固定的なシステム指示やツールの定義こそプロンプトキャッシュ(過去に送信した指示やデータを一時保持して再利用し、処理費用を抑える仕組み)に載せていたものの、Web巡回に伴って蓄積されるテキストやスクリーンショットの閲覧履歴はキャッシュしていなかった。そのため、モデルへリクエストを送るたびに累積した全履歴が非キャッシュの満額料金で再送信されていた。
さらに、エージェントはほぼ全ステップごとに古いスクリーンショットを破棄しテキストを切り詰めていたため、リクエストのたびに送信データの内容が変化し、キャッシュが成立しない構造になっていた。加えて、過去の情報を失ったエージェントがすでに閲覧したページを再訪しなければならなくなるケースも生じていたという。
「GPT-6 Astra」を活用した1週間の集中検証
この課題を解決するため、イダルゴ氏はOpenAIのコーディング支援環境「Codex」上で動作するモデル「GPT-6 Astra」を活用した。通常であれば手作業で1〜2か月を要すると見積もられていたコードベースの把握、問題の特定、対策の実験、結果の比較といった一連の工程が、約1週間で完了したとしている。イダルゴ氏が夜間に目標(/goal)を設定して就寝し、翌朝に実行結果を確認するというサイクルで進められた。
GPT-6 Astraの提案をもとに、検証対象として「閲覧履歴全体へのキャッシュ適用の拡張」「保持できるテキスト文字数の拡大」「ステップごとではなくまとめてスクリーンショットを削除するバッチ処理への変更」の3点が選定された。元のコードは比較実験向けに作られていなかったため、GPT-6 Astraがコードのリファクタリング(プログラムの動作を保ったまま内部構造を整理すること)を実施し、1つのフロントエンドとバックエンドで複数の設定を並列検証できる環境を構築した。
実験では、保持するテキスト履歴の上限(バジェット)として12万文字と48万文字の2通りを用意し、6種類のキャッシュおよびスクリーンショット管理ポリシーを組み合わせた計144回のテストが実施された。テスト対象のモデルには、GPT-6.1 Solに加え、他社製モデル3種類(2025年秋リリースの安価な「モデルA」、従来の生産環境で使われていた2026年夏リリースの「モデルB」、その改良版である2026年秋リリースの「モデルC」)が含まれている。検証タスクには、StackAIの実利用を想定した「公開カタログから書籍32冊分のデータを各6項目収集する作業」が設定された。
コスト76分の1、速度5倍を達成した最適化策
実験の結果、スクリーンショットを即座に破棄せず20枚まで蓄積させた上で最新の1枚へと一括削減する方式が最も優れた成果を示した。削除の間隔を広げることで送信データの履歴が変化しない期間を長く保ち、キャッシュのヒット率を高める狙いがある。
この新ポリシーと48万文字の履歴バジェットを組み合わせた最適化構成をGPT-6.1 Sol上で動作させたところ、1回あたりの推定モデルコストは平均0.47ドル、実行時間は約4分を記録した。従来の本番環境であった未最適化のモデルB(1回あたり36.21ドル以上、所要時間22.5分以上)と比較して、コストは76分の1に低減し、実行速度は約5倍に達した。
また、同一モデル間での比較においても改善効果が確認されている。従来のモデルB自体も最適化によって1回あたり1.24ドル(約29倍の削減)まで抑えられたが、GPT-6.1 Solの最適化構成はそこからさらに2.6倍安価であった。GPT-6.1 Sol単体での比較でも、新ポリシーの導入によりコストは1.97ドルから0.47ドルへと4分の1に圧縮された。これは、入力データの89%が通常価格の5%で利用できるキャッシュから読み込まれたことによるものだという。
正答率の改善と本番環境への展開
今回の検証では、コスト削減だけでなくエージェントの正確性向上も確認された。履歴バジェットが12万文字だった設定では18回中3回しか最終的な回答を出力できなかったのに対し、48万文字に拡大した設定では18回すべての実行で正答を出力し、タスク完了率は100%となった。
すべての実験データや実行ログはAsanaのソフトウェア配信プラットフォーム「Command」に記録され、モデルセッションによるレビューを経て開発チケット化された後、プルリクエストを通じて実際の本番環境へと反映された。
Asanaの最高製品責任者(CPO)であるアーナブ・ボーズ(Arnab Bose)氏は、エンジニアが方向性を指示し、GPT-6 Astraが実験を進め、その結果がCommandを通じて本番へ投入された一連のプロセスについて、人間とAIエージェントのチームが実践された形であると述べている。また、イダルゴCTOは、かつてはコストの制約によって提供できるモデルが限られていたとし、エージェントの効率化によって持続可能な運用コストを維持しながら顧客へより高性能なモデルを提供できるようになったと語っている。
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