ChatGPTによる「職種外タスク」活用が日常業務へ定着、OpenAIが150万件のデータから分析
要点
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OpenAIは、ChatGPTの業務利用における労働者の行動変化を分析した最新レポートを公開した。
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4月から7月の150万件以上のメッセージ分析により、自身の担当外業務にAIを使う「タスククロスオーバー」が日常的なワークフローとして定着している実態が明らかになった。
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継続利用者の職種外AI利用率は4月の13.1%から7月には25.9%へと倍増し、顧客対話(54%)や販促文作成(44%)などで高い再利用率を示した。
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職種外タスクではプロンプトが短くなる一方、背景情報の共有や結果の検証・確認を求める割合が高く、他分野の専門性を「借りる」使い方が見られた。
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米OpenAIは2026年9月16日、ChatGPTの業務利用データを分析した経済調査レポート『Work at the Frontier』の第2弾を公開した。2026年4月から7月にかけての150万件以上の業務関連メッセージを調査した結果、労働者が自らの職種領域を超えてAIを活用する動きが、単なる一時的な試用にとどまらず、日常的なワークフローとして定着しつつある実態が判明したという。肩書が変わらないまま業務内容が広がっていく、AI時代の新たな働き方の変化が浮き彫りとなっている。
職種外タスクの利用割合が倍増、ワークフローへの組み込みが進む
OpenAIが公開した前回の調査では、労働者が本来の職種とは異なる業務にAIを活用する「タスククロスオーバー(担当領域外の作業支援)」という現象が報告されていた。今回の最新レポートでは、その利用がその後どのように変化したかを追跡している。
分析対象となったのは、ChatGPT Businessの利用開始時に登録された役職や部署情報をもとに職種が特定されたユーザーによる、150万件以上の業務関連メッセージだ。なお、ユーザーのプライバシー保護のためメッセージは匿名化・集計して処理されており、研究チームが個別のやり取りを読むことはないとしている。また、モデル学習を無効化しているデータや分類不能なメッセージは除外されている。
4月から7月にかけて継続的に観察された約6,200人の労働者のデータを分析したところ、職種固有のAI利用全体に占める「過去に利用した職種外タスク」の割合は、4月時点の13.1%から7月には25.9%へと約2倍に増加した。これは、職種を超えたAIの活用が一過性の実験ではなく、継続的な業務プロセスに組み込まれている傾向を示しているという。
また、1カ月後の追跡分析においても、前月に利用した職種外タスクを翌月も再び実行した割合は23.6%に上った。前月にそのタスクを利用していなかった同等の労働者における利用率(8.4%)と比較して明確な差が見られ、職種内タスクや一般的なタスクと同様に再利用される傾向が確認されたとしている。
マーケティングや顧客対応で高い再利用率、財務解説は慎重な傾向
職種外タスクの定着率は、業務の種類によって大きな差異が確認されている。職種外タスク全体における翌月の平均再利用率は18.5%だったが、特定の業務では半数前後が翌月も継続してAIを利用していた。
翌月の再利用率が高かった主な職種外タスクは以下の通りだ。
- 顧客との商品・サービスに関する対話:54%
- 広告・プロモーションの文章作成:44%
- マーケティング素材の制作:37%
一方で、財務情報の解説・説明に関するタスクの翌月再利用率は約15%にとどまった。OpenAIはこうした差について、AIが反復的なワークフローに自然に馴染む領域であるかどうかに加え、職場の慣行や、誤った情報が生じた際のリスクに対する慎重さの違いが影響している可能性があると説明している。
背景情報を渡して「専門知識を借りる」、指示文の使い方に違い
労働者がAIに与える指示文である「プロンプト」の内容にも、自身の担当職種内のタスクと職種外のタスクとで明確な違いが見られた。
職種外のタスクを依頼する際、プロンプトの長さは職種内のタスクに比べて平均して短くなる傾向があった。また、詳細な解説や作業手順(ハウツー)、特定の出力形式、助言などをAIに求める頻度は低かったという。
その一方で、職種外のタスクでは、関連するドキュメントや同僚から得た情報などの背景・具体例をプロンプト内に含めて提示する割合が高かった。さらに、AIが生成した内容のチェックや検証を求める割合も高くなっている。
同レポートではこの傾向について、労働者がAIを使って新しい分野を一から体系的に学ぼうとしているのではなく、手元にある課題や文脈情報を提供した上で「他分野の専門知識を一時的に借りて適用する」というアプローチを取っていると解釈している。
肩書に先行して業務が拡大、「仕事の設計」が問われる組織戦略
今回の調査結果は、企業の組織図や役職名(ジョブタイトル)が変わる前に、個々の労働者が担う実際の業務内容が先行して拡大している実態を示している。労働者が自身の担当外の業務でAIを試作的に使い、その有用性を実感することで、次第にその作業を日々のルーティン業務へと取り込んでいくプロセスが確認された。
OpenAIは、職種外の活動が日常業務として定着すれば、肩書は同じままであっても職務に含まれる業務の幅が広がっていく可能性があると指摘している。そして、企業が組織内でAI活用を進めるにあたっては、単に従業員へAIツールへのアクセス環境を提供するだけでなく、業務の切り分けや進め方をどのように再構築するかという「仕事の設計(ワークデザイン)」の視点が重要になると提言している。