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AWS ML Blog

AWS、LangGraphとStrandsを組み合わせた市場監視AIエージェントの構築手法を公開

要点

  • AWSが、金融市場監視などの複雑な業務に対応するマルチエージェントAIシステムの構築・展開手法をブログで公開した。

  • ワークフロー全体の管理には「LangGraph」、個別の推論処理には「Strands」を採用し、双方の強みを組み合わせている。

  • 本番運用の信頼性を高めるため、昨年リリースされた「Amazon Bedrock AgentCore」を活用したインフラ構築を提案している。

  • ハルシネーションやインジェクション攻撃といったリスクを防ぐため、データの検出と取得を分離する安全なツール設計を採用した。

  • 構築手順や動作を直接検証できるサンプルコードが、GitHub上でオープンソースとして一般公開されている。

  • 米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)は2026年7月28日、AIによる市場監視システムを構築するためのアーキテクチャを公式ブログで公開した。このシステムは、ワークフロー管理フレームワーク「LangGraph」と推論エンジン「Strands」を組み合わせ、AWSの「Amazon Bedrock AgentCore」上で動作する。同社は、複雑な金融取引の分析や報告書作成を、複数のAIエージェントの連携によって効率化する手法を提案している。

金融市場監視におけるマルチエージェントの課題

AIアプリケーションは、単純な応答を行うチャットボットから自律的にタスクを実行するシステムへと進化を遂げている。しかし、実際のビジネスで自動化を進めるには、複数のAIが協調して動作する「マルチエージェントシステム(特定の役割を持つ複数のAIプログラムが互いに連携してタスクをこなす仕組み)」の制御(オーケストレーション)が課題となっていた。

特に金融業界における市場監視システムは、極めて複雑な処理が求められる代表例だという。不審な取引パターンの分析、不正行為の調査、規制に準拠したレポートの自動作成など、専門性を持った複数のエージェントを適切に連携させる必要がある。これらを高い信頼性を保ちながら運用するため、今回のアーキテクチャが考案された。

LangGraphとStrandsの役割分担

提案されているシステムでは、2つのフレームワークが異なる役割を担うことで、堅牢なワークフローを実現している。

全体的な進行管理や状態保持には「LangGraph」を採用した。LangGraphは有向グラフを用いて複数のエージェント間の協調を制御することに優れており、実行状態を細かく追跡できる。また、システム障害が発生した際にチェックポイントから処理を復旧する機能や、処理の途中に人間の判断を挟む「ヒューマンインザループ(AIによる自動処理の過程に人間の確認や承認のステップを組み込む仕組み)」などの機能を備えており、本番環境での信頼性を高めている。

個々の処理ノードにおける知的な推論には「Strands Agent」を使用する。Strandsは特定のLLM(大規模言語モデル)プロバイダに依存しない設計となっており、様々なモデルと連携できる。また、実行中の中間結果に基づいてツールの出力を継続的に評価し、次の行動を決定する推論ループを構築できる。

セキュリティとハルシネーション対策

市場監視エージェントの構築において、Strandsは安全なデータアクセスを実現するためのルールを提供する。本システムでは、「ハルシネーション(AIが事実とは異なる誤った情報を生成する現象)」や「インジェクション攻撃(外部入力を悪用してシステムを誤動作させる攻撃手法)」を防ぐため、データの「検出」と「取得」のプロセスを分離している。

具体的には、利用可能なレポートを探すためのツール(get_report_listget_report_schema)と、検証されたパラメータを用いて実際にSQLクエリを組み立てて実行するツール(run_report)を別々に定義する。これにより、AIが勝手に関連性のないデータベースコマンドを実行することを防ぎ、安全な運用が可能になるとしている。

Bedrock AgentCoreによる本番展開

構築したエージェントシステムを実用化する基盤として、AWSは昨年リリースした「Amazon Bedrock AgentCore」を利用する。これにより、企業向けアプリケーションに求められるインフラの信頼性と、システムの動作状況を監視する「可観測性(オブザーバビリティ)」を確保しながら、本番環境へのデプロイを簡素化できると説明している。

AWSは、このアーキテクチャに基づいた監視エージェントの具体的な実装例も紹介している。このエージェントには、AWSの「us-east-1(バージニア北部)」リージョンで提供されているLLM「us.anthropic.claude-sonnet-4-6」が用いられている。

サンプルコードの公開

今回の発表に伴い、AWSは開発者がこのマルチエージェントシステムを追体験できるよう、ソースコード一式をGitHub上のリポジトリ「aws-samples/sample-langgraph-strands-market-analysis」で公開した。これにより、AWS of インフラ上に実際にシステムをデプロイし、LangGraphのチェックポイント機能やStrandsの推論ループを直接検証することが可能だとしている。

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