Cloudflare、検索パイプライン「AI Search」を一般提供開始――画像の直接ベクトル化やOCRに対応、11月より課金導入
要点
-
Cloudflareは、自社インフラを統合したフルマネージド検索パイプライン「AI Search」の一般提供(GA)を開始した。
-
画像ピクセルを直接ベクトル化するネイティブなマルチモーダル検索や、スキャンPDF向けの光学文字認識(OCR)機能が新たに追加された。
-
取り込み可能なファイルサイズの上限が、従来の4 MiBから10 MiBへと引き上げられた。
-
正式な課金は2026年11月1日より開始され、取り込み・保管・クエリの3要素に基づく従量課金となる一方、無料枠も継続して提供される。
-
Cloudflareは2026年10月1日、同社のクラウド基盤を統合したフルマネージド型のインデックス・検索パイプライン「AI Search」の一般提供(GA: General Availability)を開始したと発表した。約1年間の提供期間を経て正式版となった同サービスは、社内ドキュメントやWebサイトの検索システムとして利用されており、Cloudflare自身の公式ブログや開発者向けドキュメントの検索基盤としても既に運用されている。
-
今回の一般提供に伴い、従来のテキスト中心の検索から機能が拡張され、画像情報のネイティブな取り込みやスキャン文書の文字認識、扱えるファイルサイズ上限の拡大などが実施された。
複数コンポーネントを統合したフルマネージド検索基盤
AI Searchは、サーバーレスAI推論基盤「Workers AI」、分散ベクトルデータベース「Vectorize」、オブジェクトストレージ「R2」、およびブラウザ自動化基盤「Browser Run」を統合して構築された検索パイプラインである。開発者が個別にインフラを連携させることなく、文書の取り込みから検索・回答生成までの一連の処理を実行できる環境を提供する。
画像ピクセルを直接埋め込むネイティブマルチモーダル検索
今回のアップデートにおける主要な機能拡張が、画像データを直接扱うマルチモーダル検索への対応である。
従来の画像検索では、物体検出を行ってキャプション(説明文)を自動生成し、そのテキストをベクトル化(埋め込み: データを数値ベクトルへ変換する処理)する手法が採られていた。しかしこの手法では、キャプションに記述されなかった視覚的な特徴が失われる課題があった。
新しいAI Searchでは、キャプションによるテキスト理解を保持しつつ、画像ピクセルそのものを直接ベクトル化して同一の空間に配置するネイティブ画像検索の双方が行われる。これにより、鳥の羽毛の質感や模様、果物の状態、構図や色合いといった、言葉だけでは表現しにくい詳細な視覚情報の検索や照合が可能になったという。
画像ベクトルの効率的な保持には、ベクトルの長さを柔軟に圧縮しつつ特徴を維持できる技術「Matryoshka Representation Learning(MRL)」を採用し、ストレージ容量の抑制と検索の高速化を両立させている。
ネイティブな画像検索モデルとしては「Qwen3-VL-Embedding」が提供される。クエリ実行時に利用中のモデルが画像をサポートしている場合は直接画像がベクトル化され、テキスト専用モデルの場合でも「ToMarkdown」機能でテキストに変換した上で検索が実行される仕組みとなっている。
検索クエリの処理フロー
AI Searchにおけるクエリ処理は、以下の流れで進行する。まず入力された検索クエリが(必要に応じて)書き換えられた後、埋め込み処理が行われる。画像クエリの場合は対応モデルで直接ベクトル化されるか、テキスト専用モデルの場合は事前にキャプション化される。
続いて、ベクトル検索とキーワード検索が並行して実行され、双方の結果が統合(フュージョン)された上で、必要に応じて再ランキング(検索結果を精査して関連度順に並べ替える処理)が適用される。最終的に上位のテキストチャンクが返却されるか、生成AIモデルに渡されて回答文が作成される。
ファイルサイズ上限の10MBへの拡張とスキャンPDF向けOCR
データソースとして登録できるファイルサイズの上限も拡大された。Markdown、HTML、CSV、JSONなどのテキストファイルおよびPDFの容量制限が、従来の4 MiBから10 MiBへと引き上げられた。
また、文字データを含まないスキャン画像で構成されたPDFに対しては、光学文字認識(OCR: 画像内の文字をデジタルテキストに変換する機能)を有効化できるようになった。OCRを有効にすると、各ページからテキストを読み取った上でチャンク分割と埋め込みが行われる。この機能はすべてのアカウントで利用可能となっている。
11月1日より課金開始、明確な従量制と無料枠を維持
料金体系については、2026年8月に発表されたプレビュー価格に基づき、2026年11月1日から正式に課金が開始される。課金開始前にはリマインダーメールが送付される予定だ。
AI Searchの課金体系は、事前サイジングが不要で費用予測が立てやすいモデルとして設計されている。課金対象となるのは「データ取り込み(Ingestion)」「データ保管(Storage)」「クエリ実行(Query)」の3要素のみである。パース、チャンク分割、Workers AIによる埋め込み、キーワードインデックス作成、再ランキングといった中間の処理費用はすべて基本料金に含まれている。
取り込み料金は選択したWorkers AIの埋め込みモデルに関わらず共通のトークン単価が適用され、テキスト専用モデルからマルチモーダルモデルへ切り替えても基本単価は変動しない(画像自体の処理には別途アドオン費用が発生する)。ストレージ料金はインデックス内のデータサイズに応じて計算され、クエリ料金は検索方式(セマンティック検索または全文検索)とリクエスト数に基づいて請求される。なお、すべてのWorkersプランにおいて無料枠の提供が継続される。