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Cloudflare AI Blog

CloudflareとCommerce.com、約10万店舗にAIエージェント向け新規格「WebMCP」を一括展開

要点

  • 米CloudflareとコマースプラットフォームのCommerce.comは、AIエージェント向けの実験的ブラウザ規格「WebMCP」を約10万の店舗ドメインへ一括展開した。

  • WebMCPはGoogleが提唱する規格で、AIエージェントが画面上のボタンを探さずに商品検索やカート追加ツールを直接呼び出せるようにする。

  • Cloudflareのエッジ機能を活用し、加盟店がサイトコードを変更することなく導入でき、ダッシュボードから個別に無効化できる仕組みを構築した。

  • ツールはユーザーのブラウザセッション内で実行され、最終的な決済操作はユーザー自身が行うことで安全性を保つ。

  • 米Cloudflareは2026年10月21日、コマースプラットフォームを運営するCommerce.comと連携し、同サービス上の約10万ドメインに向けてブラウザ規格「WebMCP」の配信を開始したと発表した。AIエージェントがWebサイトを巡回して買い物を行う際、画面デザインの変更やボット検知に阻まれることなく、直接ツールを実行して商品検索やカート追加を行える環境を整備する。加盟店側はテーマの編集や個別開発を行うことなく、エッジ(利用者に近い分散サーバー環境)側で同機能を一括導入できるという。

画面解析に頼る従来の課題と「WebMCP」のアプローチ

AIエージェントが人に代わってWebサイトで買い物をする際、従来は人間向けに作られたHTMLの解析に頼っていた。エージェントは画面上のボタンやリンクの役割を推測しながらクリックを試みるため、処理速度の低下やトークン消費量の増大を招いていた。また、サイトのデザイン変更やCookie承諾バナー、自動巡回を防ぐボット遮断機能などに阻まれ、処理が中断しやすい課題もあった。

こうした問題を解消するため、Googleが提唱している実験的なブラウザ標準規格が「WebMCP(Web Model Context Protocol)」だ。WebMCPは、Webページ側からAIエージェントに対してsearch_products(商品検索)のような構造化されたツール群を提供する。エージェントは画面内のボタンを探し回る必要がなく、必要な機能を直接呼び出せるため、高速かつ低コストで安定した操作が可能になるという。Cloudflareは2026年8月にWebMCPのエッジ実装ベータ版を公開しており、エッジ上で軽量スクリプトを自動挿入することで、サイト運営者がコードを改変せずにツールを提供できる基盤を整えていた。

エッジルールによる約10万店舗への一括適用と個別制御

約10万のドメインを運用するCommerce.comは、全店舗へのWebMCP一括適用を計画した。しかし、WebMCPは本来ドメインゾーン全体でオンとオフを切り替える単一スイッチとして設計されていた。同社は「Cloudflare for SaaS」を利用して多数の加盟店ドメインを共有ゾーンでホストしていたため、プラットフォーム全体で提供しつつ、個々の店舗がオプトアウト(無効化)できる仕組みが必要となった。

両社はCloudflareの機能である「Configuration Rules(エッジ側での動作設定ルール)」と「カスタムホスト名メタデータ」を組み合わせてこの課題を解決した。メインゾーン全体でWebMCPを有効化した上で、エッジ側で加盟店ごとのメタデータを判定するルールを設定した。加盟店が管理画面でオプトアウトを選択すると、エッジ側で該当条件が検知され、その店舗のみWebMCPの処理が自動的に除外される。この判定はページ配信前のエッジで行われるため、無効化した店舗で追加の通信遅延や外部サーバーへの照会、スクリプト注入は生じないとしている。

ブラウザ内実行によるデータ保護と安全な決済設計

WebMCPの動作では、ユーザーのアクティブなブラウザセッション内で処理が完結する点が特徴となっている。CloudflareはCommerce.comのバックエンドMCPサーバーとブラウザを繋ぐエッジ配信層として機能し、ツールの定義や操作要求を中継する。

例えば、ユーザーがエージェントに特定商品の検索とカート追加を依頼した場合、エージェントはページのdocument.modelContextから提供ツールを検出し、商品検索とカート追加の呼び出しを直接実行する。処理はユーザー自身のブラウザセッション内かつ店舗の正規ドメイン上で行われるため、認証情報が第三者に渡ることはない。また、カートはリアルタイムで更新されるものの、最終的な決済手続き(チェックアウト)はユーザー自身が手動で行うフローとなっており、決済情報の安全性と購入の最終決定権が利用者の手元に残るよう配慮されている。

サーバー側MCPとの統合とプレビューの提供状況

Commerce.comのプロダクトマネジメントディレクターであるKristina Pototska氏は、加盟店からエージェント型ショッピングへの対応要望が増えていると説明する。加盟店はサイトを再構築することなく、エージェントの検索対象となり、顧客との関係やチェックアウトの管理権限を維持したいと考えており、WebMCPはその支援になるという。

また、WebMCPは同社のサーバーサイドMCP(AIモデルと外部機能を接続するプロトコル)と同一のツール群を共有して並行稼働する。複数サイトを横断する外部アシスタントにはサーバー側MCPが対応し、利用者のブラウザ内で動くエージェントにはWebMCPが対応するため、店舗側で別々に管理する必要はないとしている。

なお、WebMCPは現時点で初期プレビュー段階にあり、Chromeの実験的フラグ(chrome://flags/#enable-webmcp-testing)やOrigin Trials(ブラウザ新機能を先行テストできる仕組み)、一部のエージェント対応ブラウザ、開発環境「Cloudflare Kitesurf」などで提供されている。

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