Cloudflare、画像対応のオープンソース意思決定AIモデル「Clef」を発表 強化学習プラットフォームも提供
要点
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米Cloudflareは2026年10月1日、独自に訓練した意思決定特化型AIモデル「Clef」および高速版「Clef-flash」を発表した。
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モデルはApache 2.0ライセンスのもとHugging Faceでオープンソース公開され、自社インフラ「Workers AI」でもホスト提供される。
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画像入力を処理できるビジョンエンコーダーや64kのコンテキストウィンドウを備え、先行する「Jev」などの競合モデルとAPI互換性を維持している。
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社内検証では汎用LLMと比較して処理時間を約半分に短縮したほか、主要な意思決定ベンチマークで首位のスコアを記録した。
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ユーザーが独自の用途に合わせてClefを追加学習できる強化学習(RL)ファインチューニング製品も同時に発表された。
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米Cloudflareは2026年10月1日、AIエージェントの判断や処理分岐に特化したオープンソースの意思決定モデル(Decision Model)「Clef」および軽量版「Clef-flash」を発表した。モデルは同社のサーバーレスAI実行基盤「Workers AI」でホスト提供されるほか、Hugging Face上でオープンソースとして公開された。あわせて、利用者が独自の用途に合わせてモデルを最適化できる強化学習(RL:試行錯誤を通じて最適な行動を学習させる手法)プラットフォームの提供も明らかにした。
限定的な出力を高速・安定して返す「意思決定モデル」
意思決定モデルは、AIエージェントが次にどのような行動をとるべきかを確率に基づいて分類・判断することに特化したモデルである。自由な文章生成や汎用的な推論を行う大規模言語モデル(LLM)とは異なり、あらかじめ定義された型や構造化データを低コスト、高速かつ一貫した精度で出力する特徴を持つ。新たな分類項目が増えるたびにモデル全体を再学習させる必要がなく、任意の入力に対して柔軟に動作するという。
例えばカスタマーサポート業務では、受け取った問い合わせ内容から「緊急度」や「担当すべきチーム」を型付きデータと確率で判定できる。システムはこの出力結果をもとに、チケットの自動ルーティングや上位担当者へのエスカレーション、人間への引き継ぎといった処理をプログラム上で自律的に実行可能になる。
画像入力への対応と64kコンテキスト長
同社はClefの差別化要素として、画像認識機能と拡張されたコンテキスト長を挙げている。従来の主要な意思決定モデルであるTypesafe AIの「Jev」がテキスト分類のみに対応していたのに対し、Clefはビジョンエンコーダー(画像の特徴を抽出する機構)を統合しており、画像や視覚情報の分類処理が行える。
また、モデルが一度に処理できる情報量を示すコンテキストウィンドウは64kトークンとなっており、Jevの32kトークンから倍増した。これにより、エージェントのより複雑な状態や長大なコンテキストを入力として渡すことが可能となった。さらにClefはJevのAPIと完全な互換性を確保しており、既存の環境から容易に移行して実験できるよう設計されている。
社内検証では汎用LLM比で処理時間を半減
Cloudflare社内における脅威インテリジェンスチームの検証では、ウェブサイトのドメイン分類においてClefの実用性が確認されたという。ブラウザ実行環境(Browser Run)と連携させ、指定したドメインのサイトを取得・描画・分類する一連の処理を実施したところ、Clefは2.2秒で完了した。出力結果としても「ファッションサイトの確率95%」「Eコマース85%」「フィッシングの確率1%未満」といった詳細な分類を返した。
これに対し、同社の最速汎用LLM「gpt-oss-120b」を用いた同一ワークフローでは処理に4.7秒を要し、分類結果も2種類しか得られなかったとしている。同社は、処理速度の倍増と詳細な結果の取得により、悪意あるドメインの迅速な特定などに効果を発揮すると説明している。
ベンチマークで競合をリード、ファインチューニング基盤も展開
公開されたベンチマーク結果によると、Clefは意思決定モデルの評価指標「Jev Decision Index」において首位を獲得した。関数呼び出しの正確性を測る「BFCL」ではClefが98.47、Clef-flashが98.76を記録し、Jevの95.75を上回った。また、ツールの検索精度を測る「ToolRet(nDCG@10)」で69.19、バンキング関連の意図分類「BANKING77(macro-F1)」で94.20を達成するなど、多くの項目で他社モデルを凌駕している。
Typesafeが公開しているワークフロー評価スイートにおいても、Clefシリーズは請求書処理(Clef: 64.7)、カスタマーサービス(Clef-flash: 77.0)、セキュリティインシデント(Clef: 62.9)の3領域でJevのスコアを上回った。実施された全43種類の評価ベンチマーク全体を通じても、品質を犠牲にして極端な高速化を図ったモデル(Laya)を除き、競合モデルよりも低いレイテンシ(遅延)を達成したとしている。
同時に発表された強化学習プラットフォームを利用することで、ユーザーは自社固有のデータや業務フローに合わせてClefをファインチューニングできるようになる。
なお「Clef」という名称は、楽譜の先頭で音高の基準を定義する「音部記号(clef)」に由来している。文脈の範囲を定め、それに続く音符(アクション)を決定づける役割が意思決定モデルと共通していることや、頭文字が同社名(Cloudflare)を連想させることから名付けられたという。