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AWS ML Blog

AWS、Amazon Bedrock Knowledge Basesを活用したマルチテナント対応エージェント検索アプリの構築手法を公開

要点

  • 米AWSは、Amazon Bedrock Knowledge Basesを活用して企業データ向けのマルチテナント型エージェンティックチャットを構築するアーキテクチャを公開した。

  • 複雑な質問をサブクエリに分解して段階的に検索する「マルチホップ検索」において、すべての検索ステップでテナント間のデータ分離を確実に維持する手法を提示している。

  • 取り込み、埋め込み、インデックス同期、ランキングなどのインフラ管理をフルマネージド化し、カスタムコネクタ経由で数秒以内の検索反映を実現する。

  • 検索計画の立案や回答生成、引用情報の付加をナレッジベース側が担うことで、開発者はUIや認証といったプロダクト固有の機能実装に専念できる。

  • 実際のAWSアカウントへ展開可能なサンプルコードを含むリポジトリも合わせて提供されている。

  • 米Amazon Web Services(AWS)は2026年8月31日、同社の公式ブログ「AWS ML Blog」において、マネージドサービス「Amazon Bedrock Knowledge Bases」を用いたマルチテナント対応のエージェンティックチャットアプリケーション構築手法を発表した。契約書や業務レポートなどの企業内ドキュメントを対象に、ユーザーごとの厳格なデータ分離を保ちながら自律的な検索と回答生成を行うシステムの設計パターンを解説している。記事ではデータフローや大規模運用のベストプラクティスが示されているほか、自身のAWSアカウントに展開できる実装コードも提供されている。

マルチテナント環境における自律検索の技術的課題

企業向けの大規模システムにおいて、複数の利用者や組織が同一のシステムを共有する「マルチテナント」環境下で動作するチャットアシスタントの需要が急速に高まっている。特にユーザーが契約書やマニュアルなどのドキュメントをアップロードし、それに対して即座に質問を行えるドキュメントチャットのニーズは極めて大きいという。

しかし、チャットUIそのものの構築は比較的容易である一方、その背後で動作するマルチテナント型のエージェンティック検索システムの構築には高度な技術的難所が存在すると同社は指摘している。

最大の課題は、テナント間におけるドキュメントの確実な分離である。データアクセスの境界は、クライアント側から送られる任意の値ではなく、検証済みのアイデンティティ(認証情報)に基づいて厳格に適用されなければならない。

さらに、AIエージェントが自律的に推論して情報を探索するエージェンティック検索では、この分離が一段と複雑化する。エージェントは複雑な質問を複数のサブクエリに分解し、段階的に複数回の検索(マルチホップ検索)を実行する。このすべての検索ステップにおいてテナントフィルタを漏れなく適用し続けなければ、テナント間のデータ分離が容易に破綻してしまう。加えて、ベクトル検索や全文検索エンジンの構築、多様なデータ形式を処理するマルチモーダル取り込みパイプラインの運用、インデックスの同期維持など、開発チームが自前で構築・運用すべきインフラの負担は膨大になるという。

マネージドナレッジベースによるインフラの抽象化

こうした差別化につながらない重労働(Undifferentiated heavy lifting)を解消する手段として、同社は「Amazon Bedrock Knowledge Bases」の活用を提案している。

同サービスは、ドキュメントの取り込み(Ingestion)、ストレージ、テキストなどを数値ベクトルへ変換する埋め込み(Embedding)、検索結果のランキングをすべてマネージドで管理する。これにより、インフラの事前プロビジョニングやキャパシティの監視を行う必要がなくなる。

さらに、カスタムコネクタを通じた直接取り込み機能を利用することで、アプリケーションからナレッジベースへドキュメントを直接送信でき、送信からわずか数秒で検索可能な状態に反映されるとしている。

自律的なマルチホップ検索とデータフローの役割分担

提案されているソリューションでは、ユーザーが質問を行うと、アプリケーションがAmazon Bedrock Knowledge Basesのエージェンティック検索APIを呼び出す仕組みとなっている。

API側ではエージェントワークフローが起動し、質問内容に応じた最適な応答方法を自律的に判断する。単純な事実確認であれば1回の検索で処理を完了するが、複数要素を含む複雑な質問の場合には、反復的な計画立案プロセスを通じて質問をサブクエリへと分解し、複数回の検索(マルチホップ検索)を行ってから最終的な回答を組み立てる。

生成される回答はいずれも検索で取得されたパッセージに基づいて根拠付け(グラウンディング)され、参照元の引用情報(Citations)も自動的に付与される。この一連のプロセスにおいて、すべての検索ホップでアクセス権限が確実に尊重される点が大きな特徴だという。

このアーキテクチャにより、システム全体の責務分担が明確化される。ナレッジベース側が「検索対象の計画立案」「ベクトルインデックス」「ランカー」「回答生成モデル」といった検索・生成の基盤コンポーネントをすべて受け持つ。そのため、アプリケーション開発側はアップロード画面のUI、チャットインターフェース、認証認可、ユーザーごとのデータ分離制御、独自のビジネスロジックといったプロダクト固有の領域の開発に専念できると説明している。

運用のベストプラクティスと展開用コードの提供

同ブログ記事では、ドキュメントの取り込みと対話型検索という2つのデータフローを中心に、非同期インデックスのライフサイクル管理やユーザー単位のデータ分離手法、大規模運用に向けたベストプラクティスが包括的に解説されている。

また、開発者が自身のAWSアカウント上でこのアーキテクチャを迅速に再現・検証できるよう、対応するサンプルリポジトリも合わせて公開されている。

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