Cohere、企業のAI投資対効果を高めるワークフロー構築ツール「North Automations」を発表
要点
- Cohereが、複数のAIエージェントを統合して業務を自動化する「North Automations」を発表。
- 自然言語による指示で複雑なワークフローを構築でき、処理ステップごとに異なるAIモデルを選択可能。
- 同僚の承認ステップの挿入や、トークン消費量の監視機能などを備え、安全な全社導入を支援する。
- ガートナーのレポートによると、協調型ワークフローへの移行は5500億ドル規模の市場機会とされる。
リード
AI開発企業のCohereは現地時間2026年7月27日、企業向けエージェントプラットフォーム「North」の新機能「North Automations」を発表した。本ツールは、企業がAI導入時に直面するROI(投資対効果)の課題を解決するために開発され、使いやすさ、管理性、ガバナンスを設計の根幹に据えている。
AIエージェント導入が直面する3つの課題
Cohereによると、企業におけるAIエージェント(自律的に判断してタスクを実行するAIシステム)の導入が進む一方、実用的な実装とROIの最大化の間にはギャップが存在するという。同社はその要因として、以下の3点を挙げている。
- 狭いワークフロー:従業員が複数のシステムやチームを横断して行うような一連のプロセスに対応できていない。
- ガバナンスの欠如:エージェントが断片的に導入され、全社規模での管理や統制が困難になっている。
- コストの肥大化:全ステップで同一の高性能モデルを使用することで予算が過大になりがちである。
調査会社ガートナー(Gartner)のレポート「Agentic AI Hype Cycle 2026」にて、アナリストのアヌシュリー・ヴェルマ氏とアリスター・ウールコック氏は「現在のAIエージェントの実装は個々のタスク特化型が多く、企業規模での導入には価値ギャップを生んでいる」と指摘。この断片化が管理外のセキュリティやリスクを引き起こすと警告している。
このような背景から、単発の自動化から協調的なワークフローへ進む「エージェントのオーケストレーション」は企業のROI向上を果たす中心レイヤーとなり、5500億ドル規模の市場機会になるとされている。
「North Automations」の主要機能
「North Automations」は、技術的知識の有無に関わらず、すべての従業員が自ら業務プロセスを自動化できるように設計されている。主な機能は以下の3点である。
- プロセスの簡素化:自然言語で目標や連携先を説明するだけでフローを構築可能。スケジュール実行や、ループ・条件分岐による実行パスの作成に対応する。
- ステップごとの管理:ステップごとに最適なLLM(大規模言語モデル)を選択し、コストと性能を両立する。構築前にアプローチを確認できる「Planモード」やバージョン管理を備える。
- ガバナンスと監視:人間の判断が必要な局面で承認ステップを挿入可能。利用状況分析やアクティブユーザー特定、トークン消費数によるコスト管理を行える。
本機能はオンプレミスやクラウドへ安全にデプロイできる。標準の統合機能に加え、MCP(Model Context Protocol:AIモデルと外部のツールやデータを安全に接続するための標準規格)によるカスタムツール接続やSDKによるシステム連携、外部LLMの選択にも対応する。
社内における多様な活用事例
Cohereは、すでに自社内の様々な部門で「North Automations」を活用している。
マーケティング部門では、BigQueryに接続し、従業員の自然言語による質問をSQL(データベースを操作する言語)に自動変換して分析を実行する。結果が即座に返されるため、データ分析のボトルネックが解消されたと、同部門シニアマネージャーのマーティン・グズマン氏は述べている。
また、カスタマーサクセス部門では、人事データとスケジュールを照合し、当日面談予定のカスタマーサクセスマネージャー(CSM)を特定。SlackやSalesforceから活動状況を自動で検索・要約し、毎朝Slackに配信する日次のトラッカーを構築した。デレク・マクネイ氏は、これにより焦点を絞った有意義な面談が可能になったと説明している。