Cohereが企業向けAI基盤「North 2」を発表──エージェント制御刷新や自社環境配備に対応
要点
-
カナダのAI企業Cohereは2026年10月5日、企業向けエージェント型AIプラットフォームの最新版「North 2」を発表した。
-
エージェントのオーケストレーション基盤を再設計し、複雑な複数段階の業務自動化を安定して実行可能にした。
-
メモリやスキル、成果物生成、アプリ作成などの機能を追加し、より高度なワークフロー構築に対応している。
-
自社モデルの持ち込みに対応するほか、クラウド、オンプレミス、隔離環境(エアギャップ)など多様な展開形態をサポートする。
-
管理者向けに詳細なコスト制御や利用上限(クォータ)の設定機能を追加し、ガバナンス体制を強化した。
-
AI開発を手がけるCohereは2026年10月5日、同社が提供する企業向けエージェント型AIプラットフォームの大規模アップデート版となる「North 2」を発表した。
-
同社はこの発表の中で、North 2を「これまでで最大のアップグレード」と位置づけている。セキュリティ、インテリジェンス、コストガバナンス、そしてシステム全体の制御機能を統合し、企業のデータが存在する環境であればどこでも稼働できる単一のプラットフォームとして刷新された。
オーケストレーションシステムの再設計とエージェント機能の高度化
North 2では、自律的にタスクを遂行するAIであるエージェントのオーケストレーション(複数の処理やツールを連携・制御する仕組み)システムが一新された。これにより、企業内における複雑かつ多段階にわたる自動化タスクを、より高い精度と信頼性を持って実行できるようになったという。
従来の単発の問い合わせ対応にとどまらず、複数の工程が連動する業務プロセスをAIエージェントに任せられる基盤として設計されている。
メモリやスキル追加によるインテリジェンスの強化
エージェントとの対話体験やワークフロー構築の面でも大幅な機能拡充が行われた。具体的には、過去の文脈を保持するメモリ機能、ナレッジを参照するためのライブラリ、特定の専門業務を実行するためのスキルなどが組み込まれている。
さらに、作業結果を構造化して提示するアーティファクト(成果物)の生成や、業務に合わせたアプリケーションの作成機能も用意された。これらにより、各企業の要件に応じた柔軟で高度な業務支援環境を構築できるとしている。
Cohere製以外のモデルも使える「モデルアグノスティック」
North 2は、利用するAIモデルを特定のものに限定しない「モデルアグノスティック(特定モデルに依存しない設計)」を採用している。
Cohereが独自に提供しているAIモデルはもちろんのこと、企業が独自に用意したモデルや外部のモデルを持ち込んで組み込む形態にも対応する。これにより、業務の性質やチームの目的に合わせて、最も適したAIモデルを選択して活用することが可能となった。
オンプレミスや隔離環境にも対応する柔軟な配備
企業のセキュリティ要件やデータガバナンスに対応するため、North 2ではAIの配備(デプロイ)先に関する自由度が確保されている。
一般的な各種クラウド環境での稼働に加え、自社内のサーバーで運用するオンプレミス環境や、外部のインターネットから物理的・論理的に完全に遮断された「エアギャップ環境」への配備もサポートする。企業は自社の重要なデータを外部に出すことなく、AIがどこでどのように実行されるかを完全に掌握できる設計となっている。
運用コストの予測性を高める詳細なガバナンス機能
企業規模での本格運用を見据え、管理者向け管理機能「North admin」にも新たな機能が導入された。
具体的には、きめ細かなコスト制御機能、システムへのアクセス頻度を調整するレート制限、ユーザーごとの利用枠(クォータ)、組織全体の上限設定などが追加されている。これらの機能により、AIの導入規模が拡大した場合でも想定外の費用増加を防ぎ、利用コストの予測可能性を確保しながら安全に運用できる体制を整えた。