被害者を裏切りランサムウェア組織に内通した「二重スパイ」の交渉人、禁錮70か月の実刑判決
要点
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被害企業に代わってサイバー犯罪者との交渉を行っていた元交渉人の男が、ランサムウェア組織「BlackCat」と共謀した罪などで禁錮70か月(約5年10か月)の実刑判決を受けた。
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被告は被害企業のサイバー保険の限度額や交渉戦略といった機密情報を攻撃者側に横流しし、身代金の要求額を最大化させる「二重スパイ」として暗躍していた。
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同被告は他のセキュリティ専門家2名とも共謀し、2023年に複数の組織に対して実際にBlackCatランサムウェアを用いたサイバー攻撃を実行していた。
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米国当局は被告から、不法に得た資金で購入した高級フィッシングボートや車両、フードトラック、デジタル通貨など、これまでに1,000万ドル相当の資産を押収している。
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米国司法省は、ランサムウェア(データを暗号化してシステムを人質に取り、復旧と引き換えに身代金を要求するマルウェア)の被害に遭った企業を支援する立場でありながら、裏でサイバー犯罪組織と共謀して身代金を釣り上げていた元交渉人の男に対し、禁錮70か月の実刑判決が下されたと発表した。判決を受けたのは、フロリダ州ランド・オー・レイクスに居住するアンジェロ・マルティノ被告(41)である。マルティノ被告は2026年4月、恐喝行為によって州間通商を妨害した共謀罪1件について有罪を認めてしていた。
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裁判の過程で、マルティノ被告が二重スパイとして極めて悪質な裏切り行為を行っていた実態が明らかにされた。同被告は、ランサムウェア攻撃の被害を受けた5つの異なる企業から、攻撃者との身代金交渉を有利に進めるための交渉役として雇用されていた。しかし被告は、これらクライアント企業の同意や許可を得ることなく、交渉における手の内や戦略などの機密情報を、現在は活動を停止しているランサムウェア組織「BlackCat(ブラックキャット)」のオペレーター(運営者)に秘密裏に横流ししていたという。
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検察側が提出した量刑申立書によると、マルティノ被告は「自身のクライアントに対する被害を最大化させ、身代金の一部をキックバック(分け前)として支払ってくれるサイバー犯罪者の金銭的利益を最大化するために活動した二重スパイ」と描写されている。
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同被告がBlackCat側に漏洩させていた機密情報には、被害企業が加入しているサイバー保険の補償限度額や、企業内部で設定していた交渉の最終妥協ラインといった、交渉の根幹に関わる詳細情報が含まれていた。BlackCatのオペレーターらはこの情報を利用し、被害企業が支払うべき身代金の金額を極限まで引き上げることに成功していた。
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米国司法省刑事部のA・タイセン・デュバ司法次官補は、「マルティノ被告の被害者たちは、自らの事業が崩壊寸前にまで追い込まれた悲痛な経験を語っている。彼らを助けるために雇われた人物が、その信頼を裏切り、ランサムウェアギャングに情報を売り渡していたのだ」と述べ、被告の背信行為を強く非難した。
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さらに、マルティノ被告の犯罪行為は情報の横流しだけに留まらなかった。被告は他の2人のサイバーセキュリティ専門家と共謀し、自ら標的に対してランサムウェア攻撃を仕掛けていたことも判明している。
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共謀者として起訴されたのは、ジョージア州のライアン・ゴールドバーグ被告(41)と、テキサス州のケビン・マーティン被告(36)である。当時、マルティノ被告とマーティン被告は暗号資産仲介企業のDigitalMint(デジタルミント)社に勤務しており、ゴールドバーグ被告はサイバーセキュリティ企業Sygnia(シグニア)社でインシデントレスポンス(サイバー攻撃などのセキュリティ侵害が発生した際の緊急対応・復旧作業)のマネージャーを務めていた。
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これら3名は、2023年4月から11月にかけて緊密に共謀し、全米の複数の組織に対して実際にBlackCatランサムウェアを展開し、サイバー攻撃を成功させていた。共謀したゴールドバーグ被告とマーティン被告の2名は、2025年12月に罪状を認めており、2026年5月にそれぞれ禁錮4年の判決を言い渡されている。
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フロリダ州南部地区連邦検事のジェイソン・A・レディング・キニョネス氏は、「彼は危機の瞬間に被害者を支援するために雇われた。しかし、マルティノ被告は彼らを裏切り、機密の交渉ポジションをランサムウェア犯罪者に提供し、さらなる資金を絞りとる手助けをした」と指摘した。その上で、「今回の事件は、ランサムウェアを仕掛けるハッカーだけでなく、それを支援するインサイダー(内部関係者)、そして彼らが米国の被害者から盗み取った資金も決して逃さず追求するという明確なメッセージだ」と強調した。
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司法省の発表によれば、連邦捜査当局はマルティノ被告から、これまでに総額1,000万ドルに上る資産を押収している。これらの資産は、被害者からだまし取った不法な利益によって購入されたもので、押収物にはデジタル通貨(暗号資産)のほか、複数の車両、フードトラック、さらには高級フィッシングボートなどが含まれているという。
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FBIサイバー部門のブレット・レザーマン副局長補は、「アンジェロ・マルティノ被告は、代理人を務めるために雇われた被害者を売り渡し、交渉の機密ポジションをBlackCatの攻撃者に渡すことで身代金を引き上げ、私腹を肥やしていた」と非難した。
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マルティノ被告は、被害者に対して最終的に命じられる正確な賠償額を決定するため、2026年9月17日に再び法廷に出廷する予定である。