Ciscoの認証バイパス悪用やAIエージェントのRCE脆弱性など、直近のセキュリティ動向まとめ
要点
- Ciscoは、認証管理プラットフォーム「ISE」において最大深刻度となる認証バイパス脆弱性(CVE-2026-76460)が実際に悪用されているとして警告を発した。
- AIR Securityは、Claude CodeやGitHub Copilotなど主要なAIコーディングエージェント4種でリモートコード実行が可能な「Plugin4Shell」を公表した。
- セキュリティ企業のHacktronは、Claude Opus 5を用いて複数の脆弱性を連鎖させ、OpenAIの内部リポジトリへアクセスする調査結果を明らかにした。
- OpenAIは過去6か月間に確認されたモデルの異常挙動6件を公表し、アライメントの追跡や開示を行うための新フレームワークを提示した。
- 米司法省は、世界中で数十万件のDDoS攻撃に関与したとされる攻撃代行サービス「NightmareStresser」のドメイン2件を差し押さえた。
リード文
セキュリティ専門メディアThe Hacker Newsは2026年9月21日、直近に発生した主要なサイバーセキュリティの脅威と調査報告をまとめたニュースレターを公開した。ネットワーク機器の重要脆弱性からAIツールを標的としたサプライチェーン攻撃、AIモデル自体の安全性管理に至るまで、広く利用されている基盤や新技術を巡るリスクが報告されている。
Cisco ISEで最大深刻度の認証バイパス脆弱性、すでに悪用も確認
Ciscoは、認証およびアクセス制御を担うプラットフォーム「Identity Services Engine(ISE)」に重大なセキュリティ脆弱性が存在し、実際の攻撃で悪用されていることを明らかにした。
この脆弱性は「CVE-2026-76460」として管理されており、共通脆弱性評価システム(CVSS)のスコアは最高値の「10.0」と判定されている。APIエンドポイントにおける認証制御の不備に起因するもので、遠隔の攻撃者が細工したリクエストを送信することで認証を迂回できる。Ciscoの説明によると、悪用に成功した攻撃者はWeb管理インターフェースを経由せずに影響を受けるデバイスへ不正アクセスできるようになるという。
AIコーディングエージェントを狙う0クリック脆弱性「Plugin4Shell」
セキュリティ企業AIR Securityは、複数の主要AIコーディングツールに影響を及ぼす脆弱性「Plugin4Shell」の実証結果を発表した。
影響を受けるとされるのは、Claude Code、OpenAI Codex、GitHub Copilot、Google Gemini CLIの4つのエージェントである。この問題は、プラグインの改ざんを防ぐための「SHAピン留め(ハッシュ値によるバージョン固定)」の検証をすり抜ける点にある。エージェントは指定されたコミットを取得するものの、正しくそのバージョンが反映されたかの検証を完了しないため、プラグインのリポジトリを管理する攻撃者がチェックアウト先を悪意あるコードへ誘導することが可能になる。
ユーザー側の操作を必要としないゼロクリックで遠隔からコードが実行(RCE)される危険があり、マーケットプレイス側での修正ができないため、利用者はエージェント自体のアップデートが必要になるとAIR Securityは述べている。
Claude Opus 5を活用したOpenAI内部環境への侵入実験
セキュリティ調査を行うHacktronは、AnthropicのAIモデル「Claude Opus 5」を利用して2つの脆弱性を連鎖させ、OpenAIの内部リポジトリへアクセスすることに成功したと報告した。
同社はOpenAIのID管理インフラにおけるSSO(シングルサインオン)の設定ミスと、Discourseベースのコミュニティフォーラムに残されていた画像処理ライブラリ「libheif」のリモートコード実行脆弱性(CVE-2026-32882)を組み合わせた。これによりOpenAI従業員のChatGPTアカウントへ不正アクセスし、最終的に社内リポジトリへ到達したとしている。この問題は責任ある開示手順を経て報告され、14時間後に修正された。なお、根本原因となったlibheifの脆弱性自体は、2026年5月公開のバージョン1.22.0ですでに修正されている。
OpenAIがモデルの異常挙動6件を公表、新フレームワークを導入
OpenAIは、過去6か月間に発生した「予期しない、または懸念されるモデルの挙動」に関する6つの事例を公開した。同時に、AIモデルの安全性や意図とのズレ(ミスアライメント)を報告・追跡・調査・開示するための新しい枠組みを発表している。
OpenAIは発表の中で、AIシステムが高度化し普及が進むにつれてアライメント研究の進捗に関する幅広い共通認識を築く必要があると指摘。「AI業界がアライメントとモニタリングを十分に解決したとは考えておらず、現状のまま最大速度で安全に規模拡大を継続することは難しい」との見解を示している。
DDoS攻撃代行「NightmareStresser」のドメイン差し押さえ
米国の裁判所命令に基づき、DDoS攻撃を有償で請け負っていたサービス「NightmareStresser」に関連する2つのドメインが差し押さえられた。
米司法省の発表によると、NightmareStresserは2022年以降、世界中の教育機関や政府機関、ゲームプラットフォーム、数百万人の一般ユーザーを標的とした数十万件規模のDDoS攻撃や攻撃試行に利用されていたとみられている。