CISAがAdobe ColdFusionやJoomla、Langflowの脆弱性を悪用済みリストに追加
要点
- 米CISAが、AdobeやJoomla、Langflowの製品に含まれる現在悪用中の脆弱性4件をKEVカタログに追加した。
- 追加された脆弱性のうち3件は、深刻度が最大値である「CVSS 10.0」と評価されている。
- Adobe ColdFusionの脆弱性は、一般公開からわずか数時間のうちに実際の悪用試行が観測された。
- Langflowの脆弱性は、AIモデルやクラウドの認証情報を窃取するための組織的な攻撃に悪用されていた。
リード文
米国国土安全保障省サイバーセキュリティ・インフラストラクチャセキュリティ庁(CISA)は2026年7月7日、現実に悪用されていることが確認された4件のセキュリティ脆弱性を「既知の悪用された脆弱性(KEV)」カタログ(現実に悪用された事例がある脆弱性のリスト)に追加した。今回の追加対象には、Adobe ColdFusion、Joomla向けプラグイン、およびAI開発ツールのLangflowが含まれている。被害の発生や拡大を防ぐため、該当する製品を使用している組織や管理者には、速やかなセキュリティアップデートの適用が求められている。
本文
今回KEVカタログに追加されたのは、いずれも現在進行形で攻撃者による悪用が確認されている深刻なセキュリティ脆弱性だ。対象となるソフトウェアは、企業向けWebアプリケーション開発プラットフォームである「Adobe ColdFusion」の脆弱性が1件、Webコンテンツ管理システム(CMS)であるJoomlaのページレイアウト作成プラグインに関する脆弱性が2件、そしてAIの連携処理を視覚的に構築する「Langflow」の脆弱性が1件である。
追加された4つの脆弱性のうち3つは、脆弱性の深刻度を示す「CVSS」(共通脆弱性評価システム。10段階で深刻度を評価する基準)の基本値において、最大値である「10.0」の極めて高い深刻度と評価されている。
まず、Adobe ColdFusionの脆弱性「CVE-2026-48282」(CVSSスコア 10.0)は、ファイルパスの処理不備を突く「パス・トラバーバル」(本来アクセスできないはずのシステムファイル領域にアクセスする攻撃手法)の脆弱性である。これを悪用されると、ログイン中のユーザー権限で攻撃者が遠隔から任意のコマンドを実行できる「リモートコード実行(RCE)」に繋がる恐れがある。脆弱性追跡プラットフォーム「KEVIntel」の創設者であるライアン・デューハースト氏によると、この脆弱性は一般公開されてからわずか数時間のうちに実際の悪用試行が記録された。具体的には、インドに位置するIPアドレス「103.207.14[.]220」からの攻撃が確認されたという。
次に、Joomlaのページ構築プラグイン「Joomlack Page Builder」の脆弱性「CVE-2026-56290」(CVSSスコア 10.0)は、不適切なアクセス制御の脆弱性だ。未認証の攻撃者が不正なファイルをアップロードし、リモートからコードを実行することが可能になる。Webサイト管理サービス「mySites.guru」の調査では、2026年6月27日時点で、この欠陥を突いて「Webシェル」(Webサーバーを遠隔操作するために設置される不正プログラム)を送り込む試みが確認された。確認された最初のWebシェルは「/media/com_pagebuilderck/gfonts/bhup.php」に配置されており、特定のPOSTデータを待ち受けて動作する仕組みであった。この脆弱性では攻撃者が任意の保存先を指定できるため、通常のアップロードフォルダ以外のディレクトリも含め、不審なPHPファイルがないか確認することが推奨されている。本件は「Page Builder CK」のバージョン3.6.0で修正済みだ。
同じくJoomlaの別プラグイン「JoomShaper SP Page Builder」の脆弱性「CVE-2026-48908」(CVSSスコア 10.0)は、危険なファイルタイプのアップロード制限に関する脆弱性である。未認証のユーザーが任意のPHPファイルを送信して実行できる。この脆弱性は、修正プログラムが提供される前に攻撃が行われる「ゼロデイ脆弱性」として悪用された。特定のアップロード用エンドポイントに向けてHTTP POSTリクエストが送信され、PHPファイルが配置された後、管理者用の「スーパーユーザーアカウント」が不正に作成される動作が確認されている。開発元は影響を回避するため、利用中のプラグインをバージョン6.6.2以降にアップデートするよう警告を発している。
さらに、AI開発を支えるオーケストレーションツール「Langflow」(複数のAIモデルや処理を統合してシステムを構築するツール)における認可バイパスの脆弱性「CVE-2026-55255」(CVSSスコア 6.1)も追加された。これは「IDOR」(不適切な直接オブジェクト参照。他人のデータに直接アクセスできてしまうアクセス制御の不備)と呼ばれる欠陥であり、認証された攻撃者が被害者のフローIDを指定することで、他人のAIフロー(ワークフロー)を実行できてしまう。
クラウドセキュリティ企業「Sysdig」によると、2026年6月後半に単一の攻撃者(IPアドレス:45.207.216[.]55)がこの脆弱性を、別の未認証RCE脆弱性(CVE-2026-33017)と組み合わせて悪用していた。攻撃者は偵察とフローの列挙を行い、IDOR脆弱性によって他人のフローに干渉し、さらにRCE脆弱性を用いて外部への不正接続を繰り返していた。この攻撃は金銭的な目的と評価されており、不正侵入の後にボットネットや暗号資産の不正マイニングに関連するマルウェアを展開するための踏み台にされていた。
AIプラットフォームは、連携する大規模言語モデル(LLM)プロバイダーのAPIキーやクラウドのアクセス認証情報などが保存される場所であり、攻撃者はこれらキーの窃取を目的にしていたと説明されている。
補足
CISAによるKEVカタログへの追加は、米連邦政府機関に対して一定期間内の修正対応を義務付けるものである。Langflowにおいては、過去1年間にも「CVE-2025-3248」などの別の脆弱性も悪用されており、AI関連ツールを標的にしたサイバー攻撃が活発化している実態が浮き彫りになっている。