ChatGPTユーザーの利用分析で判明、仕事の境界を越える「タスク・クロスオーバー」の実態をOpenAIが報告
要点
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OpenAIは、ChatGPTユーザーの利用履歴から、AIによって本来の職種の境界を越えた業務を行う動きを明らかにした。
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仕事関連メッセージの16.8%、および職種に固有の指示(非ジェネリック)の43.5%が、ユーザー自身の専門外のタスクに関するものだった。
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特に「テクノロジーのトラブルシューティング」や「財務計算」が、多くの職種で共通して外部から取り入れられている。
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組織の規模が小さいほど、他職種のタスクをAIでこなす「タスク・クロスオーバー」の比率が高くなる傾向が見られた。
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米OpenAIは2026年7月27日、同社の経済研究チームによる新しいレポートシリーズ「Work at the Frontier」の第1弾として、労働者がAIを活用して本来の職種の枠組みを越えた業務を行っている実態をまとめた報告書を公開した。米国内のChatGPTユーザーから送信された80万件以上のメッセージを分析した結果、仕事関連のメッセージの16.8%が、ユーザー自身の職業とは異なる別の職業に関連するタスクで占められていることが判明したという。
業務の相互乗り入れ現象「タスク・クロスオーバー」
OpenAIは、本来特定の職種に関連付けられている業務が、別の職種の労働者によるAI利用において現れる現象を「タスク・クロスオーバー(業務の相互乗り入れ)」と名付けた。
例えば、小規模企業のオーナーが契約書の確認や財務分析を自ら行ったり、営業担当者がデータアナリスト(データ分析の専門家)の手を借りずに顧客データを分析したり、マーケティング担当者が開発者を待たずにウェブサイトの不具合修正に取り組んだりするケースがこれに該当する。同社は、日常のタスクが大幅に変化することで、多くの仕事が再編成される可能性が高いと指摘している。
非定型利用の約半数が「他職種」の業務
レポートでは、ChatGPTで行われる業務関連の指示のうち、文章作成や要約、スケジュール調整といった、多くの職種に共通する一般的なタスクを除外した「職種特有のタスク」に着目して分析を行った。
その結果、これら職種特有のメッセージのうち43.5%が、ユーザー自身の職業とは異なる分野のタスクであった。これは、多くのユーザーがAIを利用して自らの役割を拡張していることを示唆している。
特にこの傾向が顕著だった職種グループと、それぞれの職種特有メッセージにおける他職種タスクの割合は以下の通りである。
- カスタマーエクスペリエンス(顧客対応):77%
- デザイナー:75%
- 人事(HR):69%
- 法務:56%
- マーケター:53%
これらの職種では、本来別の役割が必要だった業務を、その問題に直接直面した労働者がAIを介して自ら解決している様子が窺える。
職種間で異なるタスクの流出入トレンド
分析によると、クロスオーバーするタスクの種類には偏りがあるという。「財務計算」と「テクノロジーのトラブルシューティング(IT機器やシステムの不具合解決)」は、調査対象となったすべての職種において、他分野から取り入れられるタスクのトップ3に入った。また「マーケティング資料の作成」も広く普及しており、特にデザイナーの間でよく使われていた。
さらに職種ごとに、外部のタスクを多く取り入れる「インポート型」と、自らのタスクを他職種に提供する「エクスポート型」の傾向に分かれる。
- デザイン職:デザイナーの送信メッセージの35.2%が他職種のタスクであったのに対し、他職種のユーザーがデザイン関連のタスクを送信する割合は1.7%に過ぎず、外部タスクを一方的に取り入れる傾向が強い。
- エンジニアリング職:エンジニア自身が他職種のタスクを送信する割合は18.5%に留まる一方、他職種のユーザーがソフトウェアの不具合修正などのエンジニアリングタスクを送信する割合は7.4%に達し、タスクを提供する側としての側面が強い。
- マーケティング職:マーケター自身のメッセージの24.3%が他職種のタスクであり、かつ他職種のメッセージに占めるマーケティングタスクの割合も8.9%と全体で最も高かった。マーケティングは、外部タスクの取り込みと自社タスクの提供の双方向でクロスオーバーが活発な分野となっている。
小規模企業におけるジェネラリスト化の促進
レポートは、企業規模もAIによる業務の変化に影響を与えていると指摘する。大企業では専門チームや確立されたワークフローが整備されているため業務を分担しやすいが、小規模な組織では直面した担当者が自ら処理せざるを得ない傾向があるためだ。
実際に、アカウントの利用規模を表すワークスペースのシート数(利用ライセンス数)で比較すると、2〜5シートの小規模な環境では他職種タスクの割合が18.9%であったのに対し、100シート以上の環境では16.3%へと低下する。
ただし、最もAIの利用頻度が高いヘビーユーザー層においては、この企業規模による単純な低下傾向は見られなかった。中程度の利用頻度のユーザーは、専門のリソースが不足している小規模組織でAIを代替手段として活用しているのに対し、ヘビーユーザーは組織規模に関わらず標準化されたAIワークフローを確立しているか、自身のコア業務においてAIを集中的に使用しているためと考えられている。
職務記述書が書き換わる前の実験段階
OpenAIは、こうしたChatGPTの利用データは労働市場における変化の先行指標になり得ると説明する。企業が公式にジョブディスクリプション(職務の内容や責任、必要なスキルを明確に記した文書)を書き換えたり、新たな役職を創設したりするよりも前の段階で、労働者自身がAIを用いて新しい業務の組み合わせを実験的に進めている実態が示されている。