OWN NEWS GATHER
← 戻る
AWS ML Blog

AWS、Bedrock AgentCoreを用いたクラウド移行向け自律型AIフレームワークを公開 300超のアプリでIaC構築を数分に短縮

要点

  • AWS Professional Servicesが、大規模なクラウド移行を自律型AIで加速するマルチエージェントフレームワークを発表した。

  • 基盤に「Amazon Bedrock AgentCore」、開発に「Strands Agents SDK」を採用し、4つの特化型エージェントが連携する。

  • 300超のアプリケーションを対象とした移行案件で、従来アプリあたり3〜4週間要したIaC作成時間を数分に短縮した。

  • 現状調査からインフラコード生成、ガバナンス評価、移行後の予防的運用まで、移行ライフサイクル全体を包括的にカバーする。

  • 米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)の専門組織「AWS Professional Services」は2026年8月20日、大規模なクラウド移行を効率化するマルチエージェント型の自律型AIフレームワークをAWS ML Blogで公開した。同フレームワークは、AIエージェント基盤「Amazon Bedrock AgentCore」と「Strands Agents SDK」を活用し、企業のデータセンター撤退などに伴う移行期間の大幅短縮を目指すものだ。AWSが公開した社内プロジェクト追跡データによると、300以上のアプリケーションポートフォリオにおいて、従来1システムあたり3〜4週間かかっていたインフラ構成コード(IaC)の開発期間を数分に短縮できたという。

大規模移行における3つのボトルネック

エンタープライズ企業がデータセンターからの撤退を伴う大規模移行を進める際、従来の開発・移行手法では3つの主要なボトルネックが発生していたとAWSは説明している。

1つ目は、初期調査における「手動インテークの負担」だ。移行の開始にあたり、既存のオンプレミス環境のアーキテクチャ、インベントリ、システム間の依存関係を把握し、ヒアリング質問票を回収・分析する作業に1アプリあたり数週間を費やしていた。対象が300を超える場合、この初期調査だけで全体の移行スケジュールを圧迫する要因となっていた。

2つ目は、「インフラ開発の重複作業」である。移行先の構成が決まった後、エンジニアはAWSリソースを調達するためのIaC(Infrastructure as Code:インフラの構成をコードで定義・管理する手法)を作成する。手作業でゼロから記述する場合、1アプリあたり3〜4週間を要し、300以上のアプリ全体では数年分の開発工数に達していた。

3つ目は、「移行後の受動的な運用」だ。移行完了後は手動監視や事後対応的な障害対処に依存しがちで、性能低下を予兆検知して自動修復する仕組みがないため、長期的な運用負荷が蓄積していた。

今回のフレームワークは、こうした反復作業をAIエージェントへ委任しつつ、重要な意思決定権限は人間のエンジニアが保持する構成をとっている。

移行ライフサイクルを分担する4つのAIエージェント

本フレームワークでは、移行ライフサイクルの各段階に特化した4つのエージェントが連携して処理を進める。

  • Intake Agent(インテーク・エージェント)
    オンプレミス環境の調査やシステム情報の収集といったディスカバリー(現状分析)業務を自動化する。
  • IaC Agent(IaCエージェント)
    組織のセキュリティベストプラクティスに準拠したインフラ構成コード(IaC)を自動生成する。
  • Migration Intelligence and Governance Agent(移行インテリジェンス&ガバナンス・エージェント)
    ポートフォリオ全体の進捗レポート作成や、AWSの設計原則に基づくWell-Architected(安全性や信頼性などを評価する枠組み)アセスメントを実施する。
  • Site Reliability Engineering (SRE) Agent(SREエージェント)
    移行後のシステムをプロアクティブ(予防的)に監視し、性能低下の検知や自動修復を行うことで安定稼働を支援する。

採用技術と利用に必要な前提条件

エージェントの実行基盤には、あらゆるモデルやフレームワークに対応し、エージェントの大規模な構築・接続・最適化を担う「Amazon Bedrock AgentCore」が採用されている。エージェント実装には「Strands Agents SDK」が使われ、ツール連携には「Model Context Protocol(MCP:AIモデルと外部ツールやデータを接続するためのオープン仕様)」サーバーパターンが適用されている。

AWSによると、本フレームワークを利用・再現するには、Amazon Bedrock AgentCoreおよびAmazon Bedrock上の基盤モデル(FM)へのアクセス権を持つAWSアカウントが必要となる。さらに、Strands Agents SDKやMCPサーバーの構造、組織内で利用しているIaCツールに関する知識が求められるとしている。

補足

本フレームワークによる工数削減効果はAWS内部の追跡データに基づいたものであり、プロセスの各フェーズには責任あるAI(Responsible AI)の制御とセキュリティ対策が組み込まれている。

元URL