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AWS ML Blog

AWS財務チームが生成AI「Amazon Quick」を導入、顧客分析時間を6時間から10分に短縮しポートフォリオ全体をカバー

要点

  • AWSの財務チームが、データ集計などの準備作業にかかる時間を削減するため、生成AIアシスタント「Amazon Quick」を導入した。
  • Amazon Quickのチャットエージェント機能を活用することで、戦略顧客の財務分析に要する時間が従来の最大6時間から約10分へと大幅に短縮された。
  • 分析の高速化により、これまで全体の3分の1しか行えなかった詳細な財務調査を、全顧客ポートフォリオに対して実施可能になった。
  • 自然言語による指示だけで、数百万行のデータに対する回帰分析やモンテカルロシミュレーション、強気・弱気分析を自動で実行できる。

リード文

AWS財務チームが生成AIアシスタント「Amazon Quick」を導入し、データ集計や財務分析にかかる業務時間を劇的に削減したことが明らかになった。AWSが自社の機械学習ブログ(AWS ML Blog)で2026年7月7日に公開した記事によると、企業の財務計画の策定や業績分析を行うFP&A(Financial Planning and Analysis)チームが抱えていた手作業によるデータ準備の負担が、AIの導入によって大幅に軽減されたという。本稿では、同チームがAmazon Quickの「チャットエージェント」や「フロー」を活用して構築した、新しい財務ワークフローの具体的な成果と仕組みについて紹介する。

本文

財務部門が直面していた「データ準備」の負担

企業の財務部門におけるFP&Aチームにとって、週明けのデータ集計や報告書の作成は負担が大きい。複数の基幹システムから財務数値を抽出し、不整合を調整した上でチャートを作成し、解説文を執筆する。こうした一連のプロセスは、前週の売上状況とその要因を把握するためだけに毎週繰り返されていた。AWS財務チームも例外ではなく、前週の売上状況とその要因を把握するためのデータ準備に毎月何百時間も費やしており、本質的な「分析」や「戦略立案」に時間を割けない課題を抱えていた。

生成AIアシスタント「Amazon Quick」の導入

この課題を解決するため、同チームは生成AIアシスタント「Amazon Quick」を導入した。これは企業データやアプリケーションと接続し、日常的な言葉(自然言語)で検索や分析、アクションを実行できるサービスだ。数百万行のデータベース処理や高度な分析、定型ワークフローの自動化をAIが担うため、プログラミング技術のない一般ユーザーでも高度なデータ活用が可能になるという。AWS財務チームは、特に時間と手間の比重が大きかった業務プロセスの改革に着手した。

ユースケース:戦略的ポートフォリオのシナリオ分析とリスク評価

特に改善効果が大きかったのが、戦略顧客の財務目標を設定するプロセスだ。チームは、日常会話で高度なインサイトを引き出せる専用のチャットエージェントを構築。大容量データの高速な分析に適したクラウド型データウェアハウス(大容量データを保存・分析するシステム)である「Amazon Redshift」上の数百万行のデータや、外部のシグナルを即座に検索できるようにした。これにより、財務分析のワークフローは以下のように劇的に変化したという。

  • 導入前の状況: アナリストが期限内に詳細な分析(ディープダイブ)を行えるのは戦略顧客の約3分の1にとどまり、残りは表面的な分析にとどまっていた。顧客1社あたりの分析には、データの抽出や予測モデルの実行、ドキュメント化など、最大6時間の手作業を要していた。
  • 導入後の状況: AIが統計予測の評価、要因と結果の関係性を数式で表す「回帰分析」、乱数を用いて不確実な未来を予測する「モンテカルロシミュレーション」、複数の異なる状況を想定して財務影響を予測する「シナリオモデリング」を自動実行するようになった。これにより顧客1社あたりの分析時間は約10分に短縮。手作業で見落としていたリスクや機会も検出され、全顧客ポートフォリオを深くカバーできるようになった。

自然言語による指示と高度なインサイトの統合

このチャットエージェントは、指示を受けると数百万行のデータをクエリ(データベースから情報を抽出する命令)し、財務数値などの構造化データと、現場レポートや商談の進捗状況を記録した「パイプラインデータ」といった非構造化データを統合して分析する。

アナリストが「トップ戦略アカウントの機会とリスクの評価を実行して」と日常の言葉で指示するだけで、契約更新の時期や案件の進捗から、売上増の見込み(アップサイド)や下振れリスクを精査し、従来の数値モデルでは不可能だった「強気・弱気」の分析を実行する。コーディングが不要なため、財務部門の誰もがこの環境を利用できるのも利点だ。

財務チーム関係者によるコメント

AWS財務部門のジェフ・ウィンクラー(Geoff Winkler)氏は、「戦略顧客のカバー範囲が3分の1からポートフォリオ全体へと拡大した。財務チームはデータ集計や複雑なクエリ作成から解放され、ビジネス部門と連携して収益を拡大するという本来の重要業務に時間を割いている」と成果を語る。

補足

Amazon Quickは、既存データと生成AIを組み合わせ、ノンプログラマーでも高度な分析を可能にする。本事例は、データ集計の自動化が財務業務の高度化と効率化に直結することを示している。

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