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OpenAI Blog

Chatham Financial、OpenAIのCodexとGPT-5.6で資本市場業務を刷新 取引検証時間を30分から4分未満へ短縮

要点

  • 米金融アドバイザリー企業のChatham Financialが、OpenAIのCodexやGPT-5.6を活用した業務効率化およびシステム開発の事例を公開した。

  • 資本市場における取引検証作業にAIを導入し、従来は約30分を要していた確認時間を4分未満へ大幅に短縮した。

  • 従業員が業務特化型ツールを自作できる社内基盤「Chatham Vibes」を構築し、GPT-5.6 Terraなどを組み込んで運用している。

  • 次世代プラットフォーム「Chatham Onyx」の開発にCodexを全面採用し、難易度に応じて複数のGPTモデルを使い分ける体制を整えた。

  • 米OpenAIは2026年10月2日、金融アドバイザリーを手がける米Chatham Financial(チャタム・フィナンシャル)におけるAI技術の導入事例を公式ブログで公開した。同社はOpenAIのコード生成ツール「Codex」や大規模言語モデル「GPT-5.6」シリーズを導入し、取引検証業務の大幅な効率化や社内アプリケーションの開発を進めているという。専門家による高度な判断を損なうことなく、ルーチンワークの削減とシステム開発の高速化を実現した事例として紹介されている。

業務再設計とCodexによる取引検証の効率化

Chatham Financialは、資本市場における資産、負債、デリバティブ(株式や債券などの原資産から派生した金融派生商品)に関する意思決定を支援するアドバイザリー企業である。同分野では極めて高い計算精度と、処理過程を事後検証できる監査可能性が求められる。

同社は「Process Zero」と呼ばれる業務再設計の枠組みを通じ、各業務で必要な最小限の入力情報と証拠を整理した上で、人間の判断が不可欠な領域とAIが支援すべき領域を切り分けている。その初期の成果として挙げられたのが、取引データの整合性を担保する「取引検証(顧客が承認した内容とシステム上で実行された記録が一致しているかを照合する作業)」の自動化だ。

同社の管理・データ完全性チームは、Codexを用いて取引検証アプリケーションを開発した。このツールは関連する取引証拠を自動で収集し、主要な契約条件を比較した上で、相違点が存在する場合にレビュー対象としてフラグを立てる仕組みを持つ。

同社AIアドバイザリー部門の共同責任者を務めるアレックス・ノードリンガー(Alex Nordlinger)氏によると、初期の測定において、従来は約30分かかっていたレビュー時間が4分未満にまで短縮されたという。現在は実際の取引データを用いて熟練のレビュアーによる結果との比較検証を進めており、今後は対象となる取引の種類を拡大し、適切な統制を維持しながら自動化の範囲を広げる計画だとしている。

従業員主導の開発基盤「Chatham Vibes」の運用

Chatham Financialでは、日常的なリサーチやデータ分析、文書作成、ソフトウェア開発などの現場業務において、すでにChatGPTやCodexが広く利用されている。これに加え、現場の従業員が自ら業務支援ツールを構築できる社内プラットフォーム「Chatham Vibes」の運用も開始された。

Vibes上で構築されるアプリケーションには、標準設定として「GPT-5.6 Terra」が組み込まれており、アプリごとの個別設定に応じて上位モデルである「GPT-5.6 Sol」へのアップグレードも可能となっている。

これらのツールは顧客向け業務の支援にも活用されている。具体的には、満期を迎える金利キャップ取引の確認や価格算定ワークブック・顧客連絡文の作成、固定金利レートシートの作成、ヘッジ取引向けダッシュボードの準備、取引確認書の照合などの作業に役立てられているという。生成された成果物は、市場の背景や顧客状況を把握している専門スタッフが評価・修正を行い、最終的な提供内容を判断している。

次世代OS「Chatham Onyx」の開発とモデルの適材適所運用

同社が開発を進める次世代の資本市場オペレーティングシステム「Chatham Onyx」においても、OpenAIの技術が中核を担っている。Onyxは資産や負債、デリバティブのデータを一元管理し、トレーサビリティ(データの出所や変更履歴を追跡・確認できる性質)を担保した状態でAIを活用できる環境を提供する。

Chatham Financialは、ソフトウェアの計画、実装、テスト、文書化、コードレビューに至る開発ライフサイクル全体でCodexを活用している。同社CTOのジョン・デグエンター(John DeGuenther)氏は、正確性やセキュリティ、説明責任の基準を維持したまま、製品の構想を実用的な機能へと迅速に転換できていると述べている。

また、Onyxプラットフォームでは複数のAIモデルをタスクの難易度に応じて使い分ける運用が採られている。簡易な分析や非本番環境でのテストにはコスト効率に優れた「GPT-4.1」や「GPT-5.4」を割り当て、高い正確性と付加価値が求められる複雑なタスクには「GPT-5.6 Sol」や「GPT-5.6 Terra」をルーティングしているという。

Onyx内に搭載された機能の一例として「ChatFIN」が挙げられている。ChatFINは過去の市場データの傾向を要約し、顧客のポートフォリオ理解を支援するほか、負債やデリバティブ、リース契約などに関する法的文書を検索して該当箇所へのリンクを提示する機能を備えている。

専門業務へ集中するためのAI活用方針

Chatham FinancialにおけるAI導入の主眼は、データの照合や証拠収集といった事前準備にかかる時間を削り、専門家が分析や助言といった本質的な業務に集中できる環境を整える点にある。

同社CEOのマット・ヘンリー(Matt Henry)氏は、AIを単にあらゆるプロセスを高速化するための手段として捉えるのではなく、達成したい成果から逆算して人間の判断が必要な箇所を見極め、最適な形で提供するアプローチを取っていると説明している。また、共同COOのマイク・ヌーナン(Mike Noonan)氏も、専門家が知見を発揮する前段階の作業時間をAIによって削減することで、顧客に対して最も価値の高い判断を下す時間を増やせていると述べている。

同社は今後、取引検証の対象商品を広げるとともに、従業員によるアプリ開発の改良を進め、Onyxの新機能開発においてもCodexの活用を継続していく方針だという。

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