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Cloudflare AI Blog

Cloudflare、AIエージェント普及による通信構造の激変を報告 ボット負荷の軽減とクリエイター還元に向けた新方針を発表

要点

  • Cloudflareは創業16周年を迎えた年次書簡を公開し、AIエージェントやAIクローラーの急増によって自動化トラフィックが人間のトラフィックを上回る時期が2026年5月へ前倒しされたと発表した。

  • 現在の推移が続いた場合、今後5年間で自動化トラフィックは人間のトラフィックの1,000倍に達する見通しだという。

  • 2025年半ば以降、AIを活用して直感的にアプリを構築する「バイブコーディング」の普及によりウェブサイトの開設が急増し、同社プラットフォームの利用開発者は700万人を超えた。

  • エージェントの過剰巡回によるサイト側の負荷増大や新規事業者の埋没リスクに対応するため、更新差分のみを取得する巡回効率化と、エージェント利用時にコンテンツ作成者へ対価を還元する仕組みの導入を表明した。

  • 米Cloudflareは現地時間2026年9月27日、同社の創業16周年に合わせた年次書簡「2026 Annual Founders’ Letter」を公式ブログ上で公開した。書簡では、AIエージェントの爆発的な増加がインターネットのトラフィック構造やウェブエコシステムに及ぼしている変化と課題について詳細なデータを交えて報告されている。あわせて同社は、急増するクローラーによる負荷の削減技術や、AI利用に対するクリエイターへの対価還元に向けた新たな取り組みを進めていることを明らかにした。

自動化トラフィックが人間の通信量を逆転、5年後には1,000倍へ

書簡の中でCloudflareは、インターネット上を行き交うトラフィックの内訳が劇的に変化している現状を指摘した。同社は当初、ボットや自動プログラムによる通信量が人間による通信量を上回る時期を2027年後半と予測していたが、AIエージェントおよびAIクローラーの急速な普及により、この逆転が2026年5月へと前倒しで発生したという。

さらに同社は、現状のペースが継続した場合、わずか5年後には自動化トラフィックが人間のトラフィックの1,000倍に達するとの予測を示している。この急激な変化は人間による通信の減少によるものではなく、利用者に代わって情報収集やタスクをこなすエージェントの通信量が爆発的に増えていることが要因であると説明されている。

航空券の検索や通信プランの比較など、人間が半日費やすような作業をエージェントは1分足らずで多数のページを読み込んで処理できるため、利用者側にとっては極めて高い利便性をもたらしている。

バイブコーディングの拡大とWebサイト開設の再加速

一方で、コンテンツやアプリケーションの作成環境にも大きな変化が生じている。2012年から2025年にかけてウェブ全体の成長は停滞し、一部の指標では縮小傾向すら見られていたが、2025年半ばを境に新たなウェブサイトの開設数が爆発的な増加に転じた。

この増加要因について、世間では低品質なAI生成コンテンツの乱立が指摘されがちであるものの、実態としてはそれだけではないと同社は見解を述べている。プログラミングの専門スキルを持たない個人が、AI支援を受けて感覚的に開発を行う「バイブコーディング(vibe coding)」ツールの普及によって、世界中の学生やスタートアップが短期間でアイデアを具現化していることが主な牽引力だという。現在では700万人以上の開発者がCloudflareの開発者プラットフォームを利用して構築を行っている。

エージェント巡回が引き起こす「コモンズの悲劇」と新規参入の障壁

書簡では、AIエージェントの普及に伴う2つの構造的な懸念点が挙げられている。

1点目は、インフラ負荷の不均衡に伴う「コモンズの悲劇(共有資源の過剰利用による荒廃)」である。例えば、ユーザーがエージェントに昼食の候補を尋ねた場合、エージェントは近隣のレストラン1,000軒のメニューを巡回・精査して1軒を推薦する。選ばれた1軒は顧客を獲得できるが、選ばれなかった残りの999軒はエージェントからのアクセス負荷を無償で負担するのみとなり、適切なコスト負担や利用の自制が働かないリスクが存在する。

2点目は、新規参入者が見つけられにくくなるリスクである。実世界では人柄や立地の利便性によって小規模な店舗が選ばれることがあるが、エージェントは蓄積された情報量が多い既存の大規模事業者や老舗を優先して選ぶ傾向がある。結果として、優れた製品を持つ新規参入者が埋もれ、市場の寡占化が進む恐れがあると警告している。

差分クローリングによる負荷削減と対価還元モデルの展開

こうした課題に対し、Cloudflareはウェブサイト運営者とコンテンツ制作者を保護・支援するための具体的な施策を公表した。

同社の分析データによると、正常なボット(クローラー)が収集するデータの半分以上は、前回のアクセス時から更新されていない内容であるという。そこで同社は、クローラーがより広い範囲のウェブを巡回しながらも「変更のあった差分データのみ」を取得できる仕組みの開発を進めており、巡回対象となるウェブサイトの負荷を大幅に削減することを目指している。

さらに、ウェブ上にコンテンツやアプリケーションを公開するすべての制作者に対し、AIエージェントがそれらのデータを活用した際に対価を受け取れる仕組みを提供する方針を打ち出した。同社は自社の役割を「より良いインターネットの構築を支援すること」と位置づけ、共通の未来像を目指す企業や組織との提携関係についても今週中に順次発表していくとしている。

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