Chainguard、コンテナビルドマニフェスト数が10億件を突破 AI活用で自律修復する「Factory 2.0」を導入
要点
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米Chainguardは、コンテナのビルドマニフェスト生成数が直近6か月で5億件から10億件超へと倍増したと発表した。
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同社のカタログには3,000種類以上のコンテナイメージと67万5,000件以上のバージョンが登録されている。
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カタログ急拡大に伴う運用負荷や障害の連鎖を解消するため、自己修復型の新世代ビルド基盤「Factory 2.0」へ刷新した。
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新基盤の中核「DriftlessAF」は、AIボットと状態収束ループを組み合わせ、脆弱性修正のバックポートなどを自動化している。
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コンテナセキュリティを提供する米Chainguardは2026年9月8日、自社のコンテナビルドマニフェスト生成数が累計10億件を突破したことを公表した。直近6か月間で実績を5億件から倍増させたほか、提供カタログ内のコンテナイメージは3,000種以上、バージョン数は67万5,000件以上に達しているという。同社は急増するビルド需要と安全性を両立させるため、AIエージェントによる自己修復機能を備えた新世代ビルドシステム「Factory 2.0」を構築したと説明している。
10億件に達したマニフェスト生成と継続的な更新体制
発表によると、ビルドマニフェスト(ビルド時の構成情報や成果物の仕様を記録した検証可能なデータ)の10億件到達は、同社の基盤が検証可能な成果物を生成した回数の累積を示している。Goの新版(go:1.26.5)向けイメージの生成、C言語標準ライブラリ(libc)のパッチ適用に伴うNginxの再ビルド、新アーキテクチャ対応、依存関係変更に伴うSBOM(ソフトウェア部品表:構成コンポーネントを一覧化したデータ)の再生成など、変更が発生するたびに新たなビルドが行われる。
同社のカタログでは、Python 1つをとっても多数のサポートバージョンとアーキテクチャが存在し、上流のオープンソースでの変更やベースイメージの強化に合わせて繰り返し再ビルドされる。一般的な脆弱性管理が「イメージ取得時の安全性」を重視するのに対し、同社は「イメージ取得後も毎日安全であり続ける」インフラの構築を目指しているという。
独自OS「Chainguard OS」と高水準なサプライチェーン保証
すべてのビルドは、クラウドネイティブ環境向けに独自設計されたLinuxディストリビューション「Chainguard OS」をベースとしている。半年ごとの定期リリースではなくローリングリリース方式を採用し、オープンソースコミュニティの更新を常時取り込んで成果物を配信する。
成果物はすべてソースコードからビルドされ、改ざん防止基準であるSLSA(Supply-chain Levels for Software Artifacts)Level 3の来歴証明、Sigstoreによる電子署名、完全なSBOMが付与される。ビルドは宣言的かつ再現性(reproducible)を持つため、意図した通りの成果物を確実に再生成できる仕組みとなっている。
従来型イベント駆動システムが直面した「脆弱性対応の悪循環」
従来の「Chainguard Factory」は、パッケージ定義の取得からビルド、署名、配信までを自動化していたが、カタログ拡大に伴いイベント駆動型アーキテクチャの限界が露呈したという。
処理パイプラインは内部で「連鎖的な混乱」と呼ばれる状態に陥り、SRE(サイト信頼性エンジニア)が大量の通知に追われ、キューの不安定化やビルドの競合が多発した。タスクの失敗や予期せぬ問題に対して人間による手作業の修復が必要となり、設定の乖離や陳腐化への対処に追われ続ける「CVE対応の悪循環」が生じていたと同社は振り返る。
AIと状態収束ループを融合した自律型基盤「Factory 2.0」
こうした課題を解決するため、同社は中核エンジン「DriftlessAF」を備えた「Factory 2.0」を構築した。決定論的な自動化の上にAIを活用した状態調整レイヤーを重ねることで、自己修復型のビルドシステムを実現している。
Factory 2.0を構成する主な要素は次の通りである。
- 状態収束ループ(Reconciliation loop): 単一のイベントへの反応ではなく、「理想状態」と「現状」を常時比較し、CVE(共通脆弱性識別子)の報告や上流の新バージョン公開などの差分を自動で解消する。
- 継続的な共有ワークキュー: 多数のリコンサイラーボット(状態調整ボット)が共有キューから作業を取得し、目標状態への収束を進める。
- 冗長性を前提とした設計: 目標状態への到達を目指す仕組みのため、失敗したタスクは破棄して再試行できる。全工程が初回で成功することを求めない耐障害性を持つ。
- AIによる非構造的判断と自己学習: マイナーリリースでの新規要素の推論や、古いバージョンへの脆弱性修正のバックポート(過去版への修正移植)など、従来の自動化では困難だった判断にAIを活用する。AIは検証可能なツール経由で動作して誤出力を抑止し、過去のバックポート成功例を学習して他のバージョン適用に応用することで、運用の手間を自律的に削減している。