OWN NEWS GATHER
← 戻る
Anthropic Blog

「Claude Code」におけるモデル選択と「エフォートレベル」の役割とは? Anthropicが解説記事を公開

要点

  • 米Anthropicは、開発者向けコマンドラインツール「Claude Code」におけるモデル選択と「エフォートレベル」の設定基準について解説した。
  • モデル選択はAIの知識ベースや処理能力自体を決定し、より大規模なモデルを使用することで賢い出力を得ることができる。
  • エフォートレベルは単なる思考時間ではなく、読み込むファイル数やテストの実行回数など、AIが実行する作業の総量を制御する。
  • 知識不足による失敗には上位モデルへの切り替えが有効であり、作業の省略や途中での断念による失敗にはエフォートレベルの引き上げが効果的である。

リード文

米Anthropicは2026年7月7日、同社が提供する開発者向けのコマンドラインツール「Claude Code」において、使用するAIモデルの選択と、AIが処理にかける労力を調整する「エフォートレベル(Effort Level)」の設定について、それぞれの役割と適切な選び方を解説するブログ記事を公開した。本記事では、モデルとエフォートレベルが処理結果に与える影響や、それぞれの設定がAPIの内部でどのように機能しているのかが詳しく説明されている。

本文

「Claude Code」において回答の品質を向上させたい場合、ユーザーは使用する「モデル」と「エフォートレベル」の2つの設定を調整することになる。一般的に「Claude Fable 5」のような大規模モデルは「Claude Sonnet」よりも高い処理能力を発揮する。しかし、もう一つの設定である「エフォート(労力)」が意味するのは、単なる「思考時間」の長さだけではないとAnthropicは解説している。

エフォートレベルは、ユーザーからのリクエストに対してClaudeが全体としてどれだけの作業を行うかを制御するパラメータである。これには思考時間だけでなく、読み込むファイルの数、検証プロセスの範囲、そしてユーザーに処理状況を確認する(チェックインする)までに自律して進めるステップ数などが含まれる。
エフォートレベルが高く設定されている場合、Claudeはユーザーに確認を求める前に、より多くのファイルを読み込み、テストを実行し、ダブルチェックを行う。逆にエフォートレベルが低い場合、Claudeはトークン(AIが処理するテキストの最小単位)を消費して自力で解決策を模索するよりも、ユーザーに直接追加のコンテキスト(背景情報)を尋ねる挙動を選択するという。

モデルの切り替えやコンテキストの処理が内部でどのように行われているかについても説明されている。ユーザーがコマンドラインで入力して実行キーを押すと、入力したメッセージのほかに、システムプロンプト、定義されたツール、設定ファイルである「CLAUDE.md」、会話履歴、およびコンテキスト内のファイル群がすべて一つにまとめられてAPIへと送信される。

サーバーに到達したテキストは、まず「トークン化(Tokenization)」と呼ばれる処理を受ける。これはテキストを細分化し、モデルが学習時に登録された固定の語彙リストに従って、それぞれの断片を整数値へとマッピングするプロセスである。たとえば、「const」というコードは1978に、「await」は4293に対応する数値へと変換される。これ以降、ユーザーの入力は整数値の配列として処理されることになる。

AIモデルの役割は、この整数値の配列を読み込み、次に続くトークンが何であるかを予測することである。モデルは語彙リスト内のすべてのトークンに対して出現確率を計算し、最も確率の高いものを選択する。たとえば「const x = await」という配列の後には、よく使われる「fetch」のような単語の確率が高くなり、無関係な「banana(バナナ)」のような単語の確率は極めて低く計算される。

この入力トークンを確率へと変換する役割を果たすのが、トレーニング時に確定した「重み(パラメータ)」と呼ばれる数十億個の数値データである。重みは巨大な行列として整理されており、入力データを行列掛け算の連鎖によって処理することで、最終的な確率を算出する。モデルの知識はすべてこの重みの中に格納されている。

重要な点として、この重みはトレーニング時に固定され、ユーザーがリクエストを送信する「推論(Inference:学習済みモデルを使って予測を行うフェーズ)」の段階では読み取り専用(変更不可)となる。プロンプトの内容やコンテキスト、設定ファイルによって重み自体が書き換わることはない。トレーニング時点に存在しなかった新しいライブラリの情報は重みには含まれておらず、ドキュメントをコンテキストとして追加して利用させることは、知識を「教え込む」のではなく、一時的に出力を「制御(ステアリング)」しているに過ぎない。そのため、AIが存在しないAPIをさも存在するかのように出力する「ハルシネーション(もっともらしい嘘を出力する現象)」は、知識の検索に失敗したのではなく、学習パターンからもっともらしく見えるトークンの並びを生成した結果である。

モデルを変更するということは、この「凍結された重みのセット」自体を別ものへと差し替えることを意味する。モデルは一回の計算で回答のすべてを出力するのではなく、1トークンを予測してはそれを入力に追加し、再度計算をループさせる。200トークンの回答を生成するには、重みを200回通過させる必要があり、この繰り返し処理が実行時間やコストの主な要因となっている。

これらを踏まえ、Anthropicは日常的でルーティンなタスクには小さなモデルを、複雑で曖昧なタスクには大きなモデルを使用することを推奨している。その上で、AIが期待通りの回答を出せなかった際の設定変更の指針を示している。

まず、必要な情報やコンテキストがすべて揃っており、AIが処理を試みたにもかかわらず誤った回答を出した場合は、より能力の高いモデルへ切り替えるべきシグナルとなる。一方で、必要なファイルを読み落としたり、テストの実行を怠ったり、あるいはリファクタリングの作業を途中で投げ出したりしたことで失敗した場合は、エフォートレベルを引き上げることで解決する可能性が高いと説明している。

元URL