CloudflareとOpenAIが連携、AIによる脆弱性の検出からエッジ防御・パッチ提案までを一気通貫で支援する新サービスを発表
要点
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米CloudflareはOpenAIのモデルを活用し、ソースコードの脆弱性調査からWAFルールの生成、修正パッチの提案までを一貫して行う早期アクセスサービスを発表した。
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コード上の潜在的欠陥と、エッジで観測される本番トラフィックや脅威シグナルを紐付けることで、対応すべき脆弱性の優先順位付けを可能にしている。
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提案されたパッチや保護ルールはCloudflare側で自動検証とチームによるレビューを経た上で顧客に提示され、最終的な適用判断は顧客自身が保持する。
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Cloudflareの社内エンジニア全員が開発支援AI「Codex」を導入しており、人手不足で見送られていた製品再構築を4人のチームがわずか3日間・トークン費用1,100ドルで完了させた実績も公開された。
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米Cloudflareは2026年10月21日、米OpenAIのAIモデルを活用し、Webアプリケーションの脆弱性検出から修正パッチの提示、エッジネットワークでの即時保護までを連携させる新たなセキュリティサービスの提供を開始したと発表した。これはOpenAIの公式ブログで導入事例として公表されたものだ。世界規模のトラフィックを処理するCloudflareの運用知見とAIの解析能力を融合させ、セキュリティ担当者の運用負荷を大幅に削減しながら迅速な防御体制を整える狙いがある。
膨大な脅威データと人手不足に直面するセキュリティ現場
Webトラフィックの約20%を中継(プロキシ)する大規模ネットワークを運営するCloudflareでは、2026年第1四半期の実績として、ネットワーク全体で1日平均2,340億件ものサイバー脅威をブロックしているという。多くの企業が同社のインフラに依存してサービスの安全性や信頼性を保っているが、近年のセキュリティチームは日常的に発生する膨大なアラートや脆弱性情報の処理に追われ続けている。
Cloudflareでレベニュー担当プレジデントを務めるマーク・アンダーソン(Mark Anderson)氏は、「従来のセキュリティチームには有益なデータが山ほどあるが、それに対処するための人員と時間が足りていない」と現状の課題を指摘する。手作業による調査では対応できる件数に限界があり、真に対応すべき重大なインシデントへの初動が遅れかねないという問題意識があった。
「Daybreak」と本番環境シグナルの統合による脆弱性管理
こうした課題を解決するため、Cloudflareは「Cloudflare Managed Defense」の枠組みを通じ、「Vulnerability Discovery and Remediation(脆弱性の発見と修復)」と呼ばれる早期アクセスサービスの提供を開始した。
同サービスでは、OpenAIが提供するプラットフォーム「Daybreak」経由でアクセスするAIモデルを使用し、顧客が許可したソースコードを精査して潜在的な脆弱性を洗い出し、それぞれの検出結果を裏付ける証拠を検証する。
本取り組みの最大の特徴は、ソースコードの脆弱性と本番環境(プロダクション)で実際に発生している通信状況とを直接結び付けた点にある。具体的には、脆弱性の影響を受けるルート(通信経路)が実際に稼働しているか、不審なトラフィックが流入していないか、既存のセキュリティ設定で既に保護されているかといったシグナルをCloudflareのネットワークから収集する。これにより、理論上存在する脆弱性の中から、今まさに差し迫ったリスクとなっているものを明確にし、調査や対処の優先順位を的確に決定できるようになる。
WAFルールの自動生成と人間の判断を重視した防御フロー
検出された脆弱性への対処プロセスにおいても、AIによる自動化と多層的な安全機構が組み込まれている。サービスは修正用のコードパッチを提案するだけでなく、開発者がコードを精査して修正を完了させるまでの間、脅威への露出を即座に低減させるためのカスタムWAF(Web Application Firewall:Webアプリケーションへの不正な通信を検知・遮断する仕組み)ルールも作成する。
これらのパッチや保護ルールは、即座に本番適用されるわけではない。まずCloudflareの自動チェックにかけられ、さらに同社の専門チームによる確認を経た上で顧客に提示される。どの修正を採用し、いつ反映するかという最終的な決定権は常に顧客側に委ねられている。
アンダーソン氏は、「DaybreakやCodexがもたらす自動化の美点は、単調で負荷の高い作業を機械に任せることで、人間が最も重要なエンジニアリングやセキュリティ上の意思決定に判断力を集中できる点にある」と語っている。
全開発者が「Codex」を導入、3日間で製品を再構築した社内事例
OpenAIの技術は、Cloudflare自身のソフトウェア開発現場にも深く浸透している。全従業員の約3分の1を占めるソフトウェア開発者の100%がコード生成AI「Codex」を活用しており、開発速度の向上やコード品質の改善、バグの未然防止に役立てているという。
アンダーソン氏によれば、人員不足を理由に着手を見送っていた製品の再構築プロジェクトにおいて、顕著な成果が得られたという。従来の手法であれば数カ月におよぶ工程管理と「十数倍の開発人員」を要すると見積もられていた規模の開発だったが、Codexを活用することでわずか4人の開発者チームが担当。構築からテスト、実際のロールアウトまでを3日間で完了させ、その間に費やしたAPIのトークン費用(AIモデルの利用料金)は1,100ドル(約1,100米ドル)にとどまった。
この経験を通じ、開発現場では「この案件を引き受けられるか」という躊躇から「なぜ挑戦しないのか」という前向きな発想へと転換が起きていると説明している。
機械との協調を前提とした新たなエンジニアリング体制へ
アンダーソン氏は、AIを日常の開発業務に取り入れることについて、「AIを外部の別個の要素として扱うのではなく、最初から機械が介在することを前提として社内の開発プロセスそのものを再構築すること」だと表現する。
コードの静的解析とエッジネットワークにおける動的な稼働データを結び付け、機械による一次処理と人間による最終裁定を組み合わせた今回のセキュリティアプローチは、AIと人間の協調が実用レベルに達していることを示す具体的な事例となっている。