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The Hacker News

Coldcard製ビットコイン用ウォレットに深刻な欠陥、7000万ドル相当の盗難被害に関連か

要点

  • ビットコイン用ウォレット「Coldcard」のファームウェアに深刻な脆弱性が判明した。

  • 脆弱性を悪用され、わずか41分間で約7020万ドル相当の暗号資産が流出した。

  • 2021年の統合ミスで、安全な物理乱数ではなく予測可能なソフトウェア乱数が使われていた。

  • 緊急修正されたが既存キーは修復できないため、開発元は新規キーへの資金移行を要請している。

  • カナダCoinkite社製のビットコイン専用ハードウェアウォレット「Coldcard」のファームウェアに深刻な欠陥があり、計1,082.65 BTC(約7020万ドル相当)の盗難被害が発生した。Galaxy Research社が2026年7月30日の送金履歴を分析して判明し、米Block社が原因を特定した。Coinkite社は修正版を公開したが、既存ユーザーに注意を呼びかけている。

41分間で1,196アドレスから資金が流出

Galaxy Research社によると、2026年7月30日に1,196個のアドレスからわずか41分間で合計1,082.65 BTCが一括送金された。この不審なトランザクション(取引履歴データ)を追跡した結果、送金元がColdcardの脆弱性に関連するアドレスであることが判明した。
この送金は一律30 sat/vBの手数料でお釣りが発生しないパターンで行われており、同一犯と推測されるが身元は特定されていない。

乱数生成プログラムの統合ミスと低下した安全性

Block社の調査によると、脆弱性の原因は2021年3月のファームウェア統合ミスにある。
通常、暗号キーの復元に必要な英単語の組み合わせである「シード」を生成する際、端末内の物理的な「ハードウェア乱数生成器(RNG:物理的ノイズから予測困難な数値を生成する装置)」を使用する。しかし統合ミスにより、予測可能な「擬似乱数生成器(PRNG:計算式で乱数を生成するソフトウェア)」へ処理が流れていた。
設定値の存在確認の不備で代替プログラムが動作しており、固有IDや起動タイマー値での初期化後は新たなエントロピー(情報の予測困難さを示す指標)を収集しないため、乱数の複雑さが低下していた。これにより実質的な複雑さは通常(128ビット)に比べ、約40〜72ビットに激減。攻撃者が固有IDなどを特定できれば、オフラインでキーを再現して資金を奪うことが可能となる。

影響を受けるバージョンと推奨される対策

影響の有無は、現在のファームウェアではなく「シードを生成した時点のバージョン」に依存する。影響を受けるのは、Mk2およびMk3(バージョン4.0.0〜4.1.9)、Mk4およびMk5(5.6.0未満)、Q(1.5.0Q未満)などのバージョンだ。
Coinkite社は修正ファームウェアを緊急リリースしたが、適用しても既存シードの脆弱性は修復できない。そのため、影響を受けるバージョンでシードを作成したユーザーに対し、アップデート後に新しいシードを生成して資金をすべて移動するよう強く求めている。古いシードを復元して使い続けた場合、脆弱性も引き継がれてしまう。

例外的なケースと他製品への影響

ただし、シード生成時に50回以上の「サイコロの出目」を手動入力していた場合は影響を受けない。強力なパスフレーズを追加していた場合も保護されるが、同社はシード交換を推奨している。
また、複数の鍵を用いる「マルチシグ(複数署名:取引承認に複数の秘密鍵を要求する設定)」では、署名デバイスの過半数が脆弱なデバイスのみで構成されていなければ安全だという。なお、他製品の「TAPSIGNER」や「OPENDIME」、「SATSCARD」は異なるプログラムを使用しており影響はない。

背景と最近の動向

今回の事案は、2026年7月初旬に発表された脆弱性「Ill Bloom」に続くものだ。Ill Bloomも古いソフトウェアウォレットの擬似乱数生成器の欠陥を突いたもので、すでに500万ドル以上の被害が報告されている。ハードウェアウォレットの設計における乱数管理の重要性が、今回の脆弱性で改めて浮き彫りになった。

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