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Cloudflare AI Blog

Cloudflare、最先端AIを用いた自社WAFの防御検証結果を公開 1,100回超の攻撃試行で検知ルールを強化

要点

  • 米Cloudflareは、最先端の大規模言語モデル(LLM)を攻撃者役として活用し、自社WAFの防御性能を検証した調査結果を発表した。

  • 許可を得た顧客のステージング環境を対象に、XSSやSQLインジェクション、SSRFなど6カテゴリにわたる1,107回の攻撃試行を実施した。

  • 検証システムはPythonで独自構築され、AIが攻撃ペイロードの変異を高速に繰り返す適応ループによってWAFの境界をテストした。

  • 大半の攻撃がブロックされた一方、すり抜けたリクエストを分析することで新たな検知ルールが策定され、全顧客の保護強化に適用された。

  • 同社はWAFの適切な配置に加え、根本的な防御策としてアプリケーションへの定期的なパッチ適用の重要性を強調している。

  • 2026年9月29日、米Cloudflareは最先端のAIモデルを活用して自社のWAF(Web Application Firewall:Webアプリケーションへの不正な通信を検知・遮断するセキュリティ機構)の防御性能を検証した調査結果を公式ブログで公開した。顧客から寄せられる「最新のフロンティアAIモデルによる攻撃にWAFは耐えられるのか」という疑問に応えるため、AIモデルにハッカーの役割を担わせた動的テストを実施したという。検証で得られた知見は新たな検知パターンの作成に活用され、同社のWAF開発ライフサイクルにおける基盤的なプロセスになりつつあると報告されている。

AIが攻撃手法を変異させる検証システムの仕組み

Cloudflareは今回の検証において、稼働中の環境に疑似攻撃を行って脆弱性を探る動的アプリケーションセキュリティテスト(DAST)の手法を採用した。大規模言語モデル(LLM)は、人間のハッカーを大幅に上回る速度で攻撃コード(ペイロード)のエンコーディングを変更したり、HTTPリクエスト内の配置場所を切り替えたりして試行錯誤を繰り返す能力に長けている。

検証のために構築されたテストシステムは既存の侵入テストツールの流用ではなく、Pythonを用いてゼロから実装された。システムは「プロポーザル呼び出し」と「レビュー呼び出し」という2段階のモデル呼び出しを繰り返す適応型ループで動作する。まずプロポーザル呼び出しが過去の試行結果の履歴を踏まえて次の攻撃バリエーションを提案し、システムが対象環境へリクエストを送信する。続いてレビュー呼び出しがレスポンスのステータスコードやヘッダー、本文を評価し、次の変異方針を決定する流れとなっている。

このシステムにおいて、AIモデルにはWAFのルール定義や内部スコア、ソースコードといった内部情報は一切開示されず、限定されたHTTPレスポンスデータのみが共有される。また、AIが直接リクエストを送信することはなく、送信先ホスト名の許可リスト照合、リダイレクトの無効化、試行回数の上限設定などをコード側が厳格に管理することで安全性を担保しているという。

6つの攻撃カテゴリに対する1,107回の試行結果

本番に近い条件でテストを行うため、検証はCloudflareのWAFで保護された正規の顧客ステージング環境で実施された。自動トラフィック制御によってテストが手前で遮断されないよう、許可リストに登録された専用のUser-Agentが使用されている。

テストでは合計45のシナリオが実行された。そのうち44シナリオは、クロスサイトスクリプティング(XSS:Webページに不正なスクリプトを挿入する攻撃)、SQLインジェクション(SQLi:データベースの問い合わせ文を改ざんする攻撃)、コマンドインジェクション(CMDi)、サーバーサイドリクエストフォージェリ(SSRF:サーバーを中継させて内部ネットワーク等へ不正アクセスさせる攻撃)、パストラバーサル/ローカルファイルインクルージョン(LFI)、Log4jの6つの主要な攻撃カテゴリを網羅している(残り1シナリオはログインジェクションを対象とした)。

テスト対象ゾーンのWAFには、攻撃スコアが30以下でブロックする設定、すべてのCloudflare Managed Rulesetの有効化、およびOWASP Core Rulesetの「Paranoia Level 3」が適用された。

合計1,107回記録された試行のうち、形式不正や無害な通信、重複、スコープ外の観測データを除外して精査した結果、攻撃の大半はCloudflare WAFによって確実にブロックされていたことが確認された。WAFをすり抜けたリクエストは攻撃の成功を意味するものではなく、人間のエンジニアによる詳細調査の対象(リード)として扱われた。

SSRFの検証事例と検知ルールの強化

ブログ内では、AIモデルが攻撃手法を適応させていく具体例として、SSRFの検証事例が挙げられている。クラウド環境のメタデータサービスは一時的な認証情報を保持している場合があり、SSRFの標的になりやすい。

このシナリオにおいて、テスターは同一のクラウドメタデータアドレスを整数表記や8進数表記、末尾にドットを付加する表記(trailing-dot)など様々な形式に変換し、リクエスト内の異なるパラメータに配置して送信を試みた。17回目の試行まではすべてWAFによって遮断されていたが、18回目の試行で末尾ドット表記に切り替えたところ、WAFによるブロックを受けずにリダイレクト応答が返される事象が確認された。

Cloudflareのセキュリティチームは、このようにWAFを通過したリクエストを分析し、新たな検知ルールを作成して防御を強化した。これにより、同社のWAFを利用するすべての顧客に対して即座に保護機能が適用されたとしている。

継続的なテストと多層防御の重要性

Cloudflareは、最先端AIモデルを用いた今回の自律型テスト手法を、今後のWAF開発ライフサイクルにおける基盤的な検証プロセスとして組み込んでいく方針を示している。

また同社は、WAFによる保護と並行して、背後にあるアプリケーション自体の脆弱性修正(パッチ適用)を継続して行う重要性を改めて指摘している。仮に攻撃ペイロードがWAFをすり抜けたとしても、対象のソフトウェア側に悪用可能な脆弱性が存在しなければ攻撃は成立しないため、システム全体を常に最新の状態に保つことが最大の防御策であると結論付けている。

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