大手保険サイトのログイン不備をAIエージェントが自律発見、OTP送信先の検証漏れを本番環境で実証
要点
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セキュリティ企業ReflectizのAIペンテストエージェントが、数百万人のユーザーを抱える大手保険会社の本番サイトで重大な認証バイパス脆弱性を自律的に特定した。
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ログイン要求内のパラメータを改ざんすることで、ワンタイムパスコード(OTP)をアカウント未登録の任意のメールアドレス宛てに送信できる設計不備が存在していた。
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エージェントはJavaScriptやAPIの解析から仮説を立て、自身が管理するアドレスへコードを送信させて認証突破を自律的に実証した。
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本番環境での安全を保つため、ログイン成功直後にエージェントの安全装置が作動して検証を自動停止し、企業側への報告が行われた。
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セキュリティ企業Reflectizが開発したAIペンテストエージェントが、数百万人のユーザーを抱える大手保険会社の本番Webサイトにおいて、重大な認証バイパス脆弱性を自律的に特定・実証した。海外セキュリティメディアのThe Hacker Newsが2026年10月14日に報じた。ログイン時のワンタイムパスコード(OTP)送信先をリクエスト側で改ざんできる不備を突き、安全装置の制御下で自律検証を完了させたという。
ログイン成功と同時に作動したエージェントの安全機構
ReflectizのAIペンテスト(システムの脆弱性を突いて擬似的な攻撃を行う侵入テスト)エージェントは、認可を受けたセキュリティ診断の一環として大手保険会社の本番サイトを調査していた。エージェントはサイトのログイン手順を自律的に辿りながら、認証用のワンタイムパスコード(一度だけ利用可能な使い捨ての確認コード、以下OTP)の送信用リクエストを送信した。
その際、エージェントは送信先として自身が管理するメール受信ボックスを指定したところ、指定したアドレス宛てに認証コードが正常に届き、そのコードを入力してログイン処理が完了したという。エージェントには想定外の被害や暴走を防ぐためのガードレール(動作を制限する安全機能)があらかじめ組み込まれており、ログイン成功を確認した直後にテスト処理を自動停止した。重大な認証バイパスの存在を単独で突き止めたことを受け、Reflectizは直ちに同保険会社へ問題を通報したと説明している。
送信先アドレスの検証が欠落していた認証設計
今回発見された脆弱性の本質は、認証コードの送信先とユーザーアカウントとの紐付けがサーバー側で確認されていなかった点にある。OTPによる本人確認は、コードがアカウントにあらかじめ登録されている連絡先に送信されることを前提として成立するが、問題のWebサイトではその仕組みが破綻していた。
同サイトのログインリクエストには、通知手段を示すチャネルと、宛先アドレスを指定する2つのフィールドが含まれていた。通常の利用手順では登録された電話番号宛てにテキストメッセージ(SMS)でコードが送信されるが、リクエスト内のチャネルを電子メールへと書き換えると、サーバーはアカウント登録済みのアドレスではなく、リクエスト本文で指定された任意のメールアドレス宛てにコードを送信していた。
サーバー側では、指定された宛先が本当に該当アカウントのものであるかを照合する検証処理が一切行われていなかったという。アカウントと認証コードの適切な紐付けは、OWASP(Webアプリケーションのセキュリティ標準化を推進する国際的な非営利団体)のテストガイドでも基本事項として挙げられている項目だ。顧客の識別情報を把握している攻撃者であれば、この不備を突いて他人のアカウントに不正アクセスできた可能性があると指摘されている。
スクリプトやAPIの解析から本番での再現へ至るプロセス
エージェントによる脆弱性発見は、段階的な調査プロセスを経て行われた。エージェントはまず、サイト上のJavaScriptやページ背後で送受信されるAPI呼び出しを調べるリコン(対象の構成や通信仕様を調べる事前調査)を実施した。
この解析によってOTPリクエストの構造が判明し、コードの配送手段と宛先を制御しているとみられる2つの値が特定された。もっとも、パラメータが存在するだけではサーバー側で拒否される可能性があるため、この段階では仮説にとどまる。そこでエージェントは、特定した2つの値を標的とした専用のテスト手順を組み立て、稼働中の本番ログインフローに対して実際にリクエストを送信した。自ら管理するメールボックスでコードを受信し、認証を突破する一連の手順を自律的に完遂したことで、脆弱性が実在することの確定的な証拠を得るに至った。
本番サイトでワークフローへ到達する難しさと文脈理解
元記事は、攻撃手法そのものよりも、稼働中の本番Webサイト上でそれを安全に実証することこそが困難であったと指摘している。
従来の自動診断ツールの多くは、ログイン画面の手前で動作を停止してしまう傾向がある。しかし、Webアプリケーションにおいて重大なセキュリティ問題の多くは認証の先に潜んでおり、内部のワークフローに到達できなければ挙動の正確な評価は行えない。
Reflectizはこの課題に対し、過去10年以上にわたり数千もの本番Webサイトをスキャンし、認証の通過、確認コードの受領、複数ステップからなる画面遷移をナビゲートしてきた実績を持つ。そうした蓄積によって培われたWeb環境への文脈理解があったからこそ、AIエージェントが本番環境の複雑な手続きを踏破し、未知の脆弱性を立証できたと説明されている。