Cloudflare、あらゆるWebリソースへの課金を可能にする「Monetization Gateway」を発表
要点
- Cloudflareは、WebページやAPI、MCPツールなどのデジタルリソースに課金できるエンジン「Monetization Gateway」を発表した。
- 決済には、HTTP上で直接支払いを実行できるオープン規格「x402」を採用し、開始当初はステーブルコインを用いて処理される。
- 支払いの検証や執行をエッジで処理するため、導入企業は独自の課金システムを構築することなく、自社サーバーに負荷をかけずに従量課金を導入できる。
- AIエージェントの普及に伴い、従来の広告や月額サブスクリプションを前提としたWebの経済モデルから、リクエスト単位の超少額決済への移行を目指す。
- 決済の基盤となるオープン規格「x402」は、Linux Foundation傘下の財団を通じて25社以上の業界リーダーによって共同開発されている。
リード文
米国時間の2026年7月1日、Cloudflareは、同社ネットワークで保護されたあらゆるデジタルリソースに課金を行える決済エンジン「Monetization Gateway」を発表した。このエンジンは、同社も参画して共同開発を進めるオープンな支払い規格「x402」を基盤としており、ステーブルコインを用いた迅速な超少額決済を可能にする。AIの台頭によってWebの主要ユーザーが人間からAIプログラムへとシフトする中、従来の広告や月額サブスクリプションに代わる新たな従量課金モデルの構築を目指すという。
本文
AIエージェントの台頭とWeb経済モデルの変革
これまでのWebは、人間のアテンション(注意)を広告やサブスクリプション、Eコマースで収益化してきた。しかし、自律的に動作するAIエージェント(人間に代わりネット上で動作するソフトウェア)の台頭でこのモデルは通用しなくなりつつある。エージェントは広告を見ず、ツールごとに月額料金を支払うこともしない。必要なデータを一度取得すれば立ち去るため、AIクローラーによるリクエスト数が人間のアクセスの数百〜数万倍に達するケースもある。この現実が求めるのが、リクエストや成果に応じた「従量課金(usage-based pricing)」だ。検索1回ごとの課金や、アップロード容量に応じた課金、サポート解決1回ごとの成果報酬などが具体例となる。
超少額決済の技術的課題とステーブルコインの強み
これまで1セント未満の超少額決済(マイクロペイメント)は、既存の決済インフラでは手数料が高く、完了に時間がかかるため困難だった。また、企業が従量課金システムを自前で構築するには複雑な会計処理が必要で、システム改修コストも大きな障壁だった。しかしAIエージェントは承認手続きの摩擦がなく、超少額決済を自動で実行できる。ここで強みを発揮するのが、Open USDやUSDCなどのステーブルコイン(法定通貨と価値が連動するよう設計された暗号資産)だ。安価な手数料で、1秒未満というリアルタイムの決済が可能になる。
Monetization Gatewayの仕組みとメリット
Cloudflareはプロキシ(通信を中継する仕組み)としての立場を活かし、従量課金の実装をシンプルにする。Monetization Gatewayにより、計測や決済処理はサービス提供元のオリジンサーバー(Webサイトの元データを管理するサーバー)からCloudflare側へ移行する。企業は課金ルールと価格を設定するだけでよく、支払いの証明はリクエスト自体に組み込まれる。検証と処理はエッジ(ユーザーとサーバーの中間に位置する分散ネットワーク)で完結するため、オリジンサーバーの負荷も防げる。
オープンプロトコル「x402」の役割
本サービスは、HTTP上で直接支払いを実行可能にするオープンプロトコル「x402」を採用している。名称は、長年使われてこなかったHTTPステータスコード「402 Payment Required(支払いが必要)」に由来する。Cloudflareは昨年、AIクローラーへの課金を行う「Pay Per Crawl」を発表したが、今回はそれを拡張し、APIやデータセット、MCP(Model Context Protocol:AIモデルが外部と通信する仕組み)経由のツール呼び出しなどあらゆる資産に対応する。クライアントが対象リソースを要求すると、サーバーは「402 Payment Required」と応答し、価格や支払い先情報を含むペイロードを返送する仕組みだ。
補足
Cloudflareは本規格の普及に向けて、Linux Foundationのもとに「x402 Foundation」を共同で立ち上げており、25社以上の主要テック企業とともに、インターネット上で汎用的に使える決済インフラの標準化を目指している。