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The Hacker News

ConnectWiseのサプライチェーン攻撃に中国系グループ関与、自律型AI「ARTEX」で侵入を高速化

要点

  • 米マイクロソフトは、ConnectWiseのクラウドバックアップアプリを巡るサプライチェーン攻撃に、中国政府関与の脅威グループ「Storm-0940」が関与していたと発表した。

  • 攻撃者は自律型AIツール「ARTEX」を悪用し、毎分2,900回のサインイン試行やOAuthアプリの悪用など、一連の攻撃手順を「機械的な速度」で自動化していた。

  • 2026年9月以降、半導体や防衛、金融など多岐にわたる産業の数百組織が標的となり、初期接触から3時間未満でクラウドの特権アクセスを奪われた例も確認された。

  • 10月15日にはConnectWiseアプリの認証情報を奪ったAIエージェントが、正規アプリの信頼関係を悪用して顧客環境へ侵入し、特権ロールの改変などを試みた。

  • 米マイクロソフトは2026年10月21日、IT管理ツール大手ConnectWiseのクラウドバックアップアプリケーションに対するサプライチェーン攻撃(ソフトウェアの供給網を悪用して顧客環境へ侵入する手法)に、中国政府との関連が指摘される脅威アクター「Storm-0940」が関与していたと発表した。同グループはGo言語製の自律型AI侵入テストツール「ARTEX」を悪用し、標的の偵察から認証攻撃、権限昇格に至るプロセスを機械的な速度で自動化していたという。マイクロソフトの調査により、世界各国の幅広い産業で数百の組織が標的となっていた実態が明らかになった。

自律型AIツール「ARTEX」の悪用と攻撃の加速

今回の事案で使われた「ARTEX」は、自律的に状況を判断して行動するエージェント型のペネトレーションテスト(システムの脆弱性を検証する擬似侵入テスト)用フレームワークだ。Go言語で開発され、過去に韓国の金融機関へのサイバー攻撃で悪用されたことを受け、開発元が非公開(クローズドソース化)としていた経緯がある。

マイクロソフトによれば、Storm-0940はこのARTEXを利用し、標的の偵察やパスワードスプレー(多数のアカウントに対して少数の共通パスワードを試す攻撃手法)、OAuthアプリケーションの悪用を「機械的な速度」で自動実行していた。すでにアクセス権が付与されている正規アプリケーションを介して認証を行うため、対話的なサインイン画面を経ることなく標的環境へ侵入できたという。

このAIによる自動化は攻撃スピードを大幅に加速させた。マイクロソフトによると、初期の標的設定からクラウドインフラの特権アクセスを獲得するまでの所要時間が3時間未満だった事例も複数確認されている。

半導体や防衛など世界各国の広範な産業が標的に

Storm-0940は2026年9月以降、ARTEXを駆使して世界中の数百に及ぶ組織を標的としてきた。

対象分野は航空宇宙・防衛、自動車、化学、エネルギー、金融サービス、政府機関、法務、製造業、メディア、軍事、半導体、ソフトウェア、テクノロジー、シンクタンク、非営利団体など極めて多岐にわたる。重要インフラから先端技術分野に至るまで、広範な業界が狙われていたことが明らかになっている。

ConnectWise侵害の経緯:高頻度試行から正規資格情報の悪用へ

マイクロソフトは、ConnectWiseを巡るインシデントにおける具体的な推移も公表した。Storm-0940はARTEXを用い、2,250以上のテナント(クラウド上で組織ごとに割り当てられた独立環境)に対し毎分2,900回ものサインイン試行を実施していた。この異常な速度は、防御側の検知・対処の猶予を著しく奪う要因となったという。

時系列の推移は以下の通りだ。

  • 10月10日〜14日(自動化されたパスワードスプレー):Storm-0940のインフラ(IPアドレス: 144.172.64[.]99)から、Microsoft 365やExchange Onlineへのアクセスを狙った攻撃が実行された。8組織・327アカウントが標的となり、5日間で15万1,000件以上のログオン失敗が記録された。
  • 10月11日(試行のピーク):11日には攻撃がピークに達し、毎分2,900回の認証失敗が発生、単日だけで11万1,000回以上の失敗が確認された。48アカウントには1,000回を超える失敗が集中した。ただしこの段階では認証成功やトークン発行、Microsoft Graph(Microsoft 365のデータ連携API群)の呼び出し、ディレクトリ改変などは検知されず、攻撃は防がれていた。
  • 10月15日(正規アプリ資格情報の掌握と悪用):15日に状況は急変した。AIエージェントが複数のConnectWiseクラウドアプリケーションの認証情報を掌握し、それらを用いて顧客環境への認証を開始した。攻撃者は直前と同じIPレンジを使い、正規アプリが顧客テナント内で確立していた信頼関係を逆手に取って侵入を果たした。

さらに一部の組織では、AIエージェントがMicrosoft Graphやディレクトリの操作にまで侵入を進めていた。これには環境内の情報偵察に加え、将来的な侵入を維持するためのアプリ資格情報の改変や、アカウント、グループ、特権ロールの権限変更などが含まれていた。

脅威アクター「Storm-0940」の背景

Storm-0940は、少なくとも2021年から活動しているとされる攻撃グループだ。マイクロソフトが2024年11月に初めて詳細を公表した際には、「Quad7」(別名: CovertNetwork-1658)と呼ばれるボットネット(遠隔操作される機器群)を用い、検知を逃れるパスワードスプレー攻撃を行っていたことが報告されていた。

同グループは通常、インターネットに公開されたアプリケーションを悪用して初期アクセスを獲得し、侵害したアカウントを使って環境内を横展開する手法をとる。また、クラウド環境内の既存OAuthアプリケーションに不正な資格情報を追加し、Microsoft 365リソースへのアクセス権を永続化する手口も確認されている。

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