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AWS ML Blog

AWS、Amazon Bedrockに「エージェント型検索」を追加 複雑な比較や段階的な調査を自動化

要点

  • AWSが、Amazon Bedrockのナレッジベース向けに自律的な検索と推論を行う「Agentic retrieval(エージェント型検索)」を発表。
  • 複数の要素を比較する質問など、従来の「シングルショット検索(単発検索)」では精度が落ちる複雑な質問に対応する。
  • AIが質問を細かく分解し、情報の探索、追加検索、最終的な回答の生成までをAPIの内部で完結させる。
  • 開発者が自前で構築していた検索ループや重複排除の処理が不要になり、開発効率の向上やコスト削減が期待される。

リード文

Amazon Web Services(AWS)は2026年7月23日、同社が提供する機械学習プラットフォーム「Amazon Bedrock」のManaged Knowledge Base(管理型ナレッジベース)において、新機能「Agentic retrieval(エージェント型検索)」の提供を開始したことを発表した。この機能は、AIが自律的に検索プランを立てて実行を繰り返すことで、従来の検索手法では回答が難しかった複雑な質問に対して高い精度で答えを生成するものである。

従来の「シングルショット検索」が抱える限界

現在、AIによる文書検索の多くは、ユーザーの質問に対して1回だけ検索を行う「シングルショット検索」を採用している。しかし、AWSはこの手法には明確な弱点があると説明する。

例えば、「2020年と2023年の戦略を比較して何が変わったか?」といった、複数の意図を含む質問や比較を行う場合だ。
従来の検索システムは、質問全体の意味を「埋め込み空間」(テキストデータをベクトル化して意味の近さを計算する空間)にマッピングし、近い文書(チャンク)を取り出す。しかし、複数の意図が混ざった質問では意図が打ち消し合い、平均化された的外れな情報しか返ってこない。

AWSの検証では、株主向け手紙のデータに対し、「最も重要なメッセージは何か?」という曖昧な質問を実行したところ、最上位の結果として「ロゴの配色に関する記述」が返された。検索自体は機能しているものの、質問に含まれる「最も重要」という意図を判断する仕組みが不足していたためだ。

さらに、「2020年と2023年の採用、長期投資、顧客第一主義の記述を比較し、重点の移行を教えてほしい」といった質問になると、1回の検索で3つのトピックと2つの年代のすべてに適合する文書を集めることはほぼ不可能になる。

人間の調査プロセスを再現する「エージェント型検索」

これに対し、人間が同様の調査を行う場合は、まず「2020年の採用」「2023年の採用」などと質問を分解し、個別に検索を行う。結果を見て情報が不足していれば検索キーワードを変えて再検索し、最終的に得られた情報をまとめて回答を作成する。

今回発表された「Agentic retrieval」は、この人間が行う「計画、検索、評価、再検索、統合」のプロセスをAPIの内部で自動化する仕組みである。

エージェント型検索は、複雑な質問を受けると自律的に検索プランを作成する。その後、必要な情報を得るためのサブクエリ(分解された検索条件)を発行してデータを収集。集まった情報が十分かを判断し、不足していれば検索条件を調整して追加検索を行う。最終的に、収集したすべての情報をもとに回答を生成して出力する。

自前開発による「つなぎ込み」の苦労を解消

これまでも、同様の検索を実現するために、開発者が独自にシステムを構築することがあった。モデルに検索計画を立てさせ、複数回検索を実行し、情報が足りるまで繰り返す処理をプログラムで管理する方法だ。

しかし、これを自前で実装すると、呼び出し回数の増加による処理遅延(レイテンシ)や実行コストの上昇、信頼性の担保といった課題が生じる。アプリケーションごとにつなぎ込みのコードを書く必要もあり、開発効率の低下を招いていた。

今回のAgentic retrievalは「AgenticRetrieveStream API」を通じて提供され、これらの複雑な処理をAWS側で一括処理する。これにより、開発者は複雑なループ処理を構築することなく、信頼性の高いエージェント型検索を組み込めるようになる。

どのような場面で選択すべきか

AWSは、単純なキーワードや明確な単一の質問に対する検索には従来の標準的な「Retrieve API」が適しているとする一方で、複数のナレッジベースをまたぐ質問や、情報の十分性を判断して探索的に調査を進める必要がある場合には、新しく提供されるAgentic retrievalの活用を推奨している。

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