AWS、Amazon Bedrock AgentCoreを活用してClaude DesktopにセキュアなWeb検索を追加する手法を公開
要点
- AWSは、Amazon Bedrock上のClaude Desktopに安全なWeb検索機能を統合する構成手法を発表した。
- 「AgentCore Gateway」を経由し、数百億規模のWeb文書を網羅するMCP互換の検索機能と接続する。
- 検索クエリのトラフィックはすべてAWSインフラ内に留まり、外部APIキーの管理も不要となる。
- AWS IAM Identity CenterとAmazon Cognitoを連携させ、組織の既存環境に適合する認証基盤を構築する。
リード文
アマゾン ウェブ サービス(AWS)は2026年10月2日、公式技術ブログ「AWS ML Blog」において、AIエージェント構築基盤「Amazon Bedrock AgentCore」を活用し、Amazon Bedrock版「Claude Desktop」へ安全にWeb検索機能を統合するアーキテクチャを公開した。大規模言語モデルが持つ知識のカットオフ(学習データの更新期限)による制約を解消し、最新ドキュメントやリアルタイムの価格情報などを安全に取得できるようにする手法だという。
知識カットオフの解消と「AgentCore Gateway」の役割
Amazon Bedrock上で動作するClaude Desktopは高度なAIアシスタント機能を提供する一方で、Web検索が統合されていない環境では、モデルが事前に学習した範囲の情報に回答が制限されるという課題があった。そのため、直近で更新されたドキュメントやライブの価格情報、気象情報といった最新データをモデル自身が取得することはできなかった。
AWSが提供するAmazon Bedrock AgentCoreは、任意のフレームワークやモデルを用いてAIエージェントを大規模に構築・接続・最適化するためのプラットフォームである。今回の構成では、その機能の一つである「AgentCore Gateway」を利用することで、Claude DesktopからWeb検索機能(Web Search)への安全な接続経路を確立する。Claude Desktop側のマネージドMCPサーバー機能を使い、Web検索ターゲットを有効化したAgentCore Gatewayへ接続する仕組みとなっている。
数百億の文書を対象とする「Web Search」の仕様とセキュリティ
今回の連携で利用される「Web Search」は、Amazon Bedrock AgentCoreが提供する完全マネージド型の検索機能である。オープンな通信規格であるModel Context Protocol(MCP:AIモデルと外部ツールやデータソースを接続するための標準プロトコル)と互換性を持つ。
このWeb検索機能は、数百億規模の文書を網羅するAmazon独自のWebインデックスを基盤として動作する。最大の特徴はセキュリティとプライバシーへの配慮であり、検索クエリの全トラフィックがAWSのインフラストラクチャ内部に留まる設計となっている。これにより、サードパーティの外部検索APIキーを個別に管理する必要がなく、クエリが組織のセキュリティ境界の外へ送信されるリスクを排除できると説明されている。
IAM Identity CenterとCognitoによる企業向け認証基盤
本アーキテクチャでは、企業内のアクセス統制と整合性を保つため、AWSの認証サービスを組み合わせた堅牢な認証フローが採用されている。AWS環境へのアクセス管理で広く使われている「AWS IAM Identity Center」(複数のAWSアカウントへのシングルサインオンを一元管理するサービス)を認証ソースとして利用する点が特徴である。
AWS IAM Identity CenterとAgentCore Gatewayのインバウンド認証を橋渡しするため、フェデレーション層として「Amazon Cognito」(認証・認可機能を提供するマネージドサービス)を配置し、OAuth 2.0の認可コードグラントフローを適用する。
- ユーザー認証は、AWS IAM Identity CenterがSAML(Security Assertion Markup Language:異なるドメイン間で認証情報を交換するための標準規格)を通じて処理する。
- その認証結果に基づき、Amazon CognitoがJSON Web Token(JWT:認証情報を安全にやり取りするためのトークン形式)を発行する。
- AgentCore Gatewayは、Claude Desktopからのリクエストごとに受信したJWTの正当性を検証する。
この構成により、独立した個別の認証情報や外部のサードパーティIdP(アイデンティティプロバイダー)を追加することなく、組織が既存で保有するアイデンティティガバナンスに沿った形で安全なアクセス制御を実現できるという。また、認証チェーン全体がAWS環境内だけで完結する点も特徴として挙げられている。
導入に必要な前提条件
本構成をセットアップして利用するための前提条件として、AWSは以下の要件を挙げている。
- AWS IAMロールおよびAmazon Bedrock AgentCoreリソースを作成する権限を持つAWSアカウント
- AWS Organizationsの管理アカウントに対する管理者アクセス権(AWS IAM Identity Centerの設定に必要)
- AWSアカウントへのシングルサインオン(SSO)アクセスが事前構成されたAWS IAM Identity Center環境
- Amazon Bedrockと連携するようにセットアップされたClaude Desktop環境