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AWS ML Blog

AWS、Amazon Bedrock AgentCoreとAmazon Nova 2 Sonicによる店舗向け電話注文AIホストの構築手法を公開

要点

  • AWSが、AIエージェントを構築する「Amazon Bedrock AgentCore」とリアルタイム音声モデル「Amazon Nova 2 Sonic」を組み合わせたレストラン向け電話注文システムの構築方法を公開した。
  • 店舗が月平均150件逃しているとされる顧客からの電話注文に自動で対応し、挨拶から注文完了までのやり取りをリアルタイム音声で行うことができる。
  • 業界標準の通信接続プロトコルである「MCP」を採用し、会話を制御するエージェントとメニュー管理などのバックエンドシステムを完全に切り離して構築している。
  • ユーザー側の発話の割り込みやターン制御を単一の双方向ストリームで処理し、呼び出し音の段階でAIセッションを起動させて無音時間を排除する工夫が施されている。

リード文

米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)は2026年7月16日、公式ブログ「AWS ML Blog」において、レストランでの電話注文を自動で完結させるAIアシスタントの構築手順を公開した。このシステムは、AWSのエージェント構築・実行基盤「Amazon Bedrock AgentCore」と高速な音声モデル「Amazon Nova 2 Sonic」を活用し、電話の着信から注文確定までのすべての工程をAIが応対するものである。店舗スタッフが混雑時に電話対応に追われる課題を解消し、顧客からの注文を逃さず処理できるソリューションとして紹介されている。

混雑時の電話対応を自動化するAIホスト

レストラン業界において、店舗への電話対応は大きな負担となっている。元記事によると、レストランは1店舗あたり月平均で150件の電話を逃しており、そのうち約60%は料理の注文や席の予約を目的とした顧客からの連絡だという。これらの電話は一般的に、ディナーサービスのような店内の混雑時に集中する傾向がある。スタッフが顧客を席に案内したり、テーブル対応を行ったりしている最中は電話の優先順位が下がってしまうため、電話対応のためにフロアから人を割くことは店舗運営の効率を下げる要因となっていた。

Webサイトやモバイルアプリによるオンライン注文の導入は、それらを好む顧客には有効であるものの、電話でのやり取りだけを希望する顧客への対応にはならない。こうした課題に対し、AWSは電話回線を通じて顧客の注文を完全に聞き取り、バックエンドのシステムに登録するまでをシームレスに行うAIホストの仕組みを公開した。

3つの層に分離された柔軟なシステム構成

公開されたシステムは、機能ごとに役割を明確に分けた「テレフォニー層」「エージェント層」「バックエンド層」の3レイヤー構造で設計されている。このように各層を分離させることで、将来的にアプリや店頭キオスクなどの新しい受付チャネルを追加する際にも、バックエンド側のプログラムを書き換えることなく対応できる柔軟性を備えている。

1. テレフォニー層(電話通信処理)

電話網とAWSのシステムをつなぐ役割を果たす。この層では、公衆回線からの接続を可能にする「Amazon Chime SDK Voice Connector(音声通話を処理するサービス)」を利用し、フリーダイヤルでの着信を受け付ける。着信した音声データは、コンテナ(アプリの動作環境をパッケージ化したもの)をサーバー管理不要で実行する「Amazon ECS on AWS Fargate」上で稼働するゲートウェイによって受け取られ、暗号化されたWebSocket接続を介してリアルタイムにエージェント層へストリーミング送信される。フロントエンドの負荷分散には「Network Load Balancer(通信を複数のサーバーに自動で振り分ける機能)」が配置されている。

2. エージェント層(対話と判断)

会話のロジックを制御し、顧客とのやり取りを実行する。「Amazon Bedrock AgentCore Runtime」が会話をホストし、セキュリティと分離性の確保のために、通話ごとに個別の「microVM(軽量な仮想マシン)」を割り当てて処理を起動する。音声処理には、音声対音声の対話向けに設計された「Amazon Nova 2 Sonic」を使用している。本モデルは、顧客による途中の発話の割り込みや、話す順番を制御するターン制御、および文字起こしを単一の双方向ストリームの中でまとめて処理することが可能である。

3. バックエンド層(データ処理と注文登録)

レストランのメニュー、カートの状態、店舗の位置情報などを管理する役割を持つ。この層では、AIエージェントと外部のシステムやデータを接続するオープン規格である「Model Context Protocol (MCP)」を活用する。「AgentCore Gateway」と呼ばれるコンポーネントが、バックエンドが提供するAPI(システム同士を連携させる窓口)をMCPツールとしてエージェントに公開し、エージェントはこれを動的に発見して呼び出すことができる。
バックエンドの処理は「Amazon API Gateway(APIの管理サービス)」をフロントとし、サーバーレスでプログラムを実行する「AWS Lambda」がメニュー取得やカートへの商品追加、注文確定といったビジネスロジックを実行する。データはデータベースサービス「Amazon DynamoDB」に保存され、顧客の位置情報の特定やルートの計算には「Amazon Location Service」が使用される。

不自然な無音時間をなくすウォームアップ技術

音声による自動応答でよく問題となるのが、ユーザーが電話をかけてからAIが応答するまでの待ち時間(無音状態)である。今回のシステムでは、電話がまだ呼び出し中(コール中)の段階で、AWS側でAIエージェントのセッションを事前に起動して準備させておく「ウォームアップ」処理が組み込まれている。これにより、通話がつながった瞬間にAIが即座に自然な挨拶を発し、顧客に不快な静寂を感じさせない工夫が施されている。

AWSは、このシステム全体のデプロイをコードによって簡単に行えるよう、クラウドインフラをプログラミング言語で定義する開発ツールである「AWS Cloud Development Kit (AWS CDK)」を用いたデプロイテンプレートも合わせて提供していると説明している。

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