AWS、ForresterのAIインフラ評価でリーダーに選出——独自チップとGPUの選択肢や16項目満点が高評価
要点
- 米Amazon Web Services(AWS)は、調査会社Forrester ResearchによるAIインフラ評価レポート「The Forrester Wave: AI Infrastructure Solutions, Q4 2025」で「リーダー」に選出された。
- 評価対象となった13社のプロバイダーの中で、AWSは「戦略(Strategy)」カテゴリーにおいて最高スコアを獲得した。
- アーキテクチャやセキュリティ、ロードマップなど、全評価基準のうち16項目で最高スコアとなる満点(5.00点)を記録した。
- 独自開発のAIチップ「AWS Trainium」「AWS Inferentia」とNVIDIA製GPUを併用できる柔軟性と、コスト効率の高さが評価された。
リード文
米Amazon Web Services(AWS)は2026年8月31日、米調査会社のForrester Researchが発行したレポート「The Forrester Wave: AI Infrastructure Solutions, Q4 2025」において、AIインフラストラクチャ(AIの学習や推論を実行するための計算資源やネットワークなどの基盤環境)分野の「リーダー」に選出されたと発表した。同レポートは主要プロバイダー13社を対象に実施されたもので、AWSは戦略カテゴリーで参加企業中トップの評価を獲得したという。
13社を対象とした評価で16項目において満点を獲得
Forrester Researchが実施した「The Forrester Wave: AI Infrastructure Solutions, Q4 2025」は、AIインフラを提供する主要13社を対象に、現行の製品群(Current offering)、将来的な戦略(Strategy)、および顧客からのフィードバックにまたがる詳細な基準で評価を行ったものだ。この中でAWSは、全評価基準のうち16項目において最高スコアとなる5.00点を獲得した。
具体的に最高点を獲得した項目は、製品機能などを評価する「現行製品」カテゴリーにおいて以下の10項目に上る。
- アーキテクチャ
- エコシステム
- データ管理
- トレーニング(モデルの学習処理)
- 開発環境
- 管理および運用
- 耐障害性
- 効率性
- セキュリティ
- スケーラビリティ(拡張性)
また、今後の展開やビジョンを評価する「戦略」カテゴリーにおいても、以下の項目を含む領域で最高評価の5.00点を獲得し、同カテゴリー全体で最高スコアを記録した。
- ビジョン
- イノベーション
- ロードマップ
- パートナーエコシステム
- 価格の柔軟性と透明性
Forresterが定義するAIインフラの3大要件
Forresterのレポートでは、近年の急速なAI導入の進展に伴い、学習やファインチューニング(既存の学習済みモデルに追加データを与えて特定用途向けに微調整する手法)、大規模な推論(学習済みモデルを用いて予測や生成を行う処理)といったライフサイクル全体を支えるインフラの重要性が増していると指摘されている。その上で、成功するAIインフラには以下の3つの要素が不可欠であると分析している。
- ワークロード特化型アーキテクチャ: 汎用的な計算処理ではなく、モデルのトレーニング、ファインチューニング、推論の各特性に合わせた専用の設計であること。
- エンジニアリング効率: コンピュート、ネットワーク、ストレージ、オーケストレーション(複数の計算リソースを統合管理・自動制御する仕組み)を協調して設計し、稼働率を最大限に高めること。
- 持続可能性と柔軟性: 消費電力や冷却の課題に対応しつつ、特定の技術に縛られるベンダーロックイン(特定ベンダーの製品に依存して他への移行が困難になる状態)を回避できること。
独自半導体とNVIDIA製GPUを組み合わせた柔軟な選択肢
AWSは自社のAIインフラ戦略について、顧客に対する多様な選択肢の提供とコスト効率の追求を中心に据えていると説明している。
具体的には、機械学習の推論処理に特化した「AWS Inferentia」やモデル学習に特化した「AWS Trainium」といった自社開発の専用AIプロセッサに加え、NVIDIA製のGPUインスタンスも提供している。これにより、利用企業は特定のハードウェアに縛られることなく、ワークロードの特性や予算に応じて最適な計算資源を選択できるとしている。
コスト効率と大規模推論への適合性を高く評価
Forresterはレポートの中で、AWSの戦略や強みについて次のように評価している。
AWSのビジョンは、自社開発のアクセラレータ(特定計算を高速化する専用プロセッサ)とNVIDIA製GPUの双方を提供することで、ハードウェアのロックインを避けながら、推論ワークロードにおいてコスト効率の高い選択肢を顧客に届けることにあるという。自社製シリコンは一般的な主流タスクで強力な性能を発揮し、NVIDIA製ハードウェアはより高度なハイエンド需要を支える役割を果たしていると評されている。
さらに、今後のロードマップについて半導体開発への継続的な投資や、機械学習プラットフォーム「Amazon SageMaker」などのAWSサービスとの一層緊密な統合が示されている点、主要な基盤モデル(多様なタスクに応用可能な大規模AIモデル)開発企業との連携によって顧客が多様なモデルへ直接アクセスできる点も評価された。
総括としてForresterは、AWSについて「コスト効率を最優先しつつ、ピーク時の高負荷シナリオではGPUへのアクセスも必要とするような、大規模または柔軟な推論ワークロードを抱える企業に最も適している」と結論づけている。
AWSは、推論ワークロードの大規模化から基盤モデルの構築に至るまで、目的に応じた専用設計チップやアクセラレーテッドコンピューティングの選択肢を通じて、顧客のAI導入を支援していくとしている。