Check Point、VPN証明書処理に関する2件の深刻な脆弱性を公表 認証不要のRCEにつながる恐れ
要点
- Check Pointが、ファイアウォール製品および管理サーバーにおける2件の重大な脆弱性(CVE-2026-85102、CVE-2026-85103)を公表した。
- いずれも深刻度を示すCVSSスコアは「9.8」と極めて高く、認証を受けていない遠隔の攻撃者によるコード実行を許す恐れがある。
- 同社は社内調査で発見したとしており悪用は未確認だが、Live PatchやJumbo Hotfixによる修正プログラムの配信を開始した。
- 一方で一部の旧バージョン環境への対応や緩和策の具体性、自動更新の配信状況についてコミュニティ上で懸念や戸惑いの声も上がっている。
概要
セキュリティ企業のCheck Pointは2026年9月9日、同社のファイアウォール機器および管理サーバー製品において、VPN証明書の処理に起因する2件の深刻な脆弱性を修正したと顧客コミュニティ向けの通知で明らかにした。いずれの脆弱性も共通脆弱性評価システム(CVSS)のスコアで最高レベルに近い「9.8」と評価されており、特定の条件下において認証されていないリモートの攻撃者による任意のコード実行を許す可能性があるという。同社によるとこれらは社内調査で発見されたものであり、現時点で実際の攻撃への悪用は確認されていないとしている。
証明書検証の不備とバッファオーバーフローの2件が判明
今回公表された脆弱性は、VPN通信の確立時における検証不備と、証明書データのデコード時に発生するバッファオーバーフローの2点である。
1つ目の「CVE-2026-85102」は、VPN接続を確立するネゴシエーション処理において証明書の信頼性を適切に検証できない問題である。この不備により、認証を受けていない遠隔の攻撃者がSecurity Gateway(Check Pointのファイアウォール機器)上で任意のコードを実行できる可能性がある。
2つ目の「CVE-2026-85103」は、製品がVPN証明書のASN.1構造(通信プロトコル等でデータを定義するための標準規約)をデコードする際に発生する、ヒープベースのバッファオーバーフローである。こちらはSecurity Gatewayに加え、機器の設定やポリシー管理を担う管理サーバー「Quantum Security Management」にも影響を及ぼし、同様に認証なしでの遠隔コード実行につながる恐れがある。
なお、同社のコミュニティスレッドにおいて、VPN機能を無効化している機器への影響について質問が寄せられた際、Check Pointの担当者は、証明書の処理処理自体に起因する問題であるため、VPN機能がオフであってもVPN証明書が存在する環境であれば理論上は影響を受ける可能性があると回答している。
影響を受けるバージョンと対象製品の範囲
Check Pointの公開情報によると、今回の脆弱性の影響を受ける対象として以下の3つのQuantumブランチが明記されている。
- R82.10(Jumbo Hotfix Take 43以下)
- R82(Jumbo Hotfix Take 125以下)
- R81.20(Jumbo Hotfix Take 165以下)
これらは影響を受けるバージョンを示しており、修正が含まれるバージョンではない点に注意が必要である。公式レコードでは上記3つのブランチ以外に関するバージョン情報は記載されていない。
一方で、同日夕方にカナダ サイバーセキュリティセンター(CCCS)が公開したセキュリティアドバイザリでは、具体的なバージョン番号には触れていないものの、より幅広い製品群が対象として挙げられている。同センターの通知にはSecurity GatewayやSecurity Management Serverに加え、中小規模環境向けの「Spark Firewall」も含まれており、拠点間VPN(Site-to-Site VPN)やリモートアクセスVPNを利用している環境、およびそれらの条件を伴わない環境の双方が影響対象として列挙された。
パッチ配信とコミュニティで寄せられる課題
Check Pointは利用者に対し、修正を適用するための2つの経路を案内している。1つは自動更新機能である「Check Point Live Patch」で、9月9日より順次配信が開始されている。担当者によると、このLive PatchはR81.20、R82.00、R82.10の各バージョンにおいて、任意のJumbo Hotfix適用済み環境に対して導入可能とされている。もう1つの経路は、各稼働バージョン向けに提供される最新の「Jumbo Hotfix」を手動で適用する方法である。
しかし、同社のコミュニティスレッドでは、修正の適用や運用を巡ってユーザーから様々な戸惑いや懸念の声が投稿されている。
例えば、現在R81.10環境を運用しており移行に数週間を要するという複数の管理者からは、該当ブランチ向けのLive PatchやJumbo Hotfixが提供されておらず、緩和策に頼らざるを得ないとの指摘があった。さらに、アドバイザリに記載された緩和策(VPNの暗黙のルールの無効化)について、「具体的にどの設定行をコメントアウトすべきか」「リモート接続中のユーザーに影響を与えずにどう適用すればよいか」といった具体的な手順を求める質問が投稿されたものの、スレッド内での明確な回答は得られていない。
また、自動配信であるLive Patchが手元の環境に届いていないという報告も複数上がっている。5つのアカウントから、発表当日時点でも緊急セキュリティ更新パッケージの古いバージョン(Take 17やTake 18)のまま更新されていないとの報告があり、そのうちの1つは9月1日にTake 18を導入して以降更新が止まっているログを提示した。さらに、アドバイザリ記載のダウンロードリンクが開けないという声もあり、担当者はリンクの正常性を確認したと回答したものの、Live Patch専用記事のリンク以外は複数のブラウザで機能しなかったと訴えるユーザーもいた。
直近数カ月でも深刻な脆弱性の修正が続く
Check Pointの製品群では、直近の数カ月間にも深刻な脆弱性の公表と修正が行われていた。
2026年6月には、Remote Access VPNおよびMobile Accessにおける証明書検証の認証バイパスを許す脆弱性「CVE-2026-50751」が修正された。この脆弱性は公表時点で既に実際の攻撃へ悪用されていたことが確認されており、米サイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁(CISA)は6月8日付で「悪用が確認された脆弱性(KEV)カタログ」に追加している。また、続く7月にも統合管理コンソール「SmartConsole」における認証バイパスの脆弱性「CVE-2026-16232」が修正されていた。